パピとママ映画のblog

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観相師-かんそうし- ★★★.5

2014年08月04日 | アクション映画ーカ行
15世紀の朝鮮王朝に起こった史実を基に、人の顔を見るだけで性格から寿命までわかるという「観相」が絡んでいたという創作を交えた歴史ドラマ。図らずも政府に入り込んだ天才観相師が政府の覇権争いに巻き込まれていく様子を描きだす。主演は、『JSA』などのソン・ガンホ。『オー!ブラザーズ』などのイ・ジョンジェ、『建築学概論』などのチョ・ジョンソクらが共演する。監督を務めるのは、『優雅な世界』などのハン・ジェリム。歴史を動かしながらも、自らも翻弄(ほんろう)される、主人公の行く末に引き込まれる。

<感想>韓国の名優シン・ガンホが演じるのは、人の顔を見てその将来を見通す技術をもった「観相師」である。十五世紀半ばの朝鮮王朝時代という設定だが、親子関係から権力闘争まで、今日の韓国を思わせる激しさに満ちているので、長時間でも飽きることはないです。
一目で相手の素質を見抜く能力を買われ、宮中の人事担当に大抜擢されたキム・ネギョン扮するソン・ガンホ。日本の陰陽師、安倍晴明の貴公子然とした佇まいに比較すると、泥臭くて、ユーモアがあり、人間として隙間だらけである。それでも、ソン・ガンホの口調には胡散臭さを超えた奇妙な説得力がある。
しかし、悪役は誰が観ても人相の悪い役者が起用されているので、観相学はあまり関係ないような、そんな気がしました。その危ういさを突いてくる悪のヒーロー王の弟・首陽大君を演じるイ・ジョンジェの役作りが絶妙で印象に残りました。

ですが、かつて父親が犯した大罪により、彼は息子のジニョン(イ・ジョンソク)、義弟のペンホン(チョ・ジョンソク)とともに貧しい田舎暮らしに身をやつしていた。そこへ、ネギョンは娼館の女主人ヨノン(キム・ヘス)に誘われて、都で一旗上げることに。
その類まれなる才能は、たちまち都中に知れ渡り、ついには宮中の要職まで得ることになる。だが、ネギョンは、王様の急逝をきっかけに非情な権力闘争に巻き込まれ、逆賊のクーデターを命がけで阻止しようとするのだが、・・・。

前半で、おぉと、新種の探偵ものの扉が開くのかと、身を乗り出したら、俳優たちの、喜劇のような演技のアンサンブルが楽しくて、後半ではだんだんと、史実を基にした普通の中世暴君歴史絵巻になっていき、歴史の動乱にぐっと引き込んでくれる。

それでも、主人公のソン・ガンホのキャラ設定がまず面白い。正体を偽って近づいてきたヨノンの素性を一瞬にして見抜き、都の役人に依頼されて殺しの下手人を、殺された妻の夫だと見事に探り当てるくだりなど、その能力を遺憾なく発揮していく数々は、何とも痛快である。

対立する2人の有力者との初対面シーンも実にスリリングで、威勢に満ちた「虎」の相を持った左議政キム・ジョンソ(ベク・ユンシク)。冷酷かつ獰猛な「狼」の相を持つ王の弟・首陽大君(イ・ジョンジェ)。この二人の出会い、その人相を見てしまったことから、ネギョンの運命は大きく変わっていく。やがては、自らの能力ゆえに狡猾なワナにハメられ、命まで狙われることになる。

ラストが可愛そうで、官史になりたい息子を応援すべく、だがそれも悪の首陽大君に知れ渡り、眼をつぶされた挙句に自分の身代わりとなって首陽大君の弓の的になるとは。泣き崩れるソン・ガンホの芝居に涙です。他人の運勢は分かっても、自分自身の運命は見通せなかった男の悲哀を、ペーソス豊かに演じているソン・ガンホに、時代劇俳優としての風格も十分に観たり。
中でも、際立っていたのが、ソン・ガンホをひたすら窮地に追い込む謎の策士ハン・ミョンフェだ。闇の中に身を隠し、劇中殆ど顔が映らない悪のオーラの強烈なインパクトを残す役を演じたのが、個性派俳優のキム・ウィソンである。

だがしかし、顔からその人物の行動を予測する観相師。その「顔」を最新の美容整形技術で随時変えていく(夜中に 逆賊の相にぴったりくるように、大君の寝所に忍んでホクロを刺青したりまでするのに)、そんな悪人と観相師のチェイスドラマか、なんて勝手に想像が膨らんでしまう。それはさておき、口は災いのもと、激情は間違いのもと、という教訓を貰ったきがした。
ただし、全体としては冗長な印象で、映画と言うよりはテレビシリーズにいっそう適した題材と演出だと思われた。
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