４０９ ノスタルジー

※「宝塚南口」の《ＰＯIＲＥ（ポアール）》
　入れなかった・・・・・クリック♪

特別研究会も終わり（ヤレヤレ・・）と思っていたが、きょうと明日は将棋教室だった。

きょうは久しぶりで「宝塚南口」へ行ってみた。
駅を出て武庫川の方へ少し下ると、＜チョコレート館　POIRE（ポアール）＞の看板が見える。

この「POIRE」が建つ真っ直ぐな細い道は「宝塚」まで続いていて、ちょっと前までは色々な店が並んでいた。
青いのれんのかかった質屋さんや小さなうどん屋、酒屋、タバコ屋
すりガラスに‘スマートボール’と書かれた廃屋など、どことなく懐かしさを感じさせる店がポツポツと残っていた。

ちょっと時代にとり残されたようなこの雰囲気が大好きで、私の「秘密の散歩道」だった。
最近知ったのだが、この界隈は昔「月地線」と呼ばれていたそうだ。
ノスタルジーをそそる美しい響きだなぁと感じ、ますます好きになった。

ところが、きょう久々に行ってみると、「POIRE」の入り口にクサリがかかっている。
明かりのついた店内では、私服姿の男性が数人、忙しそうに動き回っている。
（なんか変だな・・）と思い表のガラス戸をよくみると、閉店のお知らせらしき張り紙がしてあるのに気づく。

すぐ隣りのお好み焼き屋さん「お多福」も、数年前に店じまいしたまんまだ。
ここは、宝塚へ来たNと初デートした場所。
主亡き後も、壁の中から無言で微笑むお多福にどこか哀れを感じる。

それから２，３０メートルほど歩いてみたが、郷愁をそそる建物はほとんど見つからない。
一体どうしたというのだろう・・・
ほんの僅かの間に、大好きだった宝物がいっぺんに消えてしまったような気分だ。

（きょうはあまりユックリ歩く時間が無いから、また今度来よう・・）と言い聞かせて駅方面へ戻る。

サンビオラへ入ってみる事にした。
１階に「らんすいえん」のある３番館の自動ドアをくぐる。
営業している店舗は想像していたより多く感じたが、それでもフロアの半分を占める程度で、お客の姿はほとんど無い。

何も買わずにただ覗くだけというのも気が引けて、２階へ上がろうとエスカレーターの前まで行くと・・・・

《関係者以外立ち入り禁止》と書かれた札が、止まったままのエスカレーター前で静かに揺れている。

（つい２，３ヶ月前までは普通に入れたのに・・・）

時代の波は、ゆっくりと確実に押し寄せている。
悲しいけれど、これが現実なのだ・・・


「追記」
今月１７日、日経新聞の夕刊に掲載された「旅の仙人」水津さんの記事を
当掲示板にてアップしておりますのでどうぞご覧下さい

おわり