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スペンサーダイアナの決意★★★

2022年12月04日 | アクション映画ーサ行

            

クリステン・スチュワートがダイアナ元皇太子妃を演じ、第94回アカデミー賞で主演女優賞に初ノミネートを果たした伝記ドラマ。ダイアナがその後の人生を変える決断をしたといわれる、1991年のクリスマス休暇を描いた。
   

あらすじ:1991年のクリスマス。ダイアナ妃とチャールズ皇太子の夫婦関係は冷え切り、世間では不倫や離婚の噂が飛び交っていた。しかしエリザベス女王の私邸サンドリンガム・ハウスに集まった王族たちは、ダイアナ以外の誰もが平穏を装い、何事もなかったかのように過ごしている。息子たちと過ごす時間を除いて、ダイアナが自分らしくいられる時間はどこにもなく、ディナー時も礼拝時も常に誰かに見られ、彼女の精神は限界に達していた。追い詰められたダイアナは故郷サンドリンガムで、その後の人生を変える重大な決断をする。監督は「ジャッキー ファーストレディ 最後の使命」のパブロ・ラライン。

<感想>もうあの悲劇から25年が過ぎたのだ。今回ダイアナ妃の映画が2本作られた。「プリンセス・ダイアナ」と「スペンサーダイアナの決意」この二つの映画の中から後者を選び鑑賞した。それは、ダイアナがその後の人生を変える、決断をしたといわれる1991年のクリスマス休暇の3日間を、静謐かつ繊細なトーンで描いている。

ラライン監督は「ダイアナの彼女がもつミステリアスな面と、脆い面をバランスよく捉えて、彼女の内面的な世界を作り上げることだった。そして彼女の心理を反映させた幻覚や記憶、恐怖や欲望などの要素を描くことによって、美しさを兼ね備えた彼女の特別な“繊細さ”を表現したかった」と語っている。

チャールズ皇太子とダイアナの結婚は、最も祝福されたものであるはずであったのに、ダイアナはスペンサー家という名門貴族の娘であり、王室(ウィンザー家)に最もふさわしく、イギリス出身の結婚相手として300年ぶりでもあり、しかも恋愛結婚だったのであります。

だが、おとぎ話のような結婚は長くは続かなかった。チャールズ皇太子の浮気とか、ダイアナとの性格の不一致がしだいに大きくなり、やがて二人は別居をし、公式の場だけ一緒に出席して、互いに目も合わせない。王室の中で孤立したダイアナ妃は変人と言われ、エリザベス女王もチャールズ皇太子に「さっさと別れなさい」とクリスマス・カードに書いたそうです。

そのような王室の敵意の中に包まれているクリスマス前後の3日間が描かれている。舞台はウィンザー家のサンドリンガム宮殿で、クリスマスには王室の人々が集まる。暖房のない宮殿で堅苦しい古臭いクリスマス慣習にこだわる王室にダイアナは抵抗する。

このような映画がイギリスで良く作れたものだと不思議に思ったのだが、やはりサンドリンガム宮殿では撮影できず、ドイツの宮殿や古城で撮影されている。ダイアナを演じたのが、クリステン・スチュワートであり、皇太子役にはジャック・ファーシングが、グレゴリー少佐役のティモシー・スポール、シェフのダレン役のショーン・ハリスといずれもロンドン出身で、英国らしさをたっぷりと出していた。

サンドリンガム宮殿のクリスマス・パーティに耐えきれなくなったダイアナ妃は、近くにある旧スペンサー邸に逃れる。すでに廃墟となって閉められている屋敷で、スペンサー家の娘時代を幻想する。そして、このスペンサー家で生まれた自分の青春時代を取り戻し、王室から自立しようと決意するダイアナ。

ダイアナは王室の人々の冷たい視線に包まれるが、ただ一人の理解者である衣装係のマギーも、彼女から遠ざけられる。そして、彼女がダイアナが変人だといって告げ口をされる。しかし、彼女は一度は外されるも、また戻ってくる。

私にとっては、ダイアナ妃はクールで強い女性であり、とても美しいという印象を持っている。だから一般の人々のような感情は押し殺して、いつも皇太子妃としての役割をするべきだと思っていた。しかしながら、そのような凡人が思っているようなことよりも、皇太子の浮気や、王室でも暮らし、公的な行事に対する皇太子妃としての対応とかは、彼女には全部当たり前のようにできるのだろうと考えていた。しかし、彼女も一人の女として夫の浮気や、心にもない皇室の侍従たちの声の方に、辛い痛手を感じて、一種のノイローゼ気味になってしまったのだろう。

暗い喋り方で押し通すダイアナの姿には、いらだちを隠せないし、周りに怒りをぶちまけるなどというは決して無いことだと思っていた。一人で何とか耐えようと小さな抵抗を続けるダイアナの孤独。でも子供たちといる時だけは、のびのびとして明るく振舞っているのが良かった。本当にそういうことが日常にあったことだと信じるのには、胸が締め付けられるような気持ちになる。

普通の女性として生きることができない。王室の中での暮らしに疲れ果て、心が孤独との闘いに荒みはてて、自分をコントロールできなくなり、プライベートな生活さえも送ることが許されなかった。そんな堅苦しい生活に嫌気をさし、自分らしく生きようと思ったのでしょう。

ダイアナ妃にぴったりの女優クリステン・スチュワートに、いつも笑顔でもなく泣き顔でもない。それに哀しみでもなく、喜びでもないそれこそが、ダイアナの送った人生だと言っているような複雑な表情に、王室を捨てて勇気を出して、自分らしさを取り戻したダイアナの生き方に拍手を送りたいですね。

 

 

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