旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

理論と実践 カント

2014年04月16日 20時34分26秒 | Weblog

「利口ぶった人が理論とその価値とを、ただ頭脳を訓練する目的だけの学問としては認めるが、しかしいざ実践ということになれば様子がガラリと変わってくるとか、学校を出て実社会に出るとこれまで空虚な理想や哲学者の夢想に徒に追随してきたことをしみじみ感じる(要するに理論ではいかにも尤もらしく聞こえることでも実践には全く当てはまらない)などと主張するに至っては到底我慢できるものではない。これこれの命題は、なるほど一般命題としては当てはまるが、しかし個々の場合には通用しないという主張に対しても同様だ。
実際経験だけに頼る機械技師が一般力学を否定し、また砲兵が弾道数学を否認して、理論はなるほど精緻に考案されてはいるが、しかし実際には全く通用しない。このような理論を実際に適用してみても経験とはまるっきり違う結果がでてくるからだというならば、彼らは世人の笑いを招くに違いない。もし一般力学の理論に摩擦の理論を付加し、また弾道数学を空気の抵抗に関する理論で補えば経験は理論とよく一致するからである。」カント著篠田英雄約「啓蒙とは何か」 Ⅴ理論と実践より引用の上、句読点と不明な表現をを改竄。


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