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森を生かす村、若者集い起業

2024年07月10日 12時45分04秒 | 地域
  なだらかな山々に囲まれた人口1300人余りの小さな村に、若者が移住し次々と事業を立ち上げている。 
  兵庫、鳥取両県に接する岡山県西栗倉村。 地方で起業する「ローカルベンチャー」の成功例として注目
  を集めている。 きっかけは、村の森林を地域資源として見つめ直したことだった。

 4月中旬、ヒノキが立ち並ぶ静かな山の斜面で、ヘルメット姿の30代
 男性2人が、衛星通信機器をのぞきながら測量をしていた。間伐が必要
 な場所を特定する作業だ。2人は村から山林の調査や管理を請け負う株
 式会社「百森」の社員。「西栗倉村で林業がしたい」と、京都府と山梨
 県からそれぞれ移住した。
 同社代表取締役の“田畑さん”は東京都出身で、前職はIT系ベンチャー
 企業。林業は未経験だったが、友人と参加した村の起業スクールで、め
 まぐるしいIT業界と異なり数十年単位で取り組む林業に魅力を感じ、
 2017年に移住、起業した。「林業は面白いという直感は間違ってい
 なかった」と手応えを語る。

  村は08年、森林資源を最大限活用する「百年の森林構想」を掲げた。 04年に市町村合併を見送り、
   存続の道を模索した結果だ。 所有者が分散して放置されていた私有林を村が預かり、地域の共有財産
   として管理。 木材加工・流通を担う会社を住民らと共同出資で設立し、端材をバイオマス燃料に使う
   など、資源を地域でフル活用する仕組みを作った。 これらビジョンに共感した人々が集まり、村の木
   材を使った家具工房など、関連産業が続々成立。 教育支援など他分野の事業に取り組む人も増え、村
   によると08年以降に起業したのは50社を超える。
  これに伴い約220人の雇用が生まれ、今では人口約1300人のうち、移住者とその子どもが2割弱を
   占めるまでになった。 移住者の多くは20~40代で、女性も多いという。 人口は14年度末の約
   1500人から減ったが、“上山副村長”は「減少速度は予測よりも遅い」と話している。
  村は10年前、民間組織の推計で「将来消滅する可能性がる」自治体の一つとされていたが、4月に発表
   された新しいリストからは外れた。  静かな村だ。 温泉はあるが、コンビニはない。 若者を引き
   付けるのは、新しいことや人を受け入れる村の雰囲気だ。 20年8月に奈良県から移住した“Iさん”は
   最初の村の印象を「いろんなことが始まっていると感じた」と語ったそうだ。 今は教育支援に携わっ
   ており、イベントなど新しい提案をしても、役場に断られたことはない。 「実現する方法を一緒に探
   してくれる。 村に人たちが応援してくれている」と感謝する。 移住者が多く、悩みを共有できるの
   も支えになっている。
  西栗倉村の取り組みに詳しい岡山大の“中村特命教授(地域公共政策)”は「森林という資源をうまく使い新し
   い産業を生んだ。 若者が来て、子どもが生まれるという相乗り効果も生じた」と評価。 こうした取
   り組みは他の地域でも可能だとした上で「まねではなく、独自の強みを見つけることが重要だ」と強調
   している。  西栗倉村の取り組みの結果が大きな成果を得たようだ。