「大阪維新の会」(橋本徹大阪市長)は、最近「維新八策」なるものを発表した。
次期衆議院選のマニフェスト(政権公約)の基本理念のようである。しかし、その
内容は実現不可能に近いものと、矛盾性にとんだ内容である。具体的に分析し
てみよう。
①統治機構の作り直し。首相公選制(人気投票になる危険性があり、反対である)。
参議院の廃止(二院制だから堅実なのである。反対である)。地方交付税の廃
止(大都市部を抱える都道府県と地方との格差が生ずることになるので反対で
ある)。消費税の地方税化(前項と同じ結果になるので反対である)。大阪都構
想(具体的な内容が明確でなく、説得力に欠ける)。
②財政・行政改革。衆議院の定数を240人に削減。半減しようとの提案であるが、
その必要性はない。議員は多いほうが良い。むしろ、歳費を半減すべきである。
金のかからない選挙制度に改正すべきである。
③公務員制度改革。次官・局長級幹部の政治任用(身分が不安定になるので反対)。
管理職の内外公募制(日本の官僚は優秀なので公募する必要性はない。反対で
ある)。
④教育改革。首長に権限と責任を持たせ、第三者機関で監視(政治の教育への関与
に繫がるので反対である)。
⑤社会保障制度。特記すべきものなし。
⑥経済・雇用・税制。脱原発依存体制の構築(橋本大阪市長は大飯原発の再稼動に賛成
しており、脱原発を語る資格はない。二枚舌といわれても仕方ないであろう。昔から「国
敗れて山河あり」と云われてきたが、今や「原発事故で山河なし」の状態である。真剣に
原発の危険性を直視すべきである)。TPPへの参加(主食の米などの自給体制を進める
べきである。米国の大干ばつを見てもわかるように、将来的には外国からの食料輸入は
不可能になる状況になるであろう)。
⑦外交防衛。日本の主権と領土を自力で守る防衛力と政策の整備(趣旨は分らないわけで
はないが、隣国と全面戦争になれば両国ともに全滅することになるであろう。隣国どうし
の戦争を許さない世界体制になりつつある。現在のように、国連中心の平和外交に徹す
るべきである。仏教徒として、自衛隊員が一人でも戦死させてはならないと考える。)また、
「日米同盟を基軸」、「中露との戦略的互恵関係強化」とうたっている(いわゆる八方美人
的な発想で、何を云わんとしているのか意味不明である)。沖縄の負担軽減を図るロード
マップ作成(具体策が何も示されていない。それなら誰でも云える。鳩山元首相も同じこと
を云っていたが、解決できなかった。選挙目当ての単なる沖縄の人々に対するリップサー
ビスに過ぎない)。
⑧憲法改正。憲法9条を変えるか否かの国民投票(⑦にも関連してくるが、そこまで必要性が
があるのであろうか。一昔前の考え方である)。
「維新八策」のいくつかは、憲法改正が必要であり、実現性に欠けている。また、妥当性や
必要性があるのかどうか疑問な点も多い。とりたてて感心するような政策は見当たらない。
滋賀県知事は「維新八策」に対して、次のようにコメントしている。「ほとんどすべての項目が
どう実現するのか見えにくい。政治家として疑問がある」。「自分の立場なら、見通しの立たな
いマニフェストは出せない」。冷静なコメントである。八策は、全般的に単なる選挙目当ての政
策といわれても仕方ないのではなかろうか。このような八策を必要以上にマスコミは煽ってい
る。マスコミによる情報操作である。慎むべきではなかろうか。