不健康な量のお酒を飲む女性が増えているという。 特に50代で増加が目立っているそうだ。
女性が本格的に社会進出し、仕事も飲み会も男性並みにこなしてきた世代だ。 生活習慣病の
リスクを高める量のお酒を飲む女性の割合が男性を上回ったとの東京都の調査もある。
女性は一般的に男性に比べアルコールの分解速度が遅く身体に大きな負担がかかりやすい。
女性に多い非正規社員などの健康診断の機会も不十分で、問題が見逃される恐れもある。
厚生労働省が今年2月に発表した飲酒ガイドラインでは、生活習慣病のリスクを高める飲酒量
について、1日あたりの純アルコール量で女性は20㌘以上と、男性の40㌘以上の半分と
した。 ビールだと中ジョッキ1杯、ワインだと小グラス2杯程度にあたるが、十分に周知
されているとはいえない。
大手医療系企業に勤める女性(60)は「お酒はマイペースに楽しんできた」。 1986年に
施行され、職場での性別による差別を禁止した男女雇用機会均等法の第1世代だ。 男性社
員の多い職場で、課長クラスだった35~50歳ごろは飲み会の頻度が増えた。 一度にワ
インボトル1本弱を空けることもあったという。
ニッセイ基礎研究所の"村松主任研究員"が厚労省の調査をもとに計算したところ、生活習慣病
のリスクを高める量の飲酒をしている人の割合は、09年から19年の10年間で男性全体
では減ったのに対し、女性全体では増えた。
年代別では女性は40代で増加に転じる。特に50
代の女性で大幅に上昇し、8.9%から16.8%へとほぼ
倍増。男性の平均14.9%をも上回った。 対照的に
20~30代女性は減っている。もともと妊娠や授
乳などで飲酒機会が少ないのに加え、昨今の若者を
中心とする日本人の「酒離れ」の傾向が強く出たか
たちだ。村松主任研究員は「中高年女性の飲酒が増
えたのは、均等法施行以降の女性の社会進出と裏腹。
働きながら、自分のお金で自由にお酒を飲むのは良
い面もあるが、健康への影響は見逃がせない」と指
摘する。 東京都の5年に1度の調査でも、生活習
慣病のリスクを高める量の飲酒をしている人の割合
は2021年度に女性全体で17.7%に上り、さかの
ぼれる11年度以来、初めて男性全体を上回った。
不健康な飲酒は女性を蝕(むしば)む。 新型コロナウイルス過が女性の飲酒の機会を増やし、
アルコールが関連する病気を増加させた可能性もある。 京都大の研究グループがコロナ流
行期の4~6月にアルコール関連の肝疾患と膵炎(すいえん)による入院率を男女別に前年同
月比で比べたところ、男性は最大1.2倍だったが、女性は同2.0倍に達した。
アルコール依存症治療で知られる久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の“木村副院長”は「同
じ量の飲酒でも女性のほうが肝硬変など肝臓の病気や依存症に発展しやすい。 女性に多い
乳がんの発症リスクも高める」と指摘。 女性の依存症患者を支援する「オ、ハナ」(東京・
北)の“棚原施設長”は「家での飲酒はブレーキがかかりにくい。 在宅勤務と家事の両立で
ストレスを抱え、酒量が増えた人が多い」とみる。 こうした心身の変化を発見する機会に
定期的な健康診断があるが、男性に比べ女性はその機会に恵まれていない。
厚労省の22年の調査によると、正社員では男女ともに9割に受診機会があるが、女性に多い
非正規社員や専業主婦は5~7割程度にとどまる。 社会保険に詳しい同志社大の”佐々木
教授”は「正社員とそれ以外の職種では、年金などと同様、健康面などでも安全網に大きな
差がある」と話している。
女性が本格的に社会進出し、仕事も飲み会も男性並みにこなしてきた世代だ。 生活習慣病の
リスクを高める量のお酒を飲む女性の割合が男性を上回ったとの東京都の調査もある。
女性は一般的に男性に比べアルコールの分解速度が遅く身体に大きな負担がかかりやすい。
女性に多い非正規社員などの健康診断の機会も不十分で、問題が見逃される恐れもある。
厚生労働省が今年2月に発表した飲酒ガイドラインでは、生活習慣病のリスクを高める飲酒量
について、1日あたりの純アルコール量で女性は20㌘以上と、男性の40㌘以上の半分と
した。 ビールだと中ジョッキ1杯、ワインだと小グラス2杯程度にあたるが、十分に周知
されているとはいえない。
大手医療系企業に勤める女性(60)は「お酒はマイペースに楽しんできた」。 1986年に
施行され、職場での性別による差別を禁止した男女雇用機会均等法の第1世代だ。 男性社
員の多い職場で、課長クラスだった35~50歳ごろは飲み会の頻度が増えた。 一度にワ
インボトル1本弱を空けることもあったという。
ニッセイ基礎研究所の"村松主任研究員"が厚労省の調査をもとに計算したところ、生活習慣病
のリスクを高める量の飲酒をしている人の割合は、09年から19年の10年間で男性全体
では減ったのに対し、女性全体では増えた。
年代別では女性は40代で増加に転じる。特に50
代の女性で大幅に上昇し、8.9%から16.8%へとほぼ
倍増。男性の平均14.9%をも上回った。 対照的に
20~30代女性は減っている。もともと妊娠や授
乳などで飲酒機会が少ないのに加え、昨今の若者を
中心とする日本人の「酒離れ」の傾向が強く出たか
たちだ。村松主任研究員は「中高年女性の飲酒が増
えたのは、均等法施行以降の女性の社会進出と裏腹。
働きながら、自分のお金で自由にお酒を飲むのは良
い面もあるが、健康への影響は見逃がせない」と指
摘する。 東京都の5年に1度の調査でも、生活習
慣病のリスクを高める量の飲酒をしている人の割合
は2021年度に女性全体で17.7%に上り、さかの
ぼれる11年度以来、初めて男性全体を上回った。
不健康な飲酒は女性を蝕(むしば)む。 新型コロナウイルス過が女性の飲酒の機会を増やし、
アルコールが関連する病気を増加させた可能性もある。 京都大の研究グループがコロナ流
行期の4~6月にアルコール関連の肝疾患と膵炎(すいえん)による入院率を男女別に前年同
月比で比べたところ、男性は最大1.2倍だったが、女性は同2.0倍に達した。
アルコール依存症治療で知られる久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の“木村副院長”は「同
じ量の飲酒でも女性のほうが肝硬変など肝臓の病気や依存症に発展しやすい。 女性に多い
乳がんの発症リスクも高める」と指摘。 女性の依存症患者を支援する「オ、ハナ」(東京・
北)の“棚原施設長”は「家での飲酒はブレーキがかかりにくい。 在宅勤務と家事の両立で
ストレスを抱え、酒量が増えた人が多い」とみる。 こうした心身の変化を発見する機会に
定期的な健康診断があるが、男性に比べ女性はその機会に恵まれていない。
厚労省の22年の調査によると、正社員では男女ともに9割に受診機会があるが、女性に多い
非正規社員や専業主婦は5~7割程度にとどまる。 社会保険に詳しい同志社大の”佐々木
教授”は「正社員とそれ以外の職種では、年金などと同様、健康面などでも安全網に大きな
差がある」と話している。