普天間基地移設問題が名護市長選挙が終わり、鳩山さんの約束した5月の期限を前にしていよいよ現実問題となって来たようですので、これに関する読売の報道を並べて見ました。
普天間移設「ゼロベースで検討」…首相言及
・首相は25日夜、記者団に「ゼロベースであらゆる可能性を検討し、ベストな選択をしたい。あらゆる可能性がまだ含まれている」と述べた。
・5月末までに日米合意案をまとめることができない場合の政治責任を問われると、「万一みたいな議論は私には不要だ」と強調し、退路を断つ考えを示した。
・岡田外相も25日夜、「一つの民意が示されたからきちんと受け止めたい。ただ、基地移設問題は本来、国が責任を持って決める話だ」とした上で、政府・与党の検討で新たな移設案が見つからなければ、現行計画が再浮上することもあり得るとの見方を示した。
これに関して平野官房長官は26日に普天間移設、地元拒否なら法的決着もとまで踏み込んだ自分の考え述べて問題になっています。
・「合意が取れないと物事を進められないものなのか」
・「できる限り地元の皆さんの理解を得ながら決めるが、(地元自治体の)合意がなかったら物事が進まないのか。十分検証したいが、法律的にやれる場合もある」
・「地元の合意が取れるというのは、いろいろなパターンがある。合意に拘束されないケースだってある」
これに対して鳩山さんは「名護市民、沖縄県民の理解も求めて最終的な結論が出されるべきだ。強引なやり方ではなく理解を求めるように行いたい」と述べた。そうです。
これらの発言に就いて読売は同じ報道の中で、基地の移設先選定をめぐっては、対象となる自治体との調整の難航が予想される。平野長官はこうした困難な調整をすでに想定し、土地の強制収用や特別措置法などの活用を念頭に置いているとの見方が出ている。説明をしています。
これらの平野さんの発言の反響の大きさに、27日には官房長官、普天間移設の自治体同意を否定せずで、「(移設先の)理解を求めることは、絶対必須なことだ。これまで否定したつもりはない」と釈明しながらも一般論として、「手続きも含めて、法律でやらなくてはならない部分もある」と改めて指摘した。ただ、「沖縄県民の負担軽減と危険除去が最優先だ」と述べ、地元の理解を得るよう努力する考えを強調した。そうです。
[私の意見]
平野さんや岡田さんの言う事には筋が通っていますが、沖縄の人達がそんなことを言うのなら何故選挙前に言わないのかと言っているそうです。
何しろ鳩山さんが何かと言えば「民意、民意」、「沖縄の人の気持ち尊重すべきだ」とばかり言って、私も何度か書いたように、民意も尊重するが国全体を見ている政府としての意志もあることを言わなかったからです。
鳩山さんの発言をそのまま信用した沖縄の基地反対の人達はすっかりその気になってしまったのです。
そして移転先の名護市長選挙で反対派が勝利した矢先に平野さんの発言が出たのですから彼らが怒るのは当然です。
何故平野さんが沖縄県人の神経を逆撫ですると判っている発言をしたのは、反対派(勿論沖縄県内外の移転先自治体の人達)の意見ばかり聞いていては鳩山さんが約束した5月までの決着がつかいと思ったのでしょう。
移転先決定のスケジュール
・移転先の選定(殆ど可能性のない嘉手納基地を主張する国民新党、グアム移転を除く)
・連立の国民新党、社民党の説得(揉めると思いますが、結局はこの問題に鳩山政権の命運が掛かっていると言う他ないでしょう)
・移転先の仮決定
・米国との折衝(米国が直ぐに合意してくれれば良いですが)
・移転先の地方自治体の説得(合意を得るのは不可能か、数々の条件を提示して合意を得るのにかなり時間がかかる)
そのあらかたのスケジュールを考えると、鳩山さんの約束の5月まで決定出来そうそうにないとはっきりしてきたことが、平野さんが率いる検討チームの関係者の「反対を押し切ってでも」と言う結論になったのだと思います。
この様な事態になったのは、基本的には今後の日米関係、日米同盟の在り方、具体的には米国の基本的な戦略、戦術の検討、それにたいする日本の防衛の戦略、戦術の検討から導き出されるべき普天間基地問題について、その手続きを省略していきなり沖縄の人達の気に入るような民主党の公約をPRしたこと、特に政権獲得後の鳩山さんの県民にとって耳触りの良い発言の繰り返しが今の状況を引き起こしたのだと思います。
私は日本のためには沖縄県でどうしても駄目なら、県外で米国賛成し地方自治体も受け入れて呉れるような移転先が決まれば良いと思っています。
然しその逆になり、平野さんの言うような考え方で、土地の強制収用や特別措置法などの活用して強引に進めるか、それかといって鳩山さんの5月の決定が前の普天間基地の決定のように、また「先伸ばし」になっては鳩山政権の支持率ががた落ち、下手をすると鳩山さんの辞任にまで追い込まれるか知れません。
このような二進も三進も行かない、鳩山政権に取って蟻地獄のような状況になりそうなのは民主党と鳩山さんが撒いた種だと思います。
ごく普通に民主党の立場に立って考えれば、政権を取るまで具体的なことが何も判らなかったこともあり、政策の持続性重視の面からも、進行しつつある普天間基地移転をそのまま進め、前に書いたような基本的な問題を政権与党の立場で見直し、そして予てからの民主党の主張を取り入れながら、外交、防衛政策の見直しをすべきだったと思うのですが。
いきなり基地移転の具体的な問題に取り組み、その批判に政権が代わったのだからとか、日米関係の在り方が変わるのは当然だと言うのは、物事の順番が違うし、日本の政府としては無茶なやり方のような気がしてならないのですが。
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