今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

グレタ女史と私の違い

2020-03-06 15:42:13 | 幸福の追求

  グレタ・トゥーンベリ女史(16才)と私との違いを書こう。グレタさんはスエーデ
ンの環境活動家である。「近い将来、私たちは絶滅する運命にある。死ぬのを分かってい
るのに勉強する意味があるのか」と云うような考えで、一人で「学校ストライキ」をした
少女である。16才で人類の未来を予知する洞察力にまず驚く。温暖化という人類絶滅の
道を選んだのは大人達である。今すぐ温暖化対策をするべきである。経済的な理由でそれ
ができないのであれば納得できない。人類絶滅の道を進むのだけは「絶対許さない」と何
度も発言している。
 一方、私は人類破滅の可能性という点ではグレタさんと同じと云えよう。しかし、22世
紀を迎える5%という少数の人達が生存することを想定している。その人たちが生き延びる
ことのできる方法はある、と信じている。その方法は「地底都市」の建設以外には考えられ
ない。地球の大気は炭酸ガスの濃度が3%になれば人類の生存を許さないからである。した
がって5%の人々は地底で生き延びる以外に方法はないことになる。その地底都市で人類が延
命するためには衣・食・住の大問題を解決しなければならない。しかし、現代科学力を総動員
すれば実現可能だと信じている。そうして人類は延命し、温暖化で汚れた地球環境を、地球自
身の復元力で再生する時期が来ると信じている。その再生された地球で人類は平和と幸福に満
ちた地球にするのが人類の責務ではないかと考えている。その時は地上で人類は生存すること
になるだろう。ただし何百年後になるのかは分からない。すなわち、人類絶滅という絶望では
なく、人類の延命と地球の再生を私は主張しているのである。これが地底都市計画を世界中で
研究を始めるべきだと主張している根拠でもある。
 今のところグレタさんの主張には未来の絶望だけで、延命策はないようである。この点につ
いては参考になる映画がある。「猿の惑星」である。あるとき宇宙船がどこかの惑星に着陸した。
その宇宙船には4人(5人かも)の宇宙飛行士がカプセルの中で休眠していた。何十年ぶりか
に目覚めた飛行士は外に出たが空気があり、不都合はなかった。しかしその惑星を支配してい
たのは猿人たちだった。馬にまたがり銃を肩にかけた猿人は人間のような動物を捕らえて牢獄
のような施設に収監していた。最終的には人間を殺していたようである。その理由は、人間は
ろくなことをしない。屁理屈をつけて戦争したり、戦勝国は覇者として支配し敗戦国の人々を
奴隷化して虐待したり、自国の利益に走ったり、人間はろくなことをしない。その結果この惑
星の人が住めないような星にしてしまったからだという。ほとんどの人間は死に絶えていた。
残っている人間はごく少数になったが全滅させなければ不幸の種を残すことになるので人間狩
りをしているということだった。宇宙飛行士たちも猿人に捕まったが脱獄して逃げ回った。最
後にその飛行士たちが出会ったのはニューヨークにあった自由の女神が半身砂で斜めにうずま
り、上半身には松明をもった像だった。その惑星は地球だったのである。「猿の惑星」のストー
リーの概略である。この映画を録画していたが、その内容がいやだったので、消してしまったい
きさつがある。残しておけばよかったと思っている。
 グレタさんは若い少女であるが、「絶対に許さない」と言っていることから、猿人の考え方に
近いと思われる。
 私は仏教徒であるから、人を殺すという考え方には賛成できない。上記の猿人は否定せざるを
得ない。今更温暖化の責任を追及したとしても個人名を上げて追求することは不可能だと思って
いる。温暖化への道を選択した人類を追求しても、個人的な責任を追求しきれないだろうと考え
ている。仏教的には共業(ぐうごう)と云っている。共業とは「皆でしてきた業」の意味である。
大多数の人々、草の根的な支持があったのも事実だからでもある。
 また、人類の一部の人たちが生き残り、何百年後に地球が再生されれば今度は仏教思想が世界
の中心となって大成さるものと信じている。グレタ さんも仏教思想を参考にしていただき、人類

の未来を切り開いていただきたいと願っている。