今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

ブッシュ大統領来日の真意は何か?

2005-11-19 00:46:43 | 戦争と平和
 米国のブッシュ大統領が来日した。まず注目
しなければならないのは、共同声明や文書を一
切まとめない、という点である。
 その代わり、ブッシュ大統領と小泉首相が話
し合ったという数項目が、共同記者会見で羅列
された。①日米関係の重要性を確認。②イラク
での自衛隊派遣延長を小泉首相が事実上表明。
③在日米軍再編実現に首相は最大限努力するこ
とを表明。④日本の国連安全保障理事会常任理
事国入りを支持すると大統領は表明。⑤北朝鮮
の拉致問題で、懸念を共有していると大統領は
表明。⑥米国産牛肉の早期再開を大統領は要請。
⑦首相の構造改革路線を支持すると大統領は表
明。⑧北朝鮮の核廃棄の促進を確認している。
 しかし、これらは両国政府間では既に了解済
みのはずである。わざわざ来日して話し合う必
要性は感じられない。世界の警察官を自負する
ブッシュ大統領が来日して日本の首相と直に話
し合わなければならない重要な話題が他にある
はずである。それは一体何であろうか?
 その最中に、特に注目しなければならない国
連決議が17日なされた。それは北朝鮮の人権
侵害に対する決議である。
 国連総会第三委員会(人権)が採択した北朝
鮮非難決議のことである。これは英国が中心に
なって非難決議案を策定し、日米欧などの45
ヶ国の共同提案である。賛成84、反対22、
棄権62で採択された。投票では中ロ両国など
が反対、韓国などが棄権した。この総会決議は
法的拘束力はないが、国際社会の意思表示とし
ての重みがある。
 その非難決議の内容は、北朝鮮の「組織的、
広範囲の人権侵害」に深刻な懸念を表明したも
のである。①強制的失踪という外国人拉致に関
連する未解決の諸問題。②政治犯らに対する強
制収容所の問題。③外国から送還された脱出住
民(脱北者)に対する虐待、等々である。これ
らの内容は、すでにマスコミ報道されているの
で周知の事実であり、非難決議は当然といえば
当然のものである。
 しかし、問題は、米国などが何か(戦争)を
する前に使う常套手段だということである。イ
ラクの時も、当時のフセイン大統領を悪者に仕
立てあげた。勿論、フセイン大統領の政策に問
題があったのは事実と思われる。世界のマスコ
ミを総動員して悪宣伝したのである。今回の国
連決議は、その時と似ている。
 六ヶ国協議で、北朝鮮は核放棄に同意してい
るが、実行する気配はない。ブッシュ大統領の
北朝鮮批判と受け取られる発言も時々報道され
ている。我慢の限界に達しつつあるのではなか
ろうか。一説には、一週間で北朝鮮を制圧する
計画はできているともいわれている。また、在
韓米軍は釜山にまで既に後退してるともいわれ
ている。北朝鮮のミサイルの射程外に出ている、
とも噂されている。その真偽のほどは分からな
いが、戦争まじかのような気がしてならない。
早ければ動きにくい来年の冬期間になるかも知
れない。空爆とミサイル攻撃が主となるだろう。
もしもそれが現実となれば、恐らく偶発戦争の
形を取るだろう。理由付けはいくらでも出来る
だろう。日本は膨大な資金協力と後方支援の形
になるのではなかろうか。
 今回のブッシュ大統領の来日の真意がそこら
辺にあるのではなかろうか。
 この推測が、あくまでも野僧の邪推で、現実
化しないで終わってもらいたいと切に願ってい
る。