時代の仕事観という以前の記事でも紹介した、僕の仕事の原点とも言えるクライアントの某外食企業。
20代の頃に出会って、それから長い間、すごくたくさんの方にお世話になってきた。
僕が30代、40代前半くらいの頃には、クライアントもすごい勢いで伸びていたので、CMからキャンペーンからメニュー、イベントまで、たくさんの予算を預かって目一杯のめり込んで仕事をさせていただいた。
新業態の企画開発にもずいぶん関わらせてもらったし、好調な時、不調な時、いろいろな局面において様々な相談も持ちかけられ、好きなクライアントのために必死でなんとかするべく奮闘した。
仕事を通じて、いろんな人からいろんなことを教えていただいたし、長い時間を通じて一緒にたくさんの喜びや困難も共有してきた。
時代が変わって、いろいろ歯車が狂ってきて業績が悪化する。
見る見るうちに辿っていく下降線を食い止めるために四苦八苦する。
そして、経営も変わり、新たな思考や論理ですべてが動くようになる。
昔からよく知っている人はほとんどが転職したりリタイアしてしまう。
それでも、まだ知っている人がいて、つい最近、その一人から仕事のオファーをいただいた。
いつまで経ってもご縁は続く。
代理店にいた当時とは違って僕はもう個人のフリーランスなのだけど、それでも信頼してくれて仕事をまかせてもらえることに心から感謝する。
昔、気が合って一緒に仕事をしたクライアントの人たちは、転職して行った先からまた相談やオファーをくれたりもしている。
その僕の一番大事にしているクライアントの長年お世話になっていた方が、4日前に亡くなった。
ずいぶん前から直接仕事は関係なくなってたものの、2年前くらいまでは定期的によく飲んだりしていた。
ダンディーだし、笑顔が素敵だし、頭も切れるし、男気があるし、(偉い立場だったのに)僕らのこともすごく気を遣ってくれる人だった。
年齢は僕よりもちょっとだけ上というのがまた辛い。
数年前に奥さまが倒れたのだけど奇跡的に回復し、また二人で旅行などされていた。
『女房がまだ具合悪いから、このところ料理がうまくなっちゃってさ。
全然やらなかったけど、やってみたら結構面白いよ。nanaponさんもやったらいいのに。』
なんて言っていた。
昨日のお通夜。懐かしい方々とも会えて、故人を偲んだ。
『殺そうったって絶対に死なないような人だったよな。』
誰かが言った。
あの満面の笑顔が浮かんでくる。
合掌。