今月の12日、軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)の第8回
外相会議が広島市で開かれ、「広島宣言」を採択した。その内容
は多国間の核軍縮をうながし、中国などを念頭に核保有国の増加
傾向を懸念するものである。具体論に欠けた内容である。しかし、
核のバランスにおける平和維持という現状そのものが危機に瀕し
ているといえよう。しかし、広島市で開催された意義は大きい。
日本は世界の平和の騎手として最もふさわしい存在である。長
崎、広島は世界で唯一の被爆地だからである。現在の安倍政権の
右傾化はある程度理解できる。しかし、ナショナリズムにもとづ
く富国強兵策には賛成できかねる。時代遅れだからである。
その端緒となったのは、尖閣諸島をめぐる中国との国境問題、
竹島をめぐる韓国との国境問題、さらには中・韓との過去の歴史
問題である。しかし、尖閣諸島には一人も人が住んでいるわけで
はない。竹島には取るに足らない韓国軍の施設だけである。日本
も含め各国ともに、海底の資源と漁業権等があるから拘るのであ
る。
しかし、国土、領土という概念は約500万年の人類史の中でも
ごく最近のことである。約3000年前くらいからの概念にすぎな
い。戦利品の最大のものは領土だった。取ったり、取られたりを
繰り返してきたのである。その都度の戦争で泣かされてきたのは
一般市民だった。このため、ブッダは戦争をなくする方法の一つ
として「世界中から国境をなくせ」、と説いたのである。
第3の原因である歴史問題であるが、辛酸をなめさせられた先の
大戦の被害国の言い分を日本は率直に認めるべきではないかと考え
る。なぜ、それを現政権は認めたがらないのか不思議でならない。
最後に、ある老人が当寺を訪れてきて曰く。「日本は二度と戦争を
してはならない。戦後、私はロシアに連行されて何年も強制労働さ
せられた。敗戦国の兵士としてこんな惨めなことはなかった。だか
ら二度と戦争をしてはならない」、と。
日本は世界平和の騎手として、平和外交に徹するべきだと考える。