栗原に住むようになり,本を読む時間が増えたので,今日はちょっと最近読んだ本の話を。
この本は,明治時代に日本からアメリカに渡った移民をテーマとした井上靖著の未完成のロマンであり,主人公の桑一郎は明治22年(1889年)にサンフランシスコで生まれ,その後日本の伯父にあずけられて育ち,20才で再渡米し古美術商に勤めることになります。
生涯のあこがれとなる花大路祥子との出会いや,12年後,伊豆の伯母の病により急遽帰国し,その時に陶子を知り,陶子の両親がアメリカにいて洋裁学校を経営しており,陶子も伯母のもとで育った身の上であることで,次第に二人は結婚することにストーリーは展開していきます。
桑一朗は,両親のいる農場へ彼女を連れて行き,移民としての苦労や日本への郷愁を知り,この妻を生涯の伴侶とし,日本人として誇りをもって暮らしアメリカに骨を埋めようと決意します。
『わだつみ』はここで終わっており,井上靖氏はこの後どのように書き続けるとつもりであったのだろうかと思いを馳せてしまいます。
『わだつみ』のⅢ部を書いた後で,井上靖氏は12年ほど生きていたのですが,続きを書くことはなかったのです。
読み終えてすぐは,この続きを読んでみたい気がしていましたが,しばらくするとこんな終わり方も良いのではないかという気がしてきました。
シューベルトの交響曲第7番『未完成』を聴いて,3楽章以降も聴いてみたいと誰でも思うのですが,この2楽章までの素晴らしいメロディを受け,どんな曲を綴っても受け止められないのではと思うようになりました。
私が大学3年生の時,クラブの後輩から薦められて『わだつみⅠ部』を買って読んだのですが,高校2年の頃,年間に100冊を読んだ時,井上靖の本がとても読みやすく,何とも言えない優しい文体で共感を持っていたこともあり,『わだつみⅠ部』を一気に読んでしまったことを覚えています。
しかし,貧乏学生なのに勉強もしないでお酒を飲んでばかりいたせいもあるのですが,当時1,500円の本を3冊買うことができないまま,結局,完読できないうちに時は流れて行きました。
昨年末に,ふっと『わだつみ』を思いだし,ネットで検索したら,中古でⅠ~Ⅲ部の3冊セット1,000円で売っているではないですか,すぐに購入して,1ヶ月ほどで今度こそ完読しました。
主人公の桑一郎(そういちろう)の桑は,サンフランシスコを日本読みにした時の桑港の字からきており,この運命的な主人公と魅力あふれる男女の純粋で静かで激しい絡み合いが,この小説を一気に読ませている一つの魅力だと思います。
自分的には,忘れてきた青春のやり残しを成し遂げることができた感じで,とてもスッキリしましたが,人生のやり残しもこんな感じでもう一回やり直せたらと思ってしまう今日この頃です。
『わだつみ』全3巻
この本は,明治時代に日本からアメリカに渡った移民をテーマとした井上靖著の未完成のロマンであり,主人公の桑一郎は明治22年(1889年)にサンフランシスコで生まれ,その後日本の伯父にあずけられて育ち,20才で再渡米し古美術商に勤めることになります。
生涯のあこがれとなる花大路祥子との出会いや,12年後,伊豆の伯母の病により急遽帰国し,その時に陶子を知り,陶子の両親がアメリカにいて洋裁学校を経営しており,陶子も伯母のもとで育った身の上であることで,次第に二人は結婚することにストーリーは展開していきます。
桑一朗は,両親のいる農場へ彼女を連れて行き,移民としての苦労や日本への郷愁を知り,この妻を生涯の伴侶とし,日本人として誇りをもって暮らしアメリカに骨を埋めようと決意します。
『わだつみ』はここで終わっており,井上靖氏はこの後どのように書き続けるとつもりであったのだろうかと思いを馳せてしまいます。
『わだつみ』のⅢ部を書いた後で,井上靖氏は12年ほど生きていたのですが,続きを書くことはなかったのです。
読み終えてすぐは,この続きを読んでみたい気がしていましたが,しばらくするとこんな終わり方も良いのではないかという気がしてきました。
シューベルトの交響曲第7番『未完成』を聴いて,3楽章以降も聴いてみたいと誰でも思うのですが,この2楽章までの素晴らしいメロディを受け,どんな曲を綴っても受け止められないのではと思うようになりました。
私が大学3年生の時,クラブの後輩から薦められて『わだつみⅠ部』を買って読んだのですが,高校2年の頃,年間に100冊を読んだ時,井上靖の本がとても読みやすく,何とも言えない優しい文体で共感を持っていたこともあり,『わだつみⅠ部』を一気に読んでしまったことを覚えています。
しかし,貧乏学生なのに勉強もしないでお酒を飲んでばかりいたせいもあるのですが,当時1,500円の本を3冊買うことができないまま,結局,完読できないうちに時は流れて行きました。
昨年末に,ふっと『わだつみ』を思いだし,ネットで検索したら,中古でⅠ~Ⅲ部の3冊セット1,000円で売っているではないですか,すぐに購入して,1ヶ月ほどで今度こそ完読しました。
主人公の桑一郎(そういちろう)の桑は,サンフランシスコを日本読みにした時の桑港の字からきており,この運命的な主人公と魅力あふれる男女の純粋で静かで激しい絡み合いが,この小説を一気に読ませている一つの魅力だと思います。
自分的には,忘れてきた青春のやり残しを成し遂げることができた感じで,とてもスッキリしましたが,人生のやり残しもこんな感じでもう一回やり直せたらと思ってしまう今日この頃です。
『わだつみ』全3巻
井上靖が、しごく読みやすい小説を書く作家で、お好きだったとの言葉に、成程という思いがしました。詩は読まれましたでしょうか?
年間100冊も読破されたといいますが、すごいなと、感心いたしました。
下記のブログを書いていますので、おついでの折に、一度覗いてみて下さい。
「一言一会」 → http://ameblo.jp/tutiya62/
あなたのブログを見せて頂きましたが,うんちくのある内容で,私が本の事を書くのが恥ずかしいく思えました。
人間万事塞翁が馬の話など,色々と勉強になることが多く書かれているようなので,また,ブログを見せて頂きます。