マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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伊賀市下阿波のフキダワラ調査

2018年05月27日 08時28分09秒 | もっと遠くへ(三重編)
午前中いっぱいは奈良市米谷町で行われていたノヤスミのタケノコ飯を取材していた。

午後に訪れたのは奈良県でなく、三重県である。

米谷町は旧五ケ谷村。

名阪国道にはすぐ入れる地。

そこより福住、そして針。

まだ先の山添村からまっすぐ東へ名阪国道を走る目的地は三重県の伊賀市下阿波である。

平成28年8月17日にBSで放送されたBS-TBS放送の「美しい日本に出合う旅―三重で歴史散歩―家康と伊賀忍者の里・絶景の滝めぐり」という番組があった。

サブタイトルに惹かれたわけでもない三重県の美しい日本にどういう出会いがあるのか、少しだけ興味があったので録画していた。

朝食時間の合間に見る録溜めのビデオ。

その日の気分で録画した番組を決める。

この放送を見たのはずいぶん後になってからだ。

1、2カ月も経過したころだったと思う。

何気に見ていた番組に突然現れたフキダワラ。

出演している女性は煎った大豆を入れたご飯を炊いていた。

付近にあるフキを採ってきて茎軸の筋を引いていた。

シーンが替わってフキダワラの形になっていた。

女性は田植えを終えた田んぼに向かう。

丸い型のザルに盛ったフキダワラ。

中から数個を選んで藁製のサンダワラに盛った。

その場で手を合わせて拝んでいたことからさぶらき、或はさびらきの作法であろう。

名称もまた地域差があるが、これは農家における田植え初め儀式、若しくは田植え終わりのさなぶりであるかもしれない。

番組ナレーターが伝える言葉は「伊賀の郷土料理はお供え物。伊賀の里山で食べるご飯を紹介する」であった。

こうした一連のフキダワラの映像に飛びついた。

場所はテロップに表示された「三重県伊賀市下阿波」。

その地のどこかに住んでおられる女性を求めて車を走らせる。

山添村からおよそ40分弱。

カーナビゲーションにセットした下阿波へは川沿いの県道163号線を走る。

ビデオ映像の景色は山間部辺り。

そう思って車を走らせる。

カーナビゲーションが指示したルートは村中の狭い道。

集落は目と鼻の先にあるが、狭くて車が入れない。

軽自動車であっても入れなさそうな道は不入の道である。

ゆるゆるバックして県道に戻った。

すぐ近くに民家があった。

二人の婦人がおられたので、下阿波集落ならびにフキダワラのことを聞いてみた。

そこは下阿波でもあるが、須原(すはら)の地。

80歳代の婦人の子供のころの記憶である。

キナコ飯を包んだフキダワラを午前10時と午後3時のケンズイのときに食べていた、という。

探してみても、今どきそんなことをしている人はおらんという。

そりゃそうだろう。

80歳代であれば子どものころは70年前になる。

継いでいる家はみられないという。

下阿波の集落はそこより少し戻った地。

県道を挟むように民家がある。

そこで尋ねてみてはと云われていくがどなたもいない。

少し広い場で待っていた。

来られたのは年老いた婦人と娘さん。

コイン型精米所に米袋を運んで精米をし始めた。その人たちにも声をかけて聞いてみた。

結果は・・。

高齢の婦人が云うには娘はすることないが、かつておばあさんがしていたという。

ご本人は継がなかったが、その当時のおばあさんはフキダワラに包んだご飯を美味しそうに食べていた、という。

フキダワラを作っている人であれば料理好き。

あの人かもしれないと云われて探してみる。

服部川に架かる橋を渡って真っすぐ。

どんつきを左折れしたら神社がある。

そこよりすぐ近くにある家を訪ねたらテレビに出演されていた婦人が家から現れた。

都合、ここまでやって来た経緯を話したら驚きの様子である。

取材主旨を伝えたら、丁度いいという。

四日後の11日にお友達を呼んでもてなし料理の一つにフキダワラを作るという。

田植えはこのGWに期間中に済ませていたが、良ければ、それを拝見したテレビ映像と同じようにしましょうか、という返事に嬉しさがこみ上げる。

ここまで来た甲斐があった。

帰路につくその前に拝見しておきたい地元氏神さんを祀る神社にお礼の参拝をしておこうと思った。

神社は延喜式内郷社の阿波神社。

延喜式といえば修正会・オコナイで作法される神名帳詠みがある。

神名帳に東海道・伊賀の国に阿波神社

そう同名神社であるだけに神名帳に載る比定社になるそうだ。

四国・徳島の阿波国。阿波国造を務めた息長田別命の子孫が、伊賀の国に移住し、阿波君の祖人である息長田別命を祀ったのが阿波神社とも・・。

社務所か参籠所かよくわからないが境内に併設する建物がある。

看板を拝見したら下阿波小規模多目的集会所の表示があった。

(H29. 5. 7 SB932SH撮影)


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