編笠をばさっと斬り割られて下からニヒルな顔がのぞくのは、時代劇によくあるシチュエーション。
強敵に斬られたのかどうかは知らんけど、そんな感じのヨモギホンヤドカリの編笠くん。
そんな貝殻の隙間からうらやまし気にのぞくのは・・・。
トラフグ~!
鍋~!
はい、てっちりでございます。
冬の間は、貧乏所帯の食膳とは遥かに縁遠いフグだけど、少し季節を外すと生簀の残り物が叩き売られるのか、鍋シーズンの終わりに伴う超過供給によるものなのか、とにかく目一杯背伸びして、さらにジャンプを決めれば何とか手が届くところまで下りてくる。
目標に向かって粉骨砕身努力して一所懸命突き進まなくても、陽だまりでビールでも飲みながらのんびり待っていれば、向こうが勝手に近付いてきてくれる。
果報は寝て待て、待てば海路の日和あり。
管理人の人生哲学である。
昔の人はええこと言うな~。
季節は春。
別れ火はとっくに過ぎたから、通人には怒られるかもしれないけど、鍋だし、ここんとこちょっと寒いし、酒は「萩の露」のまごころ純米をぬる燗で。
縄文時代から命懸けで食われてきた旨魚。
まさに酒に合わせるために創造された魚である。
味も食感もパーフェクトな超魚だけど、その本領は何といっても濃厚なだしにある。
今回は春ということもあって、余計な香りを抑えるために菊菜の代わりに菜花を使ったから、いちだんと上品な雑炊に。
締めだけど、やっぱり酒を求める究極のだし。
さて、フグは食ったし、次はぐじ鍋やね。
みーばい亭の鍋シーズンはまだまだ続く。