普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

2回目のNHKへの「Japan デビュー」質問状とBPO

2009-06-10 09:57:00 | 情報、マスコミ

 驚き、怒り、無力感、そして悲しみ
 昨夜、戸井田とおるさんの「丸坊主日記」にあるNHKスペシャル「Japan デビュー」2回目質問状送付
を見たときの私の気持ちです。

 質問状記載の中でNHKのやり方で一番酷い箇所は、
 
【日本放送協会番組基準】には、「通常知覚できない技法で、潜在意識に働きかける表現はしない」とあるが、「JAPANデビュー」のオープニングタイトル映像(1分30秒)の中に、通常識別・知覚できない映像が隠されています。
 まず問題なのは、ヒトラーから白馬に騎乗した軍装の昭和天皇陛下に、続く十数枚の画像の中に、「日本兵達が軍刀を掲げ叫んでいる写真」をヒトラーの写真と並べ、次に「アウシュビッツのユダヤ人を連想させる写真」を出現させ、その写真の横にクッキリ「1937」の年号と「死体に抱きついている女性の写真」をレイアウトされています。これは、「ヒトラーと昭和天皇陛下は同罪で、ホロコーストと同列に『1937南京問題』を印象づけるサブリミナル技法のような手法」になっています。この映像は、いま識別できなくても、今後繰り返し放映されることで、前述した通りの「印象」が、擦り込まれることになると思われます。
 また、ベトナム戦争時の「米軍ヘリコプターの写真」(3画像)は、通常の状態でまったく知覚できません。そこで、次の質問をします。
 NHKは、再放送やDVDなど商品化するとき、「ヒトラーと昭和天皇陛下」ならびに「ホロコーストと『1937南京問題』を彷彿させる印象操作映像」と「米軍ヘリコプター」の画像を削除するか否か
(イ) 削除します。
(ロ) 削除しません。
(ハ) 指摘されたところを含め、通常に識別・知覚できるものに作り替えます。

 台湾問題を報道するのに、何故全く無関係と思われる、ヒトラーと昭和天皇陛下を並べ、「アウシュビッツのユダヤ人を連想させる写真」、ベトナム戦争時の「米軍ヘリコプターの写真」を並べたのでしょうか?
 米軍のヘリコプタターの写真の内容は容易に想像できますが、私が見ていないので省略しますが、南京事件は戦争の混乱状態のなかで起こった事件で、アウシュビッツはのユダヤ人虐殺は完全な計画的な犯罪と全く違います。
 しかもこの全く台湾問題と無関係な、日本の印象を悪くするような映像を「サブリミナル技法のような手法」を用いて世の批判を避けようとする考えが見え見えで、全くのNHKの意図的かつ悪辣なやり方としか思えません。
 それに対して(報道に対する政治の介入への批判を意識した)自民党の政治家たち質問の仕方の謙虚で控えめなこと
 それに対してNHKは会長以下この報道は公正、公平なものだと居直っています
 然し、同じNHKの「JAPANデビュー 第2回・天皇と憲法」の報道にはごく僅かな批判しか出なかったことを見ても、NHK自身も第一回の報道の仕方に問題があることには気付いている筈です。
 それでも第一回放送も公正・公平だと言いいはるのは、NHKの幹部の神経がおかしいか、官僚なみに世の批判に殻を固く閉じているのか、あるいは(こんなことは考えたくありませんが)、ネット上の批判のように、何処の誰かに遠慮しているのかとしか考えようがありません。
 誰が見てもこの偏向報道に、政府も国民代表の政治家も手が出せぬし、まして国民は何もできないのでしょうか。

 この種の問題に対する批判の解決策として、放送倫理・番組向上機構(BPO)が出来ましたが、同じNHKの慰安婦問題の放送について、誰が見ても胡散臭さすぎる、政治臭ぷんぷんの題材を取り上げたことを言わずに、NHKがこの件で政治家に接触したことだけを取り上げて、私たちをがっかりさせました。

 同機構への視聴者からの意見には次のように報告されています。
 4月にBPOに寄せられた意見は5,041件で、3月と比較し2,161件と急増している。
 (その43%もある急増の内訳については何も記述がありません。)
 意見傾向では、ニュース・報道番組、情報系番組での政治報道についての意見が多かった、内容は「追加経済対策」「G20会議」など麻生総理関連の意見、「献金疑惑」など民主党小沢代表関連の意見、北朝鮮のミサイル発射、不法滞在のフィリピン人家族についての意見、「近代日本の歴史に焦点を当てたシリーズ企画関連意見」、道路清掃の二重行政報道関連意見、新型インフルエンザ報道関連意見も多かった。
 (NHKの問題は多くの問題の中の一つとしか扱っていません。)
 番組が偏向している、公平・公正でないという意見、不適切な内容や発言などに対する説明・謝罪の方法を問う意見も多く寄せられ、キーワードの「偏向」で1,373件、「公平」で703件、「謝罪」で786件該当した
 (キーワード検索で突出している「偏向」の1.373件の内訳の記述がありません。)

 意見抜粋の中では、NHKの「JAPANデビュー」問題で批判的なもの2、肯定的なもの1を挙げて、「ワン・ノブ・ゼム」として、そして「バランス良く」扱われているだけです。 (*注記)
 私たちはネット上に如何に多くの人達がNHKの「Japan デビュー」の批判をしたか、そして番組に対する意見をBPOに投書しようという意見が多かったか知っています。
 BPOの意見欄で(当然の話ですが)テレビに対する批判ばかり占めているのに、賛成意見は何故かNHKの問題番組だけです
 これから見ても同番組への反対や批判の意見が如何に多かったか推測できます。
  BPOは公平の観点から見ても、突出したNHKの同番組批判のことを(少なくもさらりとした形でも良いから)触れるべきだったと思います。
 私は同機構のホームページを探して見ましたが、NHKの慰安婦問題報道の件と、日本テレビ「バンキシャ」以外の放送倫理委員会の動きはないようです。
 「Japan デビュー」の問題がいつBPOで取り上げられるのか、取り上げてもその結論は?
 それが私が最初に書いた気持ちの「怒り、無力感、そして悲しみ」の理由です。

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*注記:BPOに寄せられた意見
・近代日本の歴史シリーズで、「なぜ、日本が開国以来急激に国内国外を近代化しようとしたのか」の目的や経緯の説明が少なく、バランスが悪かった。また、台湾が統治される前の状態が説明されていないので、一方的に日本人が悪いように感じられた。たとえば教育についてだって、それまでの就学率が分からなければ判断できないではないか。

・台湾の皇民化政策についてのドキュメンタリーだったが、統治時代における日本の教育を受けた台湾人の方々がインタビューを受けていた。内容は、みな揃って日本の統治時代を悪くいうものであった。確かにそのような感情をお持ちの方々もいるのだろうが、果たしてすべての方々が統治時代を悪く思っているのだろうかと疑問を抱いた。私は仕事や旅行で何度も台湾を訪れているが、高齢の台湾人の方で「日本の統治時代が一番良かった。この国が一番よかったときは統治時代だ」とか「今でも私は自分のことを台湾人ではなく日本人だと思っている」と言う方々を知っている。一方的に日本の統治時代を悪と決め付けるのではなく、賛否を含めたインタビューを放送するべきである。

・近代日本の歴史を扱うシリーズだが、大変よい番組だと思った。日本が近代化する過程でどのような振る舞いをしなければならなかったのか、そして、その時アジアの諸国にどのような対応をしなければならなかったのかが分かり、大変興味深かった。限られた時間でうまくテーマに沿って制作されていたと思う。 難点を言わせて頂けるならば、なぜ「民族自決主義」が主張されるようになったのか、その背景の説明があればよかったのにと思った。第2話以降も期待している。