即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

市場主義の効能

2008年09月11日 23時37分16秒 | 仕事
ガソリンの値上げで、 「ロードサイドビジネスの断末魔」だそうだ。

『企業は株主だけのものか』
と題する8月16日の西日本新聞の社説です。
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 経営陣による自社買収(MBO)を仕掛けた企業トップが、MBOを支援した投資会社に解任された。思惑が外れた外食大手すかいらーくの横川竟・前社長は無念の思いに違いない。

 すかいらーくは、横川氏ら創業家が国内最大規模の外食チェーンに育て上げ、東証一部上場を果たした。

 MBOで上場を廃止したのは、業績が悪化した2006年9月のことだ。株式を非公開にし、経営の自由度を高める。横川氏ら経営陣は「短期的な利益を求める株主の干渉を受けずに大胆な経営改革を進めるため」と理由を説明した。

 しかし、経営改革や業績改善は期待通りには進まなかった。消費低迷や原材料費高騰などの影響で06、07年と2年連続で赤字経営が続き、最後は主要株主となった投資会社2社の干渉を排除できず、退陣を余儀なくされた。

 国内では05年の衣料品のワールドを皮切りに、食品のポッカコーポレーション、すかいらーく、外食のレックス・ホールディングスなど、株式取得金額が100億円を超す大型のMBOが相次いだ。

 業績が落ち込んだ企業が少なくないように見える。経営再建のため、既存店閉鎖など抜本的な事業の整理・縮小に着手した場合、売上高が減少し、もうけも減ることが予想される。それが一時的でその後は業績回復が見込めるとしても、安定した配当や株価上昇を期待する株主の理解を得にくいことが、MBOが増えた理由のようだ。

 「物言う株主」の増加も背景にはあるのだろう。株価が低迷したかつら最大手のアデランスホールディングスは5月の定時株主総会で、社長ら取締役の再任案が外資系ファンドなどの大株主ばかりでなく、個人株主にも反対され、否決されたことが象徴的だ。

 だが、MBOで非上場になっても株主の存在を無視することはできない。MBOで新たな株主となったファンドなどが出資のリスクに見合う利益を望むのは当然のことだ。すかいらーくの場合、投資会社2社は再上場によって株価がMBOの際の取得額を上回ることを期待した。そのめどが立たなかったことが解任に踏み切らせたのである。

 今後は新社長が主要株主の理解を得ながら新たな再建計画を策定していくことになる。今度こそ再建を軌道に乗せてもらいたい。再建がうまくいかず、トップと主要株主が対立を繰り返すようではブランドイメージが傷つくばかりだ。

 そう考えれば、新社長を指名した投資会社2社の責任も重い。すかいらーくグループは、九州を含む全国で「ガスト」「バーミヤン」「小僧寿し」などの名称で約4000の店舗を展開している。再建の行方次第では、そこで働く正社員やパート・アルバイト、取引先従業員らの生活が揺らぎかねない。企業は株主だけのものとは思ってほしくない。
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このニュース、TV・新聞→週刊誌→(今は)月刊誌、というように、
いろんなところで取り上げられていますね。
そして、最近この手の(外資系)投資ファンドが、経営を牛耳ろう(口出そう)とする局面が多いです。

80年代、90年代、世間を席巻した、ファミレス界の帝王、外食産業の雄、が、こんなことになってしまってます。

「一流ホテルの味が、家族四人で3千円程度で」
というコンセプトが受けて、折りしも、マイカー、モータリゼーション、ニューファミリー、アメリカナイズの時代。

どこへ行っても同じメニューで安心。
遅くまでやってるし、駐車場も広い。
いろいろな利用動機に対応できる。
親子のコミュニケーション。
子供たちの笑顔。

郊外の家族のハレの場の象徴的なシーンだった。

今までの生活の中で味わった事のない、幸せな中流階級の豊かなシーンだった。

味わい、ふれあい、すかいら~く♪

って覚えてますか?あのサウンドロゴ。

そんなことを思い出すと、寂しいです。

厳しい時代の波、ということなんでしょうけど。

日経BPのすかいらーくMBOの深層を見てください。

MBOという手法で再建を目論んだ創業者のオーナー家。

創業者解任~MBOは経営者を借金漬けにするだけの麻薬だったのかと言われてます。

投資会社への約束が果たせなくなる。

もはや任せられない、信じられない、となる。

投資会社も、早く回収に入らないと、自分の身が危ない。

(仕方なく)経営に口を出す。

経営者(創業者)を解任する。

結局、外食産業という世の中を豊かにしようという構想は、金に飲み込まれた。

創業時、必ずあったはずのその純粋な情熱は、どうなってしまうのか。

市場主義経済の海の中で、溺れてしまっている。

現場で、お客様と接して、美味しいものを食べてもらい、楽しい時間を過ごしてもらい、そういうサービスが好きで、それが生きがいになってた人もたくさんいたと思う。

まあ、別に潰れたわけではないけれど、この先、どうなってしまうのだろう。

ちゃんと立ち直って、活気のあるあの雰囲気を取り戻せるんだろうか。

先週末、久々に家の近くのバーミヤンに行ったのだけど、こんなの初めてというくらい、ガラガラでした。
空いているのに、料理も遅いし、テーブルの上には、お箸が一本。楊枝は2本のみ。

空いてるんだから、ちゃんとやっとけよ、ってことで、やる気ないですねえ。

まあ、こんなことではトップが代わって、経営方針が新たになったところで、何も変わらないというか、ますます落ちていきます。

庶民の生活に豊かさを根づかせた企業の底力に期待します。
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