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気がつけば今年ももう3月。1月、2月とイベントがあり、書きたいことがいっぱいあったんですが
忙しさにカマケテすっかりご無沙汰してしまいました。先日、羽生無双流掲示板にてあるお題が与えられましたのでここで一つ取り上げたいと思います。
勝間和代著『やればできる』(ダイヤモンド社)P.111
「羽生善治棋士が第一線で活躍し続けられるのは、ほかの棋士との対談でもご本人がそうおっしゃっていますが、棋士の中でいちばん勉強時間が長いからです。それにくらべると、B級、C級棋士は、ギャンブルや遊びに忙しく、練習量が不足しているそうです。」
ちなみに勝間本はこれまで数多発刊されているうち3冊持っていて、好きな評論家の一人ではあります。『やればできる』はようやく昨日読み、全体227Pの流れ、前後関係などがようやく把握できました。勝間さんの立場から苦しいながらフォローをまずしてみます(苦笑)『やればできる』は自己啓発本であり要約すると、自分の”長所の種”を見つけ、その長所を伸ばすことにひたすらに集中し、甘んじることなく変化にも絶え間なく変わり続け、果ては自分が力の中心になる世界に行く、という旨で書かれています。”やればできるんです”と。本中盤の引き合い例の一つに羽生さんがご登場となっている。
果たして羽生さんがこのとおり発言したか?自分の結論としては、羽生さんの人柄・性格から判断してありえないものです。「棋士の中でいちばん勉強時間が長い」「B級、C級棋士は、ギャンブルや遊びに忙しく、練習量が不足している」と言うには、プロ棋士は一人でもくもくと棋譜ならべや検討をすることも多く、他の棋士がどれだけ時間を費やしているかの客観指標が足りなさすぎることや、ましてや他の棋士が普段どのように生活しているかなど仲のよい棋士でなければ知りえない、いや仲がよくても互いにみなまで明かす人はいないし努力するのは当然の世界なので、羽生さんがその発言には及びえません。
ではその勝間文の生まれた背景を好意的に推測してみると、「努力を継続できることが重要」「時間を決めずに考えるときはまとまった時間を取る」に加えて「タイトル戦など重要度の大きい実戦の場で考えることほど身になっています」という発言の比重が大きく、つまりタイトル戦に出続けている人は誰か?などから勝間流に咀嚼してあの言述になってしまっている気はします。しかしドラスティックに枝葉を落としたその表現や、対比して趣旨を明確にしようとして付け足された表現は、勝間さんの主張したい『やればできる』に短文でかつ説得力を盛り込もうという無理やり感は否めず、羽生さんの性格・人柄を無視してしまった感がやっぱりあります。
特に取ってつけたような「B級、C級棋士は、ギャンブルや遊びに忙しく勉強不足」には将棋界をあまり理解されていないのかな?と思われる節でもあり、これ以上突っ込んでも仕方ないので、ま、折角の機会、ここからはもうひとつ勝間本から話題を離れて踏み込んでみましょう。
羽生さんがギャンブルや遊びをまったくしていないか?羽生さんも若いときには悪友の先崎さんらに唆されて
ギャンブルや遊びはひととおりチャレンジされています。自動車免許もそうです。一度はやってみる。しかし例えば自分には向いていないと思われるゴルフ、考えているとあわや信号を無視しかねない自動車の運転、などを切り落とされています。スポーツは以前水泳に通われたこともありましたが今は毎朝の散歩を日課とされているようです。奥さんの理絵さんのお話だとご自宅の周りは結構アップダウンが激しいところのようで体力つくりには最適だそうです。元来ボードゲームがお好きのようで、本業の将棋以外に、チェスにおいても日本屈指の強豪プレイヤであることは知られているのはみなさんご存知のとおり。昨年日本人初の世界チャンピオンとなったバックギャモンの望月さんの祝賀会にも森内さんと一緒に出られていたようで、浅からぬ関わり合いを示しています。将棋ばかりしているわけでない。
「将棋は頭の中でもできるのでいつでも考えられてしまうんです。オンとオフが重要です。時間があればボーっと(笑)意識して何も考えないようにすることもあります。」という一方で「いろんな考え方に触れることは、いろんな見方をできるようになる可能性を高めることにつながると思うんです。」という思想から、毎日の体力つくり、無の時間、他のボードゲームに興じることに加えて、依頼の多い講演会で知り合った方々との交流も大事にされています。
その交流、最近では富士通主催の講演会で知り合われた白石康次郎さんとの交流がホットのようです。先刻、対談本も東洋経済社から出版されました。知り合いになった講演会以降羽生さんの就位式に白石さんが出席されているのをよく見掛けています。先日の朝日杯オープンの準決勝・決勝の会場にも来場されていました。羽生さんも白石さんのヨットに乗られた(停泊しているヨットに乗られた?)ようです(ごめんなさい、不確かで:苦笑)。朝日杯将棋オープン関係者打上げの折に羽生さんと二人きりでお話する機会に恵まれましたが白石さんにまつわる会話を少し取り上げましょう。
たいがー:「本日は優勝おめでとうございます。」
羽生さん:「ありがとうございます。」
たいがー:「午前は対局室で観戦し、午後は解説会場でした。」
羽生さん:「え?午前対局室でしたか?席には座られていたんですか?」
たいがー:「ええ、羽生さんから見られて正面側、谷川さんの右斜め後ろでした。」
羽生さん:「それは気がつきませんで失礼しました。」
たいがー:「いえいえ、そんな・・・。あ、そうそう先日お伺いした白石さんとの対談本はいつ頃発売でしょうか?」
羽生さん:「あ、来週にでも店頭に並ぶと思います。白石さんは今日観に来られていたんですよ。」
対局前や対局時に集中を確かめる中では羽生さんに見つけてもらうなどとは考えもしませんでしたが、さらっと白石さんの姿は見つけていた事実を聞かされて案外冷静に見られているものなんだとちょっとだけ意外に感じました。「しかし、前回のことがあったので慣れましたが圧迫感がありますね(笑)」この言葉でふと考えました。将棋まつりの席上対局では朝日杯以上に立ち見ができることもあるが、ステージがひとつ高くなっていること、ステージと客席との距離があること、などからそれほど対局者に圧迫感はないのだろう。比較して朝日杯は、対局者の周りを同じ高さで囲み、その上立ち見では確かに圧迫感はありそうですね。
少し脱線。講演会依頼の多い羽生さんご自身から意外な言葉を聞いたこともあります。「もともと話すのって苦手なんです。」へぇー、知らなかった。あれほどわかりやすく表現できる話術をもたれている羽生さんがそうだったなんて!将棋のタイトルをとれば必ず謝辞を述べなければならない。もともと合理的・論理的な思考の素養のある羽生さんなのでしょうけども、しなければならない立場・置かれた状況が人を作るんでしょうか。今ではスピーチに苦手感を微塵も感じさせません。
B級、C級棋士が勉強不足か?逆に「新しい手というのはわれわれの世代というよりは若手の中から生まれることが多いんです。」「今はネット時代。いろんな情報が即座に手に入るようになり、次の日には研究されています。」と発言されていてそのような旨は見当たりません。「学ぶという点では言わば”高速道路”です。整備されていてある地点まではあっと言う間にいける。しかしその先には獣道というか大渋滞が起きていると思うんです。」あの梅田さんが取上げて有名となった発言です。その先の道なき道を切り開くにはまた別の資質が必要と説いてはいますが順位戦クラス別には言及していません。「昔に比べれば遊びにしても選択肢が増えています。」確かに羽生さんと将棋の出会いということで述べています。
最後に羽生無双流掲示板、中井正則さん、コージさん、つちゃんさん、なごやのじーじさん、そしてきっとここに訪れる多くの方が、羽生さんの人柄をよく理解されていることに感心し、とても嬉しい気持ちになったことを付け加えておきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
勝間和代著『やればできる』(ダイヤモンド社)P.111
「羽生善治棋士が第一線で活躍し続けられるのは、ほかの棋士との対談でもご本人がそうおっしゃっていますが、棋士の中でいちばん勉強時間が長いからです。それにくらべると、B級、C級棋士は、ギャンブルや遊びに忙しく、練習量が不足しているそうです。」
ちなみに勝間本はこれまで数多発刊されているうち3冊持っていて、好きな評論家の一人ではあります。『やればできる』はようやく昨日読み、全体227Pの流れ、前後関係などがようやく把握できました。勝間さんの立場から苦しいながらフォローをまずしてみます(苦笑)『やればできる』は自己啓発本であり要約すると、自分の”長所の種”を見つけ、その長所を伸ばすことにひたすらに集中し、甘んじることなく変化にも絶え間なく変わり続け、果ては自分が力の中心になる世界に行く、という旨で書かれています。”やればできるんです”と。本中盤の引き合い例の一つに羽生さんがご登場となっている。
果たして羽生さんがこのとおり発言したか?自分の結論としては、羽生さんの人柄・性格から判断してありえないものです。「棋士の中でいちばん勉強時間が長い」「B級、C級棋士は、ギャンブルや遊びに忙しく、練習量が不足している」と言うには、プロ棋士は一人でもくもくと棋譜ならべや検討をすることも多く、他の棋士がどれだけ時間を費やしているかの客観指標が足りなさすぎることや、ましてや他の棋士が普段どのように生活しているかなど仲のよい棋士でなければ知りえない、いや仲がよくても互いにみなまで明かす人はいないし努力するのは当然の世界なので、羽生さんがその発言には及びえません。
ではその勝間文の生まれた背景を好意的に推測してみると、「努力を継続できることが重要」「時間を決めずに考えるときはまとまった時間を取る」に加えて「タイトル戦など重要度の大きい実戦の場で考えることほど身になっています」という発言の比重が大きく、つまりタイトル戦に出続けている人は誰か?などから勝間流に咀嚼してあの言述になってしまっている気はします。しかしドラスティックに枝葉を落としたその表現や、対比して趣旨を明確にしようとして付け足された表現は、勝間さんの主張したい『やればできる』に短文でかつ説得力を盛り込もうという無理やり感は否めず、羽生さんの性格・人柄を無視してしまった感がやっぱりあります。
特に取ってつけたような「B級、C級棋士は、ギャンブルや遊びに忙しく勉強不足」には将棋界をあまり理解されていないのかな?と思われる節でもあり、これ以上突っ込んでも仕方ないので、ま、折角の機会、ここからはもうひとつ勝間本から話題を離れて踏み込んでみましょう。
羽生さんがギャンブルや遊びをまったくしていないか?羽生さんも若いときには悪友の先崎さんらに唆されて
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_nika.gif)
「将棋は頭の中でもできるのでいつでも考えられてしまうんです。オンとオフが重要です。時間があればボーっと(笑)意識して何も考えないようにすることもあります。」という一方で「いろんな考え方に触れることは、いろんな見方をできるようになる可能性を高めることにつながると思うんです。」という思想から、毎日の体力つくり、無の時間、他のボードゲームに興じることに加えて、依頼の多い講演会で知り合った方々との交流も大事にされています。
その交流、最近では富士通主催の講演会で知り合われた白石康次郎さんとの交流がホットのようです。先刻、対談本も東洋経済社から出版されました。知り合いになった講演会以降羽生さんの就位式に白石さんが出席されているのをよく見掛けています。先日の朝日杯オープンの準決勝・決勝の会場にも来場されていました。羽生さんも白石さんのヨットに乗られた(停泊しているヨットに乗られた?)ようです(ごめんなさい、不確かで:苦笑)。朝日杯将棋オープン関係者打上げの折に羽生さんと二人きりでお話する機会に恵まれましたが白石さんにまつわる会話を少し取り上げましょう。
たいがー:「本日は優勝おめでとうございます。」
羽生さん:「ありがとうございます。」
たいがー:「午前は対局室で観戦し、午後は解説会場でした。」
羽生さん:「え?午前対局室でしたか?席には座られていたんですか?」
たいがー:「ええ、羽生さんから見られて正面側、谷川さんの右斜め後ろでした。」
羽生さん:「それは気がつきませんで失礼しました。」
たいがー:「いえいえ、そんな・・・。あ、そうそう先日お伺いした白石さんとの対談本はいつ頃発売でしょうか?」
羽生さん:「あ、来週にでも店頭に並ぶと思います。白石さんは今日観に来られていたんですよ。」
対局前や対局時に集中を確かめる中では羽生さんに見つけてもらうなどとは考えもしませんでしたが、さらっと白石さんの姿は見つけていた事実を聞かされて案外冷静に見られているものなんだとちょっとだけ意外に感じました。「しかし、前回のことがあったので慣れましたが圧迫感がありますね(笑)」この言葉でふと考えました。将棋まつりの席上対局では朝日杯以上に立ち見ができることもあるが、ステージがひとつ高くなっていること、ステージと客席との距離があること、などからそれほど対局者に圧迫感はないのだろう。比較して朝日杯は、対局者の周りを同じ高さで囲み、その上立ち見では確かに圧迫感はありそうですね。
少し脱線。講演会依頼の多い羽生さんご自身から意外な言葉を聞いたこともあります。「もともと話すのって苦手なんです。」へぇー、知らなかった。あれほどわかりやすく表現できる話術をもたれている羽生さんがそうだったなんて!将棋のタイトルをとれば必ず謝辞を述べなければならない。もともと合理的・論理的な思考の素養のある羽生さんなのでしょうけども、しなければならない立場・置かれた状況が人を作るんでしょうか。今ではスピーチに苦手感を微塵も感じさせません。
B級、C級棋士が勉強不足か?逆に「新しい手というのはわれわれの世代というよりは若手の中から生まれることが多いんです。」「今はネット時代。いろんな情報が即座に手に入るようになり、次の日には研究されています。」と発言されていてそのような旨は見当たりません。「学ぶという点では言わば”高速道路”です。整備されていてある地点まではあっと言う間にいける。しかしその先には獣道というか大渋滞が起きていると思うんです。」あの梅田さんが取上げて有名となった発言です。その先の道なき道を切り開くにはまた別の資質が必要と説いてはいますが順位戦クラス別には言及していません。「昔に比べれば遊びにしても選択肢が増えています。」確かに羽生さんと将棋の出会いということで述べています。
最後に羽生無双流掲示板、中井正則さん、コージさん、つちゃんさん、なごやのじーじさん、そしてきっとここに訪れる多くの方が、羽生さんの人柄をよく理解されていることに感心し、とても嬉しい気持ちになったことを付け加えておきます。
初めてたいがーさんにお会いした印象を、
ぼくは、自分のブログで「惚れてしまった」と表現しましたが、
今回、このエントリーを読んで、惚れ直しました。
ナイスフォローです。
勝間某をもフォローされているあたりにも、
たいがーさんのお人柄が感じられます。
羽生先生は、「天才」とか「努力家」「勉強家」など、一言では言い表せない魅力的を持っていらっしゃいます。
文才の無いヒョーロンカ風情が安易に・・・。
おっとっと、ぼくは、これだから困りますよね。
ぼくはファンでもないのに、羽生先生の事を自身のブログで結構書いているのですよね。
もう、表現しようがないのはわかっているのですが、
語らずにはおれない、みたいな(笑)。
来年度は、少しでも外出して将棋観戦するようにしたいです、ほんとうに。
家にこもって、バーチャル観戦ばかりではねえ(苦笑)。
これからも、よろしくお願いします。
ええ、ぜひまた現地大盤解説会ご一緒しましょう(^^)