行ってきました。
前夜祭が開かれたのと同じ椿山荘。
桜が満開だった前夜祭、そして、夏真っ盛り、蝉時雨の就位式。
就位式はいくつか行ったけど、さすが名人戦、さすが羽生さん、さすが共催効果、ということで、こんなに広い会場、こんなに大勢の参加者の式典は初めてでした。
カメラクルーや報道陣もそうだし、棋士や業界関係者など見たことある人たち、そして、目を輝かせているいかにも一般ファンの方々、などなど450人の参加者の視線の先はすべてこの偉大な名人です。
午後六時、朝日新聞社社長の挨拶で開幕。
続いて毎日新聞社社長。
凛々しくさわやかな羽生名人。
不惑を迎える年にこのような場にいられること、どのように感じられているのだろうか。
米長会長は、相変わらず場内を沸かせます。
『結果は4連勝だったけど、実質のところは1勝3敗の将棋だったんですね、ねえ、羽生名人?』(羽生名人、苦笑×2)
『民主党政権になってよかったことと悪かったことがある。良かったことは学校教育に新聞というものを取り入れたこと。悪かったことは伝統文化に理解がない。』
主催者の挨拶を聞きつつ、名人位の歴史、権威、重みを受け止めているような羽生名人。
協賛の大和証券グループ役員の方。
主催、協賛の方々が口を揃えて言う。
『羽生名人のあまりの強さで、今回は4局しか観られなかったわけだけど、
5局目以降の準備をしていただいたところもあるし、この名人戦をもっと盛り上げるためにはもう少し観たかったのが本音。
来年はもうちょっとバランスを取って欲しい、主催者を慮って欲しい。』
異口同音で言いたいことを言われて、さすがの羽生名人もこれには指し手に困っていた。
苦笑の一手。
わかるけど、これは可愛そうなんじゃないですか。
緩めるわけにはいかないし、この話は羽生名人ではなく、次の挑戦者に言うべき話だと思うけど。
盛り上げるために、4局で終わらないように、ぜひがんばって、と。
ここで、グッチ裕三さんの登場です。
いや違いました、原口総務大臣。
(政界では将棋好きで有名とのことで菅首相と同じような棋力らしい。)
羽生名人に駆け寄って、両手で固く握手。そして明るく和やかな祝辞です。
『さきほどの米長会長のお話は間違いです。民主党は日本の伝統文化を大切にします。予算も含めて、将棋をはじめとした伝統文化を大切にする施策をどんどんやっていきます。』
いよいよお待ちかねの羽生名人の謝辞です。
報道陣がさらに注目の一瞬。
何十回も謝辞をやるということは、なかなかできないことだけど、いつも同じってわけにはいかないし、大変ですよね。
タイトル戦登場100回。
獲得77回。
大山十五世名人の偉業にはもうちょっとだけど、
もはや、前人未到、未開の荒野を行く態勢になりつつある。
羽生名人しか見えない景色を見つつ、果てしないけものみちを歩き続けている。
この名人戦も強かったけど、深浦王位相手の今回の棋聖戦も磐石だった。
竜王戦も挑戦を狙っている。そして、渡辺竜王にリベンジを果たし、永世竜王、永世七冠も視野に入れているはずと見る。
そんなことを想像していると、二度目の七冠だってそれほど夢物語ではないように思えてくる。
乾杯の挨拶は指揮者の小林研一郎さん。
乾杯の前に一局ではなく、一曲ご披露。
羽生名人の表情もすっかり和らいでいます。
この屈託のない笑顔、素敵です。
乾杯後は、食べて飲んで一息入れた後、いろいろな方にご挨拶し、お話しすることが出来ました。
先頃「シリコンバレーから将棋を観る」が将棋ペンクラブ大賞(文芸部門)を受賞した梅田望夫さんともお話できました。
この本が出版された昨年4月に八重洲ブックセンターのサイン会でお目にかかったのだけど、僕にとってこの本の存在は凄く大きいです。
「趣味は将棋。」といろんなところで言う度に必ず、「何段ですか?お強いんでしょうね、道場にはどれくらいのペースで?」なんてことになり、いやいや、そういうことでなくて、と説明するのが大変。
「はっ?全然指さないんですか?それで将棋ファン?」
密かに変わってる人と思われ、そのうち変態を見るような目つきに変わり、もういいや、面倒くさい、となる。
将棋を指すこととは違う、観る楽しみに市民権を与えてくれたこの本。
これ以来、「観る将棋ファン」、「指さない将棋ファン」と、明るく標榜することができるようになったのもすべてこの本のお陰です。
そんな話をさせてもらいつつ、梅田さん、編集担当の岡田さん、たいがーさんと四人で記念写真。
今をときめく広瀬六段、上田女流二段とも初めてお話できました。
お二人とも気さくで明るくてとってもさわやかな印象でした。
閉会後は、茶々丸さん、たいがーさん、くまきりんさんと4人で日本酒。
いろんな話題で盛り上がりつつも、王座戦挑決の深浦・藤井戦が気になる4人。
何度も携帯でチェック。
『あっ、藤井さん勝ちだあ。』
と、何故か四人とも喜ぶ。
お土産の記念扇子。
「白首北面」(はくしゅほくめん)という意味は、いくつになっても教えを請うとのこと。
これだけ大勢の人が集まり、祝福し、ますます魅了させられていく。
大げさに言えば、
「羽生善治」という棋士と同じ時代に生きることができ、
その将棋や対局を目の当たりにでき、
こういう式典などで大きな人間性にも触れ合うことができるこの幸せ。
3年半前に思いつきでブログを始めて、ちょこちょこ将棋の記事を書くようになったことがきっかけで、いつしかこんな至福の時に浸らせてもらっている。
将棋を観る醍醐味がさらにエスカレートしつつある。
お世話になった皆さまに感謝、そして、ブログという不可思議なものに、心から感謝です。
(おー、なんか真面目だぞ、今日は! ついにこの暑さにやられちまったか。)
前夜祭が開かれたのと同じ椿山荘。
桜が満開だった前夜祭、そして、夏真っ盛り、蝉時雨の就位式。
就位式はいくつか行ったけど、さすが名人戦、さすが羽生さん、さすが共催効果、ということで、こんなに広い会場、こんなに大勢の参加者の式典は初めてでした。
カメラクルーや報道陣もそうだし、棋士や業界関係者など見たことある人たち、そして、目を輝かせているいかにも一般ファンの方々、などなど450人の参加者の視線の先はすべてこの偉大な名人です。
午後六時、朝日新聞社社長の挨拶で開幕。
続いて毎日新聞社社長。
凛々しくさわやかな羽生名人。
不惑を迎える年にこのような場にいられること、どのように感じられているのだろうか。
米長会長は、相変わらず場内を沸かせます。
『結果は4連勝だったけど、実質のところは1勝3敗の将棋だったんですね、ねえ、羽生名人?』(羽生名人、苦笑×2)
『民主党政権になってよかったことと悪かったことがある。良かったことは学校教育に新聞というものを取り入れたこと。悪かったことは伝統文化に理解がない。』
主催者の挨拶を聞きつつ、名人位の歴史、権威、重みを受け止めているような羽生名人。
協賛の大和証券グループ役員の方。
主催、協賛の方々が口を揃えて言う。
『羽生名人のあまりの強さで、今回は4局しか観られなかったわけだけど、
5局目以降の準備をしていただいたところもあるし、この名人戦をもっと盛り上げるためにはもう少し観たかったのが本音。
来年はもうちょっとバランスを取って欲しい、主催者を慮って欲しい。』
異口同音で言いたいことを言われて、さすがの羽生名人もこれには指し手に困っていた。
苦笑の一手。
わかるけど、これは可愛そうなんじゃないですか。
緩めるわけにはいかないし、この話は羽生名人ではなく、次の挑戦者に言うべき話だと思うけど。
盛り上げるために、4局で終わらないように、ぜひがんばって、と。
ここで、グッチ裕三さんの登場です。
いや違いました、原口総務大臣。
(政界では将棋好きで有名とのことで菅首相と同じような棋力らしい。)
羽生名人に駆け寄って、両手で固く握手。そして明るく和やかな祝辞です。
『さきほどの米長会長のお話は間違いです。民主党は日本の伝統文化を大切にします。予算も含めて、将棋をはじめとした伝統文化を大切にする施策をどんどんやっていきます。』
いよいよお待ちかねの羽生名人の謝辞です。
報道陣がさらに注目の一瞬。
何十回も謝辞をやるということは、なかなかできないことだけど、いつも同じってわけにはいかないし、大変ですよね。
タイトル戦登場100回。
獲得77回。
大山十五世名人の偉業にはもうちょっとだけど、
もはや、前人未到、未開の荒野を行く態勢になりつつある。
羽生名人しか見えない景色を見つつ、果てしないけものみちを歩き続けている。
この名人戦も強かったけど、深浦王位相手の今回の棋聖戦も磐石だった。
竜王戦も挑戦を狙っている。そして、渡辺竜王にリベンジを果たし、永世竜王、永世七冠も視野に入れているはずと見る。
そんなことを想像していると、二度目の七冠だってそれほど夢物語ではないように思えてくる。
乾杯の挨拶は指揮者の小林研一郎さん。
乾杯の前に一局ではなく、一曲ご披露。
羽生名人の表情もすっかり和らいでいます。
この屈託のない笑顔、素敵です。
乾杯後は、食べて飲んで一息入れた後、いろいろな方にご挨拶し、お話しすることが出来ました。
先頃「シリコンバレーから将棋を観る」が将棋ペンクラブ大賞(文芸部門)を受賞した梅田望夫さんともお話できました。
シリコンバレーから将棋を観る -羽生善治と現代梅田望夫中央公論新社このアイテムの詳細を見る |
この本が出版された昨年4月に八重洲ブックセンターのサイン会でお目にかかったのだけど、僕にとってこの本の存在は凄く大きいです。
「趣味は将棋。」といろんなところで言う度に必ず、「何段ですか?お強いんでしょうね、道場にはどれくらいのペースで?」なんてことになり、いやいや、そういうことでなくて、と説明するのが大変。
「はっ?全然指さないんですか?それで将棋ファン?」
密かに変わってる人と思われ、そのうち変態を見るような目つきに変わり、もういいや、面倒くさい、となる。
将棋を指すこととは違う、観る楽しみに市民権を与えてくれたこの本。
これ以来、「観る将棋ファン」、「指さない将棋ファン」と、明るく標榜することができるようになったのもすべてこの本のお陰です。
そんな話をさせてもらいつつ、梅田さん、編集担当の岡田さん、たいがーさんと四人で記念写真。
今をときめく広瀬六段、上田女流二段とも初めてお話できました。
お二人とも気さくで明るくてとってもさわやかな印象でした。
閉会後は、茶々丸さん、たいがーさん、くまきりんさんと4人で日本酒。
いろんな話題で盛り上がりつつも、王座戦挑決の深浦・藤井戦が気になる4人。
何度も携帯でチェック。
『あっ、藤井さん勝ちだあ。』
と、何故か四人とも喜ぶ。
お土産の記念扇子。
「白首北面」(はくしゅほくめん)という意味は、いくつになっても教えを請うとのこと。
これだけ大勢の人が集まり、祝福し、ますます魅了させられていく。
大げさに言えば、
「羽生善治」という棋士と同じ時代に生きることができ、
その将棋や対局を目の当たりにでき、
こういう式典などで大きな人間性にも触れ合うことができるこの幸せ。
3年半前に思いつきでブログを始めて、ちょこちょこ将棋の記事を書くようになったことがきっかけで、いつしかこんな至福の時に浸らせてもらっている。
将棋を観る醍醐味がさらにエスカレートしつつある。
お世話になった皆さまに感謝、そして、ブログという不可思議なものに、心から感謝です。
(おー、なんか真面目だぞ、今日は! ついにこの暑さにやられちまったか。)