ぶらぶら人生

心の呟き

水仙の里へ 3

2010-01-12 | 散歩道
 水仙の里への道を歩く。
 水仙の咲き満ちた広場には下りず、蛇岩同様、遥かに眺めた。
 水仙は、一輪であっても複数であっても、近くで眺める花だと思いつつ。
 今日は、道の辺に咲く花を楽しみ、駐車場脇の群生を眺めるだけで引き返した。

                   

           

           

           

 歩道脇の樹林には、藪椿の木が多い。
 まずは落果に気づき、やおら梢を見上げて、赤く咲いた花を眺めた。
 水仙と同じく寒さに耐えて咲く花である。

           

 水仙の里からの帰途、黒雲の途切れ間から漏れる、無気味な午後の日差しを眺めた。
 明日から寒波が襲来するという。
 それを予感させるような、雲行きであった。
 
           
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水仙の里へ 2

2010-01-12 | 散歩道
 <水仙の里>への道は、海沿いの小山の中腹、海を眼下に見下ろす位置にある。
 波打際は、歩道からは見えない。
 防風林のように海を遮る林の隙間から、時折、鈍く荒れる海を眺めることができる。

 水仙の里への道を歩き始めて程なく、遥か下方に、よく散歩するコースの海辺が見えた。
 日本海は今日も荒れ模様で、海鳴りの轟音が激しい。

           

 高島が、木々の合間に、時折姿を現す。
 単調な海原に、この島影を眺めて佇むとき、なぜともなく心が和む。
 無人の島となって久しい。
 白い灯台が、島の東よりにあるのだが、曇り日の今日は見えなかった。

 <沖の高島 回れば5キロ>

 子どものとき覚えた「石見かるた」には、周囲5キロの小島であることが詠まれていた。
 かるたで高島の名を知った幼少の頃には、石見の東部に暮らしていたので、私はまだその島の姿を知らなかった。

 <紺青の…>
 と初句を思い出しながら、後が続かなかった。
 永井隆博士が高島を詠まれた歌を思い出そうとしたのであった。
 しかし、近年覚えたその歌は、幼少期の記憶と違って、完全に口ずさむことができなかった。
 帰宅後、永井隆の歌集『新しき朝』を開いて確かめた。

 <紺青の石見の海や白波の光る退方(そぎえ)に高島の見ゆ>

 永井隆博士が、若き日、山陰本線の車窓から、眺められた高島の景である。

           

 第一駐車場には、数台の車が止まっていた。
 その広場に幾人かの人の姿もあった。市の広報車があり、知人のMさんの姿もあった。挨拶をし、今年は水仙の開花が早いことなどを話した。
 岩場を歩いている人の姿が眼下に小さく見えた。その数10人くらい。観光客かと思ったが、市役所の人の話によると、ガイドの養成者とのことだった。
 水仙に併せ、蛇岩を観光のポイントにしようという考えなのだろう。
 
 私は、その蛇岩には下りなかった。
 海風を全身に受けながら、見下ろすに留めた。 

            
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水仙の里へ 1

2010-01-12 | 散歩道
          

                 

          

 少し歩いてこようと、家を出た。
 散歩といえば、いつも海辺を歩く。
 が、今日は散歩コースを変更し、山沿いを歩いてみようと、国道を西に向かった。
 
 道のあちこちに、水仙が咲いている。
 それを眺めているうちに、急に気が変わり、<水仙の里>へ行くことにした。
 国道から駅裏を通って引き返した。
 
 最初の標識(↑ 100m先 左折 唐音水仙公園)を右手に見ながら、東に向かった。
 間もなく、第二の標識(← 水仙の里 唐音の蛇岩)が現れる。
 そこから<水仙の里>への道が始まる。
 その標識の傍には、唐音への道を示す古びた標識(唐音の蛇岩 ここより1・5キロ)も、立っている。
 
 往復すれば3キロの散歩ということになる。
 しかし、途中で不安を感じれば、すぐ引き返すことにしようと思いながら、歩き始めた。
 というのは、<水仙の里>への道は物寂しく、老女とはいえ女性のひとり歩きには向いていない。
 人通りがなく、歩道の両脇の木々が空を隠し、無気味である。
 私は、ひとりで歩くときは、入り口を少し入ったところで引き返すことにしていた。
 
 が、年々、<水仙の里>への道が明るんできた。
 <水仙の里>が、世間に周知されるにつれ、次第に環境が整備されているのだ。
 歩道周辺の木々が伐採され、道も空も広くなった。

 これなら大丈夫だなと思いながら、ひとり歩く。
 静寂な道に、海の遠鳴りが聞こえてくる。
 繁茂した雑木林の中では、幾種類もの小鳥が囀っている。
 私を追い越して、2台の車が海に向かった。
 帰路の車にも、2台出会った。
 平日の、寒々としたお天気にも拘らず、水仙の里を訪れる人があるのだ。
 歩いているのは私ひとりであった。
 カラカラと、枯れ葉が私を追いかけてくる。

 ポケットの中で携帯が鳴った。友人からであった。
 居場所を告げる。
 平然とで歩いているつもりだったが、相当息が弾んでいる、と友人に言われた。
 私はゆるやかな坂道を上っていたのだった。
 一旦、上った道は、また海に向かって下ってゆく。

 道が下り始めて程なく、三番目の標識(→ 水仙公園 もう少し)が左手に見え、足取り軽く道を下った。 
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