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「オカヤドカリは飼育下で繁殖行動は起こさない」という、それまでの定説に反して、我が家のナキオカヤドカリが最初に産卵したのが2004年。 翌2005年、どういった幸運か、ナキオカヤドカリ2個体とムラサキオカヤドカリ1個体が延べ5回産卵するという繁殖ラッシュに見舞われ、大量のゾエア幼生を飼育する機会を得た。 オカヤドカリの人工繁殖についての情報がほとんどない中、手探りでの幼生飼育となったのだが、供給されるパイが大きかったことが幸いして、数匹を上陸させるまで育て上げることができたものの、完全に陸上に適応させることはできずにあと一歩のところで全滅。 その後、2006年、2007年と途切れることなく産卵をしてくれたにもかかわらず、飼い主のスキルと気力と集中力が及ばず敗退。 そして5年目の今年、どうにかこうにか2匹のグラウコトエを無事稚ヤドカリに変態させることができた。 たった2匹とはいえ、しっかりと貝殻を背負ってちょこまかと陸上を歩くオ・カ・ヤ・ド・カ・リを眺めていると、この5年間の挫折感が走馬灯のように駆け巡り、その後からじわじわと達成感が湧き上がってくる(大袈裟か(^^;) まあ、ともかく今回は少しだけ胸を張って「オカヤドカリの繁殖成功」の記録を報告する。 「オカヤドカリの繁殖成功!」・・・、ええ響きや。 長かったなぁ・・。 8月11日は、みーばい亭で初めて繁殖に成功したナキオカヤドカリ「琴」の誕生日。 上は、みーばい亭本店のヤドカリ話にアップした繁殖レポートの冒頭文でございます。 拙文ながら、今読み返しても喜びと興奮が熱く伝わってきますな(笑) ![]() あれから15年。 プランクトンだった琴さんもすっかり熟女の貫禄を身につけてヤドカリ槽に君臨しております。さて、あとどれくらい生きるのか? 30年以上の寿命を持つオカヤドカリやムラサキオカヤドカリと違って、小型種のナキオカヤドカリの余命はそんなに長くは無いと思うけど、これからも飼育下繁殖個体の長寿記録をどんどん更新してくださいな。 そういえば、先述の繁殖レポートの文末にこんなことを書いている。 令和5年、オカヤドカリを取り巻く状況は・・なにも変ってないか。 今回の繁殖成功によって、オカヤドカリがWC個体を1世代畜養するだけでなく、本当の意味での飼育(累代飼育)を楽しむことのできる生き物である可能性を示唆できたことに、飼育家として一つの誇りを感じる。 まだまだ、飼育動物としては軽く扱われることの多いオカヤドカリだが、累代飼育を目指して飼育するなら、その奥深さと面白さはへヴィー志向の飼育家でも十二分に満足できるはずだ。 多くの生き物好きに、オカヤドカリ飼育の本当の楽しさ、奥深さを知ってもらえれば、「ハーミーズクラブ」以降の、流通・飼育を取り巻く惨状が少しでも改善されるのではないだろうか? この小さなオカヤドカリたちがサザエ殻を背負う頃、すべての飼い主が心穏やかに飼育を楽しむことができる情況になっていてくれたら・・・。 ヤドカリ好きのささやかな願いである。 ![]() |