
新幹線が来たのは、函館までである。もしくは青森からわずか149キロ延伸したに過ぎない。しかもそのほとんどが、貨物車を含めて在来路線と共有する青函トンネルである。本格的な経済効果があるとすれば、220キロ先の札幌まで繋がってからである。しかも共有路線などなくすべてが新たに建造される路線である。14年先の2030年とされているが、そんなに早くつながるわけない。
私の住む北海道の東の果て(僻地です)からだと、函館まで650キロある。そこまでではなくても、ほとんどの北海道の人たちとは無縁の北海道新幹線の開通である。
悲願の新幹線とか夢の新幹線とか大騒ぎの北海道新幹線であるが、すでに赤字を見込んでの開通である。開業の時でさえ、乗車率が70%しかなくそれ以降も30%程度しか見込んでいない。開業来の予約率は24%と報道されている。そしゃそうだろ、149キロしか乗らない人がそんなにいるわけない。JR北海道も北海道新幹線の当面の収支見通しを、2016~18年度は毎年48億円程度の赤字になると試算している。
三本のレールをひいて、速度を落として在来線と共有する青函トンネルの利用も複雑である。重大な過失を管理のずさんさから、ここ数年重大事故を繰り返しているJR北海道である。不安を感じる道民は少なくはない。
JR北海道の鉄道事業は毎年300億円の赤字である。国鉄から移管した段階でいただいたお金の資金運用で補てんしている。円安と株高でアベノミクスの恩恵を授かっているが、もうそれもお仕舞である。
仮に札幌まで繋がっても、だだっ広い北海道ではせいぜい中核都市が潤いうかもしれない程度であって、周辺の地域は過疎化が進行す¥を促すことになるだろう。1970年の46年前に施行された、全国新幹線鉄道整備法は赤字やマイナスの効果など考慮したものではない。作ってしまえば何とかなるという、日本列島改造論の思想が根底にある。
この国は1千兆円を超す赤字を抱えているのが、こうした無用の公共工事が累々と積み重ねてきたものである。税収増ばかりを目論むアベノミクスであるが、その典型が北海道新幹線である。新幹線は作り続け続けならないのである。原発も道路も同じ構造である。新幹線は、土建屋と政治家それに官僚機構が生み出した、汚物のような存在である。