加齢に伴って心と体の働きが衰える「フレイル」。 高齢になってからの問題と思いがちだが、
40~50代の働く世代にも意外と多いことがわかってきた。 「忙しいから」「疲れている
から」ですまさず、早めに運動や食事に気をつけて、フレイルを遠ざけましょう。
フレイルとは,病気ではないが年齢に
伴って心身の機能が低下した状態。
介護が必要になる一歩手前の段階を
指す。フレイルかどうかは体重減少
や歩行速度、運動習慣、認知機能、
疲労感など、体と心、社会性の3つ
の観点から判定される。
ではフレイルの人はどれくらいいる
のか。医薬基盤・健康・栄養研究所
などが2018年と19年に大阪府
の摂津市と阪南市で住民約9千人を
調べたところ、40代で16%(摂
津市)と12%(阪南市)、50代で
は15%と12%が該当。40,5
0代の6~8人に1人がフレイルという結果だった。
調査に携わった早稲田大学スポーツ科学学術院の“宮地教授”は「働き盛りでこんなに多いとは
予測しなかった」と驚きを隠さない。 該当者からも「忙しくて疲れているだけと思ってい
た」「まさかフレイルとは」といった感想が多かったそうで、「本人が気づいていない❛隠れ
フレイル❜といえる」(宮地教授)。
この傾向はコロナ下でさらに進んだ可能性がある。 昨年、日本生活習慣病予防協会が医師3
30人を対象にフレイルに関する調査を実施。 その結果、8割以上の医師がコロナ下でフ
レイルに該当する患者が増加したと指摘したそうだ。 最も多かったのは70代以上だが、
50代でも約36%、40代でも約2割の医師がフレイルが増えたと回答した。
同協会専務理事で東京慈恵会医科大学付属柏病院の“吉田院長”は「コロナ下では血糖値や中性
脂肪値などがあがる患者が多く、メタボや生活習慣病の悪化とフレイル化が同時に進行した
ようだ」と語る。
在宅ワークで通勤が減って身体活動量が減少し、筋肉量が減ったことが大きな要因と考えられ
る。 「筋肉が減ると糖や脂肪の代謝にも悪影響が出てくる」(吉田院長)。 宮地教授も
「働く世代の男性の場合はメタボがフレイルにつながることが多い」と指摘する。 肥満に
なると体が重く、膝や腰に痛みが出ることもある。 歩行速度が低下し、疲れやすく、運動
量も減りがちだ。 一方、女性の場合はやせによる体力低下や活動量の減少からフレイルに
なることが多いという。 どちらにも共通するのが筋肉量の低下だ。
そこでフレイル対策では、筋肉量の維持、増加が重要になる。 まずは運動だが「今より10
分多く」を心がけたい。 「会社ではあえて階段を使って別の階のトイレに行くなど、少し
でもいいので活動量を増やすといい」と吉田院長。 スクワットや腕立て伏せ、つま先立ち
などの筋トレもお勧めだ。 きついと感じるところまでやると筋肉強化になる。
食事は、筋肉のもととなるたんぱく質を十分に摂りたい。 宮地教授らの研究では、現在の食
事にたんぱく質を少し加えるだけで筋肉量が増えることが分かった。 しかも、たんぱく質
の摂取量が少ない人ほど筋肉の増加率が高いという。 「今より10㌘多くを目標にすると
いい。 朝食にゆで卵を加えるなど、ちょっとした食べ方の工夫で筋肉量が増える」(宮地教授)
1日の食品数が多いほどたんぱく質の摂取量が増えることも確かめられている。 食事は1人
より誰かと一緒の方が食品数が増え、社会とのつながりも維持できる。
摂津市ではフレイル該当者が運動や食事の保健指導を受け、数カ月後には約3分の2がフレイ
ルから脱したそうだ。 「働く世代のフレイル予防は、生活習慣病予防にも直結する」と吉
田院長は話しています。 早いうちから対策をすることが一番だとも言っています。
40~50代の働く世代にも意外と多いことがわかってきた。 「忙しいから」「疲れている
から」ですまさず、早めに運動や食事に気をつけて、フレイルを遠ざけましょう。
フレイルとは,病気ではないが年齢に
伴って心身の機能が低下した状態。
介護が必要になる一歩手前の段階を
指す。フレイルかどうかは体重減少
や歩行速度、運動習慣、認知機能、
疲労感など、体と心、社会性の3つ
の観点から判定される。
ではフレイルの人はどれくらいいる
のか。医薬基盤・健康・栄養研究所
などが2018年と19年に大阪府
の摂津市と阪南市で住民約9千人を
調べたところ、40代で16%(摂
津市)と12%(阪南市)、50代で
は15%と12%が該当。40,5
0代の6~8人に1人がフレイルという結果だった。
調査に携わった早稲田大学スポーツ科学学術院の“宮地教授”は「働き盛りでこんなに多いとは
予測しなかった」と驚きを隠さない。 該当者からも「忙しくて疲れているだけと思ってい
た」「まさかフレイルとは」といった感想が多かったそうで、「本人が気づいていない❛隠れ
フレイル❜といえる」(宮地教授)。
この傾向はコロナ下でさらに進んだ可能性がある。 昨年、日本生活習慣病予防協会が医師3
30人を対象にフレイルに関する調査を実施。 その結果、8割以上の医師がコロナ下でフ
レイルに該当する患者が増加したと指摘したそうだ。 最も多かったのは70代以上だが、
50代でも約36%、40代でも約2割の医師がフレイルが増えたと回答した。
同協会専務理事で東京慈恵会医科大学付属柏病院の“吉田院長”は「コロナ下では血糖値や中性
脂肪値などがあがる患者が多く、メタボや生活習慣病の悪化とフレイル化が同時に進行した
ようだ」と語る。
在宅ワークで通勤が減って身体活動量が減少し、筋肉量が減ったことが大きな要因と考えられ
る。 「筋肉が減ると糖や脂肪の代謝にも悪影響が出てくる」(吉田院長)。 宮地教授も
「働く世代の男性の場合はメタボがフレイルにつながることが多い」と指摘する。 肥満に
なると体が重く、膝や腰に痛みが出ることもある。 歩行速度が低下し、疲れやすく、運動
量も減りがちだ。 一方、女性の場合はやせによる体力低下や活動量の減少からフレイルに
なることが多いという。 どちらにも共通するのが筋肉量の低下だ。
そこでフレイル対策では、筋肉量の維持、増加が重要になる。 まずは運動だが「今より10
分多く」を心がけたい。 「会社ではあえて階段を使って別の階のトイレに行くなど、少し
でもいいので活動量を増やすといい」と吉田院長。 スクワットや腕立て伏せ、つま先立ち
などの筋トレもお勧めだ。 きついと感じるところまでやると筋肉強化になる。
食事は、筋肉のもととなるたんぱく質を十分に摂りたい。 宮地教授らの研究では、現在の食
事にたんぱく質を少し加えるだけで筋肉量が増えることが分かった。 しかも、たんぱく質
の摂取量が少ない人ほど筋肉の増加率が高いという。 「今より10㌘多くを目標にすると
いい。 朝食にゆで卵を加えるなど、ちょっとした食べ方の工夫で筋肉量が増える」(宮地教授)
1日の食品数が多いほどたんぱく質の摂取量が増えることも確かめられている。 食事は1人
より誰かと一緒の方が食品数が増え、社会とのつながりも維持できる。
摂津市ではフレイル該当者が運動や食事の保健指導を受け、数カ月後には約3分の2がフレイ
ルから脱したそうだ。 「働く世代のフレイル予防は、生活習慣病予防にも直結する」と吉
田院長は話しています。 早いうちから対策をすることが一番だとも言っています。