川柳くろがね 6月号より
前月号鑑賞 小川 清隆 選評
「負け犬のその後を聞かぬのも情け」 坂本 書文
負け犬の傷に塩を塗る。弱者には強く、強者には弱い人間が多い。負け犬としてはそっとして欲しいもの。見て見ぬ振りをするのも情け、負け犬にだけはなりたくないと励んでいるところ。
「たんたんと主治医が話す副作用」 前田 伸江
薬とは毒であること、副作用がないと薬としては認可されない。薬の持つメリットもデメリットも正直に説明するのが医者の責任である。それもたんたんと話すところに情を感じる。ただしその薬を服むかどうかを決めるのはあなた自身である。特に七種以上の薬を一緒に服んではいけない。七十歳を過ぎたら薬は服む必要はないといわれている。気休めに服んでいるだけ。
「不発弾たがいに秘めて五十年」 八木 幹子
「相方を不作だったと知っている。」我慢に我慢を重ねて五十年。連れ添った二人、若ければとっくに別れていただろうによくも五十年辛抱したものだと、お互いに思っている。しかし異なもので、相方が逝くと不発弾は消え去り、楽しかった思い出だけが残るもの、それが夫婦というもの。
「臍曲りオンリーワンという個性」 桑原 康博
オンリーワンと呼ばれる人は変人が多い。臍曲りは他人に迎合しない。「オンリーワン目差す場末の町工場」ナンバーワンよりもオンリーワンを目差すその個性が大なるものを掴む。その個性を守り続けることは大事ですばらしい。
本社句会「自由詠」(雑詠)合評
司会:古谷龍太郎
左の数字は上位の得点、句の下の欄は個々または全体的な指摘、「」内は参考句。
(参考句は作者、評者または両者の考えを忖度して試作したもので必ずしもベストではないので念のため。)
3・デート中座り直してプロポーズ
報告書になっている。デート中にプロポーズするのは良くあること。「皆と飲む中でいきなりプロポーズ」
・実母への嫁の愚痴聞く遠い耳
評者の聞いているのは誰の質問に作者の姑の返事。「実母の愚痴聞く姑の遠い耳」
3・落ちている尻尾いつかは私かも
自分もいつか馘になるかもと言う気持ちは良く判る
・財布中若干の札ある安堵
「そうですね」川柳。札で無くて諭吉など使ってみては。「安堵する財布の諭吉まだ二人」
18・群れにいて作り笑いが癖になる
面白い
・奢る目がキュウリの曲がり許さない
奢る→これには人におごるの意味が有るので「驕る」が良い
4・香水も黙っていないバスハイク
特に指摘なし。
・自真作いつも没です助けてよ
自真作→自信作の間違い、これだけで没になる。
5・人間を積んだ瞳が柔らかい
人間→言外の意味を感じさせる「にんげん」の方が良い。経験、実績などの表現も一考の余地。
・地図に入り今日は穂高の雪に立つ
入り→広げ
・模擬試験思わずスマホ探る指
試験にスマホは禁止されているのでこのような句は作らないこと
4・最後にはほうび待っていた真面目
真面目→愚直などなにか他の表現はないか、
9・無理するな力を抜けと心太
面白い
・アポ電で改めて知る資産なし
改めて知る→がっかりさせる「アポ電をがっかりさせる資産なし」
・夫自慢なんとしている妻寝言
夫、妻のどちらか一つの表現にすること「あの妻が寝言で僕を褒め散らす」
・ホタルより夜店気になる三歳児
三歳児→動く、幼い子、孫二人など具体的に書く
・楠若葉五感を澄まし言葉選る
特に指摘なし。
3・野心燃え原稿用紙埋めた夜
吉川英治など具体的な人名を使う。「英治目指し原稿用紙埋めた夜」
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前月号鑑賞 小川 清隆 選評
「負け犬のその後を聞かぬのも情け」 坂本 書文
負け犬の傷に塩を塗る。弱者には強く、強者には弱い人間が多い。負け犬としてはそっとして欲しいもの。見て見ぬ振りをするのも情け、負け犬にだけはなりたくないと励んでいるところ。
「たんたんと主治医が話す副作用」 前田 伸江
薬とは毒であること、副作用がないと薬としては認可されない。薬の持つメリットもデメリットも正直に説明するのが医者の責任である。それもたんたんと話すところに情を感じる。ただしその薬を服むかどうかを決めるのはあなた自身である。特に七種以上の薬を一緒に服んではいけない。七十歳を過ぎたら薬は服む必要はないといわれている。気休めに服んでいるだけ。
「不発弾たがいに秘めて五十年」 八木 幹子
「相方を不作だったと知っている。」我慢に我慢を重ねて五十年。連れ添った二人、若ければとっくに別れていただろうによくも五十年辛抱したものだと、お互いに思っている。しかし異なもので、相方が逝くと不発弾は消え去り、楽しかった思い出だけが残るもの、それが夫婦というもの。
「臍曲りオンリーワンという個性」 桑原 康博
オンリーワンと呼ばれる人は変人が多い。臍曲りは他人に迎合しない。「オンリーワン目差す場末の町工場」ナンバーワンよりもオンリーワンを目差すその個性が大なるものを掴む。その個性を守り続けることは大事ですばらしい。
本社句会「自由詠」(雑詠)合評
司会:古谷龍太郎
左の数字は上位の得点、句の下の欄は個々または全体的な指摘、「」内は参考句。
(参考句は作者、評者または両者の考えを忖度して試作したもので必ずしもベストではないので念のため。)
3・デート中座り直してプロポーズ
報告書になっている。デート中にプロポーズするのは良くあること。「皆と飲む中でいきなりプロポーズ」
・実母への嫁の愚痴聞く遠い耳
評者の聞いているのは誰の質問に作者の姑の返事。「実母の愚痴聞く姑の遠い耳」
3・落ちている尻尾いつかは私かも
自分もいつか馘になるかもと言う気持ちは良く判る
・財布中若干の札ある安堵
「そうですね」川柳。札で無くて諭吉など使ってみては。「安堵する財布の諭吉まだ二人」
18・群れにいて作り笑いが癖になる
面白い
・奢る目がキュウリの曲がり許さない
奢る→これには人におごるの意味が有るので「驕る」が良い
4・香水も黙っていないバスハイク
特に指摘なし。
・自真作いつも没です助けてよ
自真作→自信作の間違い、これだけで没になる。
5・人間を積んだ瞳が柔らかい
人間→言外の意味を感じさせる「にんげん」の方が良い。経験、実績などの表現も一考の余地。
・地図に入り今日は穂高の雪に立つ
入り→広げ
・模擬試験思わずスマホ探る指
試験にスマホは禁止されているのでこのような句は作らないこと
4・最後にはほうび待っていた真面目
真面目→愚直などなにか他の表現はないか、
9・無理するな力を抜けと心太
面白い
・アポ電で改めて知る資産なし
改めて知る→がっかりさせる「アポ電をがっかりさせる資産なし」
・夫自慢なんとしている妻寝言
夫、妻のどちらか一つの表現にすること「あの妻が寝言で僕を褒め散らす」
・ホタルより夜店気になる三歳児
三歳児→動く、幼い子、孫二人など具体的に書く
・楠若葉五感を澄まし言葉選る
特に指摘なし。
3・野心燃え原稿用紙埋めた夜
吉川英治など具体的な人名を使う。「英治目指し原稿用紙埋めた夜」
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