ニコ、酒場で戯言

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なべ presents

芳野屋食堂@浅草 「ラーメン」

2013-05-12 00:00:01 | ラーメン(東京)
浅草ノス活。

昭和23年創業。
シンボリックなお店なのでご存知の方も
多いでしょう。

根っからの東京育ち。
べらんめえ調が心地良いオヤジ。
個人的なことだが、祖父を思い出す。

戦時中は浅草小学校の集団疎開で
作並温泉に寄せていたこともあったという。
今もある岩松旅館をしげしげと眺めながら、
スマートフォンでも小さくはわからん、と突き返される。
旅館脇の広瀬川でクロールで遡上した話あたりで
だいぶ盛り上がってきたのでこちらから切り上げる。
なんでえ、これから面白い話なんだよ、と機嫌が良い。

店内に飾られた写真、桜橋のエピソードをとにかく楽しそうに語る。
開通式には人が押し寄せ、橋梁そのものがそんなに強くなかった
ことから、そのとき集まってジャンプしたり賑やかした人間は、二度としませんの
念書を区役所で書かされたそうな。実にこの話は2回聞いた。

80歳になるオヤジさん。
5年前に脳梗塞を患い、すでに一線は退いている。
女将さんがつくるラーメンはもう鶏ガラしか使わない。チャーシューも
仕込んでるようには思えない。しかし、店内に座りながら、厨房に睨みをきかす
オヤジさんのラーメンへの語り口は熱っぽい。

鶏と豚、この組み合わせがいいんだよ。豚と牛もいいね。
鶏と牛はダメなんだよ。一時はブレてね、背脂なんかもいれたけど、
すぐにやめちまった。やっぱり、これなんだよ。昔からのお客さんはみんな
そう言うね。

女将さんは、やっぱり、厨房よりお客さんを語ったときこそ軽快だ。
昔はねえ、深夜まで映画を観て、朝方(店の目の前にある)浅草観音温泉に
入ってから、うちにきてね、お酒を飲みながらここでラーメンを食べて、
そこから競馬をやりにいってのよ、と。朝7時から営業をしていた時期もあった。
そこでオヤジさんがすかさず、美味しいラーメンをつくってもさ、競馬ではずれりゃ
不味く感じるもんだよ、と茶々を入れる。懐かしそうだ。

跡取りもなく、女将さんもあと、一、二年と寂しいことを言う。
体操クラブから贈られた「人生150年」の額にオヤジさん、あんなラジオ体操なんて
やったって、長生きなんかしねえよなあ、とイタズラっぽく笑っていたが、
150年とは言わないけど、ずっとこういう光景を眺めていたいと勝手に
思うのだった。

 

 

 

 



住所 〒111-0032 東京都台東区浅草2-29-3
電話番号 03-3841-5173
営業時間 11:00~19:00 ※日によって変動あり
定休日 不定休