ぶらぶら人生

心の呟き

東山魁夷

2023-02-20 | 身辺雑記
 書棚から、ずいぶん持ち重りのする画集「現代日本の美術5 東山魁夷」(集英社)を取り出して眺める。

 東山魁夷の作品展は、幾度か見た。
 一番最後(と、言っても、もうずいぶん前だが)は、京都の展覧会であった。
 帰途は、山陰の旅を楽しみ、城崎温泉(志賀直哉の泊まった宿)と鳥取温泉とにそれぞれ一泊し、存分カニ料理をいただいた。
 寒い季節であった。



   

       画集の表紙




   

      画集の筺の絵




     

        筺の絵の元
     本物の月と湖水に映る月


 東山魁夷の絵といえば、淡い藍色の風景が思い浮かぶ。概して、華やいだ色は乏しく、静謐さを感じる作品が多い。

 東山魁夷の絵も好きだが、文章も好きである。
 東山魁夷画文集(10巻)<箱入り>も、持っている。それを読み直そうと、一冊取り出し、居間へ持参したが、今日は画集の絵を眺めるだけに終わった。


   



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『光は歌い 影は踊る』

2023-02-19 | 身辺雑記
     藤城清治 著
     『光は歌い 影は踊る』
                 藤城清治の軌跡

   
    


 高松市で開催の『藤城清治展』を見に行ったのは、いつだっただろう?
 70代の半ばころ? 正確な年月日は思い出せないが、そのとき求めた作品が、寝室の壁にかかっている。(下掲の写真)
 上掲の本も、その折、会場で求めた一冊。

 藤城清治の作品は、光と影が織りなす芸術である。
 本の最後に載っている略歴によると、1924年生まれである。ご高齢だが、現在も活躍なさっている様子である。
 この本は、副題に、<藤城清治の軌跡>とあるとおり、影絵作家に至るまでの歩みや、その昨品について語られたものである。

 展示会場を訪れ、作品に接した日を思い出しながら、本棚に眠っていた一冊を読んだ。




 小山のような、色彩豊かな炬燵蒲団の上に、一匹の猫が休んでいる。
 外は雪。
 窓辺には、雪景色を眺める猫が描かれている。
 メルヘンチックな世界である。


 藤城清治展を観るため、高松へ出かけた当時は、すでにブログを書き始めていた。
 カテゴリー<旅日記>を辿れば、昔の文章に出会えるだろうと思いつつ……。



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『人間自身 考えることに終わりなく』

2023-02-18 | 身辺雑記
      池田晶子 著

 『人間自身 考えることに終わりなく』


    



 哲学者・池田晶子については、2007年、訃報が報じられて、初めてその存在を知った。
 その折、求めた上掲の本を、改めて読み直した。
 帯の言葉<この先を考えるのは、あなたです。>は、著者急逝を受けての、編者者のことばであろう。よくできている! と思った。
 この一冊を読んだ限りでは、さすが哲学者と思わせるような内容、深い味わいは、感じなかった。
 とても平易なエッセイであった。特別な問題提供があるわけでもなかった。
 この一冊だけでは、作者の魅力に辿り着けなかった。 
 逝去される直前の文章でもあり、がんを病みつつ書かれた最晩年のものだと思うと、その気力には感心する。


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『人はどう死ぬのか』

2023-02-16 | 身辺雑記
 文庫本と新書本を納めている書棚に、講談社現代新書の本がぎっしり収まっている一段がある。
 その中から、『日本語のリズム』と『時間と人間』を読み、ブログに、簡単な感想も書いた。
 文庫本より紙質がよく、活字も読みやすい。しかも、持ち重りしないので扱いやすさも抜群である。

 久しく本屋をのぞくこともない。
 講談社現代新書は、今も同じような体裁で、出版されているのだろうか? と、ふと思い、早速、ネットで調べてみた。<講談社現代新書>で検索すると、まっさきに目に飛び込んだのが、下掲の本であった。
 本の体裁は、昔と異なっているけれど、いい本が、今も出版され続けているのだと知って嬉しかった。
 
 3年くらい前、友達のRさんに教えてもらって、久坂部羊の小説を幾編か読んだことがある。医師でもある作家の小説なので、素材的な面白さもあった。

 今回、出会えた本は、エッセイである。
 幅広の帯には、<「幸せな死」を迎えるためには予習が必要です!>という宣伝文句があり、私に読むよう誘いかけている。

 残り少ない余生は、私の書斎にある本を読み、新しい本をAmazonへ注文するにはやめようと、今年に入ってからは、心を決めていた。
 が、ネットで目に止まった本が、内容に関心があるうえに、作者が久坂部羊と知って、なんの躊躇もなく、たちまちAmazonへ注文した。
 今日届いて、早速読んだ。


     久坂部 羊 著 

   『人はどう死ぬのか』



    


 子どものときから18歳頃まで、病気がちだった私は、長生きはできないだろうと思っていた。
 50歳のころ、親しくしていた本屋の主人が、手相に凝っていて、私の手相を見てあげるという。
 正直に言ってもいいかと、私に尋ねたあと、手相で見る限り、60歳まで生きられない、との話だった。私は、そうでしょうね、と言いつつ、残念な気持ちにもならなかった。

 その私が、90歳まで生きてしまった。別に健康でありたいと努力をしたわけでもないのに、自分の楽しみたいことをして、日々過ごしていたら、90になってしまった。
 しかし、当然のことながら、最近は老いを否めず、これが90歳の現実だろうな、と思うことが、何かにつけて多くなった。

 
 そんな私へプレゼントされたのが、上掲の本である。
 私の考えていることと、大きな隔たりはなく、私自身の考え方を確認するような気持ちで、久坂部羊の本を読了。
 過分な治療は受けないことも意思表示しているし、ごくごく自然体で、老いの身に可能なことを楽しんで、残生を過ごしたいと思う。


 加島祥造の『求めない』の考え方も、上掲の本に、紹介されていた。
 私が、『求めない』に気づいたのは、上京した折、大丸の三省堂だった。本の題名も、また体裁も変わっていて、早速求め、その日、本屋の喫茶室で、窓辺の席に座って、早速読んだ。
 加島祥造の考え方が気に入って、その後、出版されるごとに求めた本が、書棚に6冊ある。その都度、みな読了した。
 加島祥造の晩年の生き方も、自然体で素晴らしい。
 

  



 お手本になる生き方は、参考にさせていただきながら、私は私の、そう長くはない老いの日を生きたいものだと思っている。

 96歳で亡くなった父は、最期の朝まで、洗面も自分でし、そのあと、部屋へ戻る途中、歩けなくなって廊下にうずくまり、その夜9時に亡くなった。
 父は病院嫌いであった。診察を勧めても、頑固に拒んだ。
 父も、人生の終わり方の、一つのお手本であったように思う。




  久々に眺める晴れやかな落日の空。

    




    


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芽生え

2023-02-14 | 小庭の四季
 裏の鉢のなかに、紅椿が、落ちているな、と思いつつ近づくと、線状の葉が、かたまって伸び始めている。
 鉢のなかに、春が忍び込んできた思いであった。淡紫色の花が咲くのだが、その名前が思い出せない。 

    



 不知火のデコポンをAmazonへ注文した。
 それが、今日届いた。
 見るからに美味しそうである。
 早速、一つ食べてみると、新鮮で、甘みも酸味あって美味しいけれど、味に少しまろやかさが足りないように思った。
 妹に、そのことを話すと、もう少し時間をおいて食べた方がいいのでは? とのことだった。
 かなり昔、妹からもらった時、少し時間をおいて食べてね…と、言われたことを思い出す。
 ものには、「頃合い」というものがあるのだった。

     


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『時間と人間』

2023-02-14 | 身辺雑記
 私の書棚に並ぶ講談社現代新書は、1970年代に出版された本が多い。が、紙質に傷みが少なく、読みやすい。
 前回の『日本語のリズム』に続いて、下掲の本を読んだ。
      
       中埜肇 著    
     『時間と人間』
   

     


 作者は、哲学者である。が、文章に難解さが全くない。達意の名文である。
 書き出しの文章が、
 <「時」はモナ・リザの微笑に似ている。>で始まる。
 <時(時間)>とはなんだろう、と問えば問うほど分からなくなる、そのことの比喩として、モナリザの微笑が出てきたのだ。

 <時>とか<時間>とかは、生きている者にとって、無縁ではいられないものだが、私は、立ち止まって、<時とは?><時間とは?>などと、考えたことがない。絶えず、時間に追われながら、さまざまな時間を消費して生きてきた。
 この本を読み進めながら、改めて、私の人生を、時や時間という観点からふり返ることにもなった。

 大きな見出しは、次の3項目になっている。

 1 時とは何か
 2 人間と時間
 3 さまざまな時間イメージ

 こういう本を読むと、無意識であった事柄に、光が当てられたようで、考える楽しさに浸ることができる。学生時代の昔に戻ったような気分でページを繰った。
 しかし、私には、残り時間が、もういくらもない。それでも、命のある間に、この本を読むことができてよかったと思っている。

 筆者の中埜肇なかのはじめ)は、1922年生まれで、1997年に逝去されている。ヘーゲルについての研究家で、ヘーゲルや弁証法に関する著作が多いようだ。


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『日本語のリズム』

2023-02-13 | 身辺雑記
     別宮貞徳 著
   『日本語のリズム』


    
     


 (14日夜、この項を書き上げ、ブログへの投稿を完了した。と思ったのに、私の指のいたずらか、ブログを確認すると、記事が消去されていた。当然がっかりし、以来、ブログを書く意欲が失せていた。が、気分を改め、簡単に記しておく。)

 
 日本語は、<四拍子文化>であるという主張である。
 俳句、短歌、定型詩などの五七調、七五調が韻文の基調であることを認めながら、日本語による表現には、言葉の切れ目と間(ま)から生まれる特有の、四拍子のリズムがある、というのが作者の主張である。


     
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三つ目の紅ツバキ咲いて

2023-02-12 | 身辺雑記
 二月は最も寒い月の印象をもっているのだが、今年は比較的過ごしやすい。
 体が老いて、寒さがこたえるようになり、冬が苦手になってきた。
 先日来、買い物に出かけたいと思いながら、なかなか決断ができない。なんとなく億劫なのも、老いのせいであろう。外出すれば、気分が晴れることはわかっているのに、ほいほいと出かける気にならない。
 しかし、明日は雨になるという。
 今日、出かけなければ、あの戦中戦後の惨めな食事に耐えなくてはならない。
 ついに午後、街へ出た。

 イオンで買い物をする。
 帰宅はタクシーで。


 ピンク色をした椿は、毎年花数が極端に少ない。が、今年は蕾の数が例年より多めである。
 今日咲いていたのは、3個目である。


     



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『詩と展景』

2023-02-10 | 身辺雑記
      今道友信 著

     『詩と展景』


    


 遠藤豊吉の『日本の詩』を納めている書棚に、上掲の本(1990年刊)があった。
 写真入りなので、上質な用紙を用いた、贅沢な本である。
 作者・今道友信(1922〜2012)が、どういう人なのか知らないので、ネットで調べた。<日本の美学者、中世哲学の研究者>として、著名な方とあった。
 この本を読んで、分かったことだが、若い時から詩を好み、古今東西の多くの詩に接してこられた方のようである。

 『詩と展景』では、55人の詩歌がとりあげられている。
 「春・夏・秋・冬・人生」の5項目に分けて。
 人口に膾炙したなじみのある詩が多い。
 たとえば、<春>の項では、北原白秋、観阿弥、茶木滋(「めだかの学校」の作者)、西行法師、北川冬彦、三木露風、川路柳虹の詩が紹介されている。
 が、現代の詩人の選び方には、少々偏りがあるように思った。単に、私の好みと異なるというだけのことかもしれないけれど。

 
 私の、最近の読書は、詩集に偏っている。
 今、机上にあるのは、黒田三郎、吉野弘、川崎洋などである。
 その中で、『詩と展景』に採用されているのは、黒田三郎だけであった。


    ★  ★  ★ ★ ★


 暖かな今日は、買い物日和だと思ったが、出かける気分になれなかった。 
 当たり前のことだが、じわじわと、心身に老いが深まってくる感じがする。


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雨のあと

2023-02-10 | 小庭の四季
 静かな雨が降り続いた。
 幾度か、ドアを開けて、降り具合を確かめる。

 雨上がりを待って、庭に出る。
 雨に濡れた樹木の肌は、申し合わせたようにしっとりと、いつもより黒ずんで見える。

 雨滴をとどめた梢を眺めながら移動する。


    アンズの小枝に。

    


    ロウバイの花に。

    


    モッコクの葉に。

    




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