そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

食料自給こそが最も安全保障となる

2022-05-04 | 環境保護と循環


上の表は12カ月間の世界の食料価格指数(2014~16年を100とした指数) 動向の推移である。驚異的な動きの植物油(Vegetable oil)は量も少なく、すでに支持介入されえ先月から下降気味になっている。
食べもの全般が上昇気味なのは、Covid-19 の影響であると思われるが、今年になってから変化が起きている。ロシア-ウクライナ戦争である。特に穀物(Cereal)が際立っている。穀物の動向は地球の北半球が不作になれば南半球で増産するなど、人為的の調整が可能な作物でもある。一定の貯蔵が可能で、食料の動向に極めて重要な作物である。
ところが今年は戦争という人為的な、先の見えない要因で価格上昇が起きているものと思える。世界流通小麦の8%を占めるウクライナが、決定的なダメージを負ってしまうことが見込まれることが背景にある。これを受けて酪農製品(生乳・チーズ・バターなど)も上昇していることが判る。
日本人が消費する穀物は75%を海外に依存している。小麦にトウモロコシに大豆が主な輸入穀物であるが、概ね3000万トン弱輸入している。国内ではお米と若干の小麦などを加えても1000トンに満たない。穀物自給率は25%ということである。輸入穀物の3分のⅠになる2000万トンが、鶏と牛と豚の家畜に与えられて、卵や鶏肉や豚肉や牛肉や乳製品を生産している。
日本の畜産製品は、輸入穀物(主にトウモロコシであるが)によって生産されていると言って過言ではない。しかも食料の基準となるカロリーは、鶏卵で8分のⅠ、牛乳で15分のⅠ、豚肉で25分のⅠ、牛肉になると30分のⅠ和牛肉になると70分(以上)のⅠまで落とすことになる。
家畜に穀物を給与することは、食料自給率を極端に下げることになる。人と競合する穀物を、生産性重視つまり経済性優先で大量に給与されるのである。一方で貧困にあえぐ人間は飢餓に陥る一方で、肥満に苦しむ先進国の家畜たちが同時に地上に存在することになっている。食料に倫理観などなく取引されている。食料は価格を高く上げたところが優先して獲得することになる。
現在のような国家同士の諍いが起きると、海外に食料を依存している国は食料基盤の脆弱性を改めて知ることになる。こんな時こそ食料自給を真剣に考えるべきなのである。安全保障を武力でしか語らない日本は、食料自給こそが最も安全保障になることを今こそ知るべきである。


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