バイオ燃料をその言葉だけで、環境保護の側に立つきれいな燃料と思ってはならない。石油が、戦略物資としての様相が高まる中、アメリカのようにほとんど強制的とも思える、飼料用穀物からの転換などはその良い例である。
現在アメリカ中西部の穀倉地帯では、政府の補助を受けて数年で建設中の蒸留施設が完成すると半数以上の州が、飼料用コーンの輸出ができなくなると予測している。燃料生産効率がコーンは1.3倍であるのに対してブラジルが主に生産しているサトウキビは9.0程度である。
アメリカの強引な「バイオ」政策が際だって見える。アメリカの飼料用穀物に大きく依存している日本の畜が大きな転換を迫られることになる。とりわけ、酪農乳製品の高騰をFAOが予測している。
表のグラフの一番上が乳製品で、2番目が穀物である。肉の価格は余り変動しないと予測している。コーンに依存している、もう一つの畜産製品卵もかなり高騰が予測される。
ところで、日本の酪農乳製品はだぶつき気味である。テレビなので盛んにCMを流しているが売れない。酪農家には、この2年間生産調整の枠がはめられている。
酪農家は、こうしたことを受けて穀物の多給を控えるようになっている。この2年で乳牛の生産病と言われる病気が急減している。
そのことは良いことであるが、酪農家の方は穀物価格の高騰と乳価の下落と生産調整で、青息吐息である。
急激な、バイオ燃料へのシフトに対して世界各国では、法の整備が盛んである。そもそもが、燃料生産の作付け産品が、農産物かどうかの規定すら曖昧である。我が国では、農業の一分野として扱うようであるが、そのこととすら検討されていない。