今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

平和天皇に学ぼう

2005-07-02 22:10:41 | 戦争と平和
 天皇は6月27日、サイパンを訪れた。先の大戦で
犠牲となった人々を慰霊するためである。天皇は、日
本政府が建立した「中部太平洋戦没者の碑」、多くの
日本人が身を投げた「バンザイクリフ」と「スーサイ
ドクリフ」、沖縄出身者の犠牲者ために琉球政府が建
立した「おまなわの塔」、朝鮮半島出身者の軍人、軍
属1106人の犠牲者のために建立された「韓国平和
記念塔」、サイパン島とテニアン島で戦死した米兵約
5000人を追悼する「第二次世界大戦慰霊碑」、「
アメリカ慰霊公園」、現地の約4分の1のチャモロ人
約900人が犠牲となった追悼のための「マリアナ記
念碑」などを慰霊した。
 この天皇の慰霊行為は人類愛に根ざしたものである。
日本人の犠牲者だけの慰霊でなく、敵味方、国籍を問
わない慰霊行為は真に平和を祈念しているからこそ出
来ることである。時には、雨の中で傘もささずに花を
手向けた報じられている。われわれ日本人ばかりでな
く、現地人にも感銘を与えたはずである。
 天皇は羽田空港を出発する際の挨拶で、「先の大戦
によって命を失ったすべての人々を追悼し、遺族の歩
んできた苦難の道をしのび、世界の平和を祈りたいと
思います」と述べている。まさに言行一致の極みとい
えよう。
 日本の政治家や文部官僚は、心して天皇の平和への
情熱を感じ取るべきである。これまで、先の大戦を「
悪」とも思わず、「国歌」、「君が代」ばかりを国民
に押しつけ、天皇の名のもとに軍国主義よ再び、と夢
想してきたのである。その一環としての靖国参拝であ
る。いわば、平和天皇の真意を冒涜してきたのである。
平和天皇を守る声をもっと大きくする必要がある。