即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

ひとつ突き抜ける

2007年11月28日 22時30分04秒 | 将棋
先日の竜王戦第四局、4連覇のかかった渡辺竜王は、見事に快勝して王手をかけました。
そして、今日から注目の第五局が始まりました。
相矢倉から、先手佐藤二冠が竜王のお株を奪う穴熊に移行しました。

片上五段今シリーズの竜王についてこう書いてます
『竜王戦は渡辺竜王の快勝だったようで、4連覇濃厚な感じになりました。今シリーズ中の渡辺竜王は、ブログの書き方とか感想戦の発言とか、いつになく慎重な印象を受けます。勝っても油断しないようにという心がけなんでしょうか。(まあ外野の見方かもしれませんが)』

囲碁将棋ジャーナルで、第二局(橋本七段)第三局(行方八段)第四局(木村八段)の解説、続けて録画見ました。

それぞれの個性がよく出ていて面白かったです。

第二局の終盤の敗着(▲6九金)について、橋本七段は、
「竜王に限ってはこういうことは今までなかったのだが、やっと自分たちの仲間入りをしてくれた」、というように言ってました。

片上五段の指摘も、この痛恨の見落としがあった上で、さらに気を引き締めた結果の見え方ではないかと思われます。
(僕が感じるのは特にブログの表現からですが・・・。)

絶対に見落としはしない、とことん読んで、これで本当に大丈夫だろうか、慎重な上に慎重を期して、と究極の集中力を発揮しているのではないか。

佐藤二冠の調子がいまいちということもあるのでしょうが、あの逆転さえなければ、4局とも竜王のペース、完全に力が上回っている、と言えるような内容。

春の前代未聞の5連敗、大事なところで勝てない、勝率も五割前後をうろうろ、という苦悩の経験を経て、秋からの防衛戦に向けて、しっかりと調子を上げてきた渡辺竜王。ここにきて体調も気力もピークに持ってきているな、と思わせる充実振りです。

大胆さとしたたかさに裏打ちされた才能と実力に、しっかりした自制心が加わり、近道を敢えて避けるような重厚な一手一手。

かみそりのような鋭い切れ味でなく、持ち味の優れた着想の中に、細かい差し回しを積み重ねて、全体的に圧倒していく指し回し。

美しい、密度の濃い、透明な湖の水面のように、
キラキラと潤いのある、しっとりした感性を張り巡らし、磐石に組み立てられた脳細胞の大集結。

勝負!というのとはまた別の、これ以上はない、強く深く、広くて大きな将棋。

もちろん、攻めということを忘れ、安全に間違いなく、となると、自然と受け中心の将棋になり、小さく縮こまった指し手になる。

そうではなく、攻めも守りもなく、強い自制心が備わった、という印象が。

あくまでも素人目に見て、ということですが、以前と比べ、
一段高みにステップアップしたのではないか、と思わせます。

仕事でもスポーツでも何でも、ありますよね。
一生懸命やっていても、なかなか上達が感じられないけど、それでもがんばっていると、ふとしたときに、ひとつレベルアップしていると感じる時。

もちろん僕らの趣味なんかとはレベルも何も違うわけだけど、このところの竜王には、何かが違う、と思えてしまう。

進化した、そして深化した若き竜王。

もちろん勝負はまだまだわかりませんが、僕には前よりもひとつ頼もしくなった、と思えてしまいます。
(偉そうですみません。

明日も一日、目が離せませんね。

4連覇ということよりも、目の前のこの一局、がんばってください
コメント (3)
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