パピとママ映画のblog

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ウルヴァリン:SAMURAI ★★★★

2013年09月15日 | アクション映画ーア行
「X-MEN」シリーズの人気キャラクターでヒュー・ジャックマンが演じるウルヴァリンを主人公とした「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」(2009)の続編。カナダで隠遁生活を送っていたウルヴァリンは、ある因縁で結ばれた大物実業家・矢志田に請われて日本を訪れる。しかし、重病を患っていた矢志田はほどなくして死去。ウルヴァリンは矢志田の孫娘マリコと恋に落ちるが、何者かの陰謀により不死身の治癒能力を失うというかつてない状況に追い込まれる。日本が主な舞台となり、本格的な日本ロケも敢行された。マリコ役のTAO、ウルヴァリンを日本へと導くユキオ役の福島リラ、矢志田の息子シンゲンを演じる真田広之ら、日本人キャストも多数出演。監督は「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」「ナイト&デイ」のジェームズ・マンゴールド。

<感想>「X-MEN」ファミリーの中でもダントツの一番人気キャラで、野性的なモミアゲ姿がいつでも凛々しいウルヴァリンのヒュー・ジャックマン。フランクミラーによる原作の中でも、ファンに最も人気の高いこの物語の最大の見どころは、舞台が日本であるということ。まったく見知らぬ土地で、ウルヴァリンは、どんな怪我からも回復できる治癒能力がウルヴァリンの特徴であり、不死身の身体を持ちながら生きる意味を失う。という究極の矛盾を抱えその存在意義を問われるのである。そのウルヴァリンが限りある命になってしまうという設定である。
冒頭での1945年の長崎の場面、日本軍の捕虜になっていたローガン、マンホール状の独房に押し込まれていたが、そこへ米軍の爆撃機が飛来する。8月9日午前11時のことだった。原子爆弾が投下されたのだが、その時、矢志田という日本兵を助ける。その矢志田がウルヴァリンの不死身の身体に興味を抱くわけで、そのウルヴァリンの身体の中にある不老不死の正体を自分の身体に取り入れようというのだから、とんでもない話である。

今回の映画は何だか悲痛だ。死んでも死なないミュータントもいろいろあって、今回のウルヴァリンは死にそうである。夜な夜なかつて愛したジーン・グレイが夢枕に立って恨み言を言ってくるし、ファムケ・ヤンセンのランジェリー姿が色っぽいし、つまり本作は、「ファイナル・ディシジョン」から続く話のようですね。

ウルヴァリンの仲間となる剣の達人ユキオ。演じる福島リラさんはトップモデルで、菊池凜子もウカウカしていられないほど演技も英語も上手い。ウルヴァリンが、矢志田の孫娘マリコと恋に落ちるマリコ役にはモデル出身のTAO。確かに背は高いが演技はイマイチ。

そして、今回登場する悪役ヴァイパーにスヴェトラーナ・コドチェンコワが。ミュータントのヘビ女で長い舌から出る特殊な液で相手を氷結させる。矢志田が不死身の身体になりたいばかりに、アメリカから呼び寄せたドクター・グリーン。彼女の策略で、ウルヴァリンの不老不死の能力が失われて行く。
自分が誰とも違うと感じているし、何も信じていない。だけど最終的には学んでより強い戦いができるようになる。しかもそれは、他のミュータントのように新たなスーパーパワーを授かるからではなく、よりサムライ的な戦術を学ぶから。自分の心をコントロールする術を知り、規律を身につける。自分の心がコントロールできると言うことは、どんな武器を手にするよりも、偉大なる武器であるということを知るわけ。

アクションの見せ場は、手負いのヒーローが芝の増上寺の葬儀シーンをはじめ、夜の新宿やラブホテルに泊まったり、秋葉原のパチンコ屋を経て、上野駅に至るまで追いすがる敵(ヤクザ)を切り刻みながら疾走するバイオレンス。しかし、高田馬場と秋葉原が隣町になっている設定が腑に落ちないが、ヤクザとウルヴァリンが走る新幹線の上で、猛スピードで迫ってくる障害物を一瞬で避け、展開される迫力満点のバトル・シーンには驚いてしまう。さらには、広島県福山市「崖の上のポニョ」のモデルになった鞘の浦や、愛媛県今治市では、のどかな海辺でロケするなど日本人にはお馴染みの風景が多数出てきます。

そして、まってましたとばかりに剣の達人である真田広之とウルヴァリンとのタイマン勝負。シンゲンの日本刀とウルヴァリンの爪が激しくぶつかり合う。真田広之さんの殺陣の腕前は当然のごとくで、池にすっころぶ細かいスタントまで、いちいち身体能力の高さをアピールしてくれます。さすがにベテラン同士の一騎打ちになってました。

そして雪山の麓の村では、家々の屋根で忍者たちが待ち構えており、ワイヤーが繰り出され、ウルヴァリンは蜘蛛の巣の餌食状態になってしまう。
後半で登場する、原作の日本パートで最大の敵となるシルバー・サムライがクライマックスで登場。その巨大なシルエットには、「パシフィック・リム」のロボットのイェーガーを思い出してしまった。決して、パワードスーツのような働きはせず、ただそのロボットの中に入って永遠の命を手に入れた矢志田の爺様なのだ。だが、ウルヴァリンの不老不死の力が宿っているので、どうしたらこのロボットを倒せるのかがお楽しみというところだ。

とにかく見どころは満載なのだが、ミュータント(ヘビ女だけ)も殆ど登場せず、日本というミステリアスな場所が舞台となったこの物語において、何より感動させられるのは、やはりジャックマンがこの13年間でいかにしてハリウッド・スターになり得たのかを、その肉体で、演技力で、実力で、輝きで、まざまざと見せつけてくれることである。
今回は芯の通った「武士道」路線にシフトしていて、やっぱり孤高のウルヴァリン様には、このくらいのストイックに引き締まった話の方がお似合いだと思う。ですから前回での「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」(09)の続編とは言えないですよね。
昭和のお家騒動サスペンスっぽい雰囲気を始め、とにかくいろんな意味でスーパーヒーロー映画らしくない。本当にスーパーヒーロー映画なのに、正直「X-MEN」はもう飽きたという人には、絶対お薦めのリフレッシュな1作になっています。エンドロール後に、重要人物が登場するのでお見逃しのなきよう。
2014年公開「X―MEN:デイズ・オブ・フューチャー・パスト」
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