今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

京都議定書発効されても人類の危機状況に変わりはない

2005-02-16 23:24:21 | 環境
 2月16日、京都議定書が発効した。しかし、人類の危機的
状況に変化はない。たとえ今後一切の炭酸ガスなどを出さなく
とも、これまでに出し続けてきた炭酸ガスなどで温暖化は更な
る凶刃のように人類を襲うからである。
 何度もいうように、現在の環境破壊を克服するためには、二
つの問題を克服しなければならない。一つは、人類がこれまで
に出し続けてきた炭酸ガスを、大気中から抹消することである。
第二の問題点は、炭酸ガスをできるだけ出さないことである。
 しかし、京都議定書が発効しても、中国やインドなどの開発
途上国は対象外である。また、米国は批准していない。日欧な
どが割り当て目標を達成したとしても、ザルに水を注ぐような
ものである。ましてや、先進国では炭酸ガスの排出量の取引に
躍起になっている。実に馬鹿げた話である。何でも金儲けの材
料にしようという人類の愚かさをさらけ出す結果となっている。
 また、現在大気中に循環している約42兆トン以上の炭素な
どを抹消しようという課題は議論外となっている。
 これらの現実を分析すれば、人類が危機に陥っていることを
認めたくない、という一点に行き着く。まさにブッダのいうよ
うに、「因果の道理を信じないからだ」という言葉が当てはま
る。いつになったら、人類が危機に陥っている事実を、信じる
ようになるのであろうか。
 経済活動に支障をきたすといって批准しない米国、先進国並
みを目指す中国などの動きを見てもわかるように、人類が危機
に瀕している事実を何ら認めていない。
 環境破壊が、やがて信じない人々を目覚めさせる時はそう遠
くない。