安倍首相は来日中のインドのシン首相と原子力協定をめぐり交渉の再開で合意した。原発技術の輸出は福島第一原発事故の教訓より経済を優先している。しかも核不拡散の原則に反している。
インドは核保有国であるが、核拡散防止条約(NPT)に加盟していない。包括的核
実験禁止条約(CTBT)にも署名していない。国際社会の監視が届きにくい。早い話が、核に関する限る北朝鮮と同じレベルにあると言える。
インドには現在、20基の原発がある。恒常的な停電など、電力不足に悩んでいる。2030年までに原発を40基にする計画であるらしい。インドは日本の原発事故に同情的で、津波によるものであって原発技術が起こしたものではないというのである。
安倍首相は「事故の経験と教訓を世界と共有することによって、世界の原子力安全の向上に貢献していく」と言う。野田は一方的に、原発事故の終息を宣言したが、これに輪を掛けて安倍は原発認識が甘い。
成長戦略のためなら何でもやるというのが、経済優先政策アベノミックスの言い分であろう。国内では新増設に慎重であり、ほとんどが稼働していない現状である。事故に関わる処理も全く進んでいない。なのに海外へは積極的に輸出するのでは、国際社会ルールの反する行為と言える。
原発建設は一基5000億円にもなる、大事業である。インド各地では、福島原発事故を受けて不安が広がっている。現地では反対も根強く各地で行われている。
日本は今月、トルコそしてUAE・アラブ首長国連邦と相次いで原子力協定を結び、またインドとも結んだ。アベノミックスのためなら何でもやる、なんとも節操のない話である。
被爆国日本、原発事故を経験している日本は、インドに対してNPT加盟を促して、核兵器の削減や実験の中断を申し入れるべき立場にあるのではないか。原発の輸出は、金のためなら何でもやるという、アベノミックスの象徴的矛盾である。
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