令和3年3月6日(土)、7日(日)は、旧前坊屋根葺替完了記念の内部特別公開。
両日限りの特別一般公開を見逃すわけにはいかない。
奈良県立大和民俗公園入口ゲートから歩きだし「旧前坊家」に到着するまでの時間はおよそ15分。
早い人なら10分もかからなかっただろう。
見上げた「旧前坊家」。
2階の窓を開放している。
今まで見たこともない光景に、ある意味感動を覚えたのは言うまでもない。
写真でもわかるように、「旧前坊家」を南側から見れば、2階建て。
右側にぐるっと周れば1階建て。
窓を開放していた2階は、離れ座敷である。
写真に写りこんだ来訪者は、内部公開の見学者。
歩く左手側建物を水平にみていけば、2階が、あれれ・・いつの間にか、1階の玄関に、という不思議な建物。
懸造り(※吉野建て)と呼ぶ独特の特徴をもつ建物である。
右手の建物は旧木村家住宅。施設作業に、職員さんの手よる日常の作業清掃がある。
たまたま掃いておられたので撮らせてもらった。
その旧木村家・収穫した稲を干すハザカケ越しに見る「旧前坊家」。
前述に説明した2階建て構造がわかるだろうか。
白い障子は、主屋の1階玄関からあがっていけば、離れ座敷に行き交う渡り廊下がある。
その渡り廊下に沿って、四畳半、四畳の2室がある。
その部屋の窓が白い障子。
入室したらわかるが、その2室の手前に便所、浴室がある。
さて、内部公開である。
準備が整ってから担当のTさんから大まかな説明を受けて入室。
玄関に貼ってあった検査章のあれこれ。
吉野町の「家屋調査済」章から、住んでいた様子が見えてきそうだ。
日本赤十字・社員に大阪ガスなど懐かしいプレートもある。
大阪市内に住んでいた住宅地も同じようなものがあったな、と思い出す。
入口で靴を脱ぎ、スリッパに履き替えて見学する。
まずは、三畳間の「みせ」。
プレート表記に、見せる「見世(みせ)」の文字。
括弧書きに「店」とある。
「見世」と「店」は、同じ意味。
詳しいことは、省くが・・「みせ」は、「見せる」から始まった。
「見せて売る」棚を設けた「見世棚(みせだな)」。
商店の原型になった商売方法の「見世棚」。
「見世棚」の略が「見世」。
この大和言葉の「みせ」に、同じ意味の漢字である「店」を充てたようだ。
その奥の部屋は、八畳半の「みせおく」。
「みせ」の奥にある部屋だから「みせ」の奥の間の「みせおく」。
今回の公開イベントに、花柄の唐傘を装飾していた。
次の間は、四畳の「なかのま(中の間)」に、奥が七畳半の「なんど(納戸)」。
その奥に押し入れもあるが、暗くて見えない。
納戸の間から、隣の部屋をみれば、籠が見える。
ぐるっと向こう側に周ってわかった籠は、嫁入りの籠。
室内保管されていたから綺麗な状態の籠であるが、以前に置いてあった場所は「旧木村家」のような気がする。
「みせ」、「なかのま」に続く部屋は六畳の「だいどころ」。
室内移動もできるが、通り土間からも上がり降りができる。
その土間の一角に、竈がある。
通り土間の最奥は、浴室に続く、つまり土間続き。
通り土間を歩いてわかる下り坂。
徐々に下がっていく状態がよくわかる。
籠を置いていた部屋は八畳の「付書院」がある「ざしき」の間。
そこから離れ座敷に行き交うことができる渡り廊下になる。
外側に手すりを設けた渡り廊下。
歩けば、ギシギシ音の鳴る渡り廊下。
対面に見えるのが離れ座敷である。
見学者たちが、思いを寄せて拝観している。
懐かしい間に、昔の暮らし。
それぞれの生活空間から暮らした記憶が蘇る。
離れ座敷は、三間ある。
渡り廊下から見た三間は、六畳の「しもざ」、同じく六畳の「なかのま」に最奥が、六畳の「かみのま」。
床の間に付書院、物入れに押し入れもある間続き18畳の間。
襖を外したら、解放感に浸れる。
できるなら、この広間で大の字になって寝てみたい。
窓は全開、気持ちのいい3月初めの風が流れる。
離れ座敷から、渡り廊下向こう側に建つ2階建て主屋を眺める。
今回の主な修理目的は杉皮葺き屋根である。
右手前の渡り廊下の杉皮葺き屋根が見える。
綺麗に葺いた杉皮屋根が美しく見える。
その先の主屋の屋根もまた杉皮葺きであるが、比較したら、違和感がある。
遠目になるからわかりにくいが、今回の葺き替えではなかった。
担当のTさんの話によれば、何年か前に葺き替え先行工事をしていたそうだ。
それから数年・・苔むす状態ではないが、ややくすんで見えるのは、経年経過の現われであろう。
ちなみに、2階部分は、今回の公開見学対象には含まれていないが、六畳の「かみのま」と八畳の「しもざ」がある。
一番見たかった離れ座敷。
立派なカメラをお持ちの男性。
座敷に座ったまま、床の間方向にレンズを向けて撮っておられた。
その他にもカメラマン姿は何人も・・。
いい写真を撮られたことだろう。
離れ座敷を見て主屋に戻ろうとして振り返るそこも窓は全開。
向こう岸に見える建物は、「旧木村家住宅・主屋」。
十津川村特有構造の建屋。
屋根は「旧前坊家」同様に杉皮葺き。
それだけでなく、今ではもう見ることもない、貴重な石置き構造の屋根である。
先だって、拝見した県立民俗博物館。
耐震工事を終えてリニューアル公開に歴代の民博ポスター展があった。
うち、一枚が、十津川村上葛川の地にあった石置き屋根。
当時の古民家をとらえたポスターと同じ景観風情に誘える。
2階の窓から見える旧木村家の全景。
屋根の構造がよくわかる映像。
これまで見ることもなかった内部公開見学に参加して、ほんまに良かった、と思う景観にも浸っていた。
一通り、内部構造を拝見して屋外から見た外観。
外に構築した石垣もまた風情がある。
あたかも当時の姿が蘇り、その場に居たような錯覚に陥る壁構え。
数人のハイカーさんが見える建物が離れ座敷。
さらに、右へ廻ってみる渡り廊下。
ハイカーさんたちは、背伸びして覗き込んでいた。
おかげで建物の高さがわかる映像になった。
渡り廊下、離れ座敷の1階部分は、蔵のような構造。
内部は公開していないからはっきりしないが・・。
その付近に置いてあった機械は、稲藁結いの機械。
田所~中型製縄機など他に2台。
玄関口にも1台ある。
この製縄機もまた農機具の展示物であろう。
ざっと見学し終わって、ふり返り。
「本日の見学コース」とあるが、コース資料は、昨年の11月21日(土)、22日(日)に使用したものを再活用された。
なお、吉野建ては、吉野山だけでなく、下市にもある。
吉野川沿いに建つ民家もまた吉野建て構造。
参考になりそうな2点のブログが見つかった。
(R3. 3. 7 SB805SH撮影)
両日限りの特別一般公開を見逃すわけにはいかない。
奈良県立大和民俗公園入口ゲートから歩きだし「旧前坊家」に到着するまでの時間はおよそ15分。
早い人なら10分もかからなかっただろう。
見上げた「旧前坊家」。
2階の窓を開放している。
今まで見たこともない光景に、ある意味感動を覚えたのは言うまでもない。
写真でもわかるように、「旧前坊家」を南側から見れば、2階建て。
右側にぐるっと周れば1階建て。
窓を開放していた2階は、離れ座敷である。
写真に写りこんだ来訪者は、内部公開の見学者。
歩く左手側建物を水平にみていけば、2階が、あれれ・・いつの間にか、1階の玄関に、という不思議な建物。
懸造り(※吉野建て)と呼ぶ独特の特徴をもつ建物である。
右手の建物は旧木村家住宅。施設作業に、職員さんの手よる日常の作業清掃がある。
たまたま掃いておられたので撮らせてもらった。
その旧木村家・収穫した稲を干すハザカケ越しに見る「旧前坊家」。
前述に説明した2階建て構造がわかるだろうか。
白い障子は、主屋の1階玄関からあがっていけば、離れ座敷に行き交う渡り廊下がある。
その渡り廊下に沿って、四畳半、四畳の2室がある。
その部屋の窓が白い障子。
入室したらわかるが、その2室の手前に便所、浴室がある。
さて、内部公開である。
準備が整ってから担当のTさんから大まかな説明を受けて入室。
玄関に貼ってあった検査章のあれこれ。
吉野町の「家屋調査済」章から、住んでいた様子が見えてきそうだ。
日本赤十字・社員に大阪ガスなど懐かしいプレートもある。
大阪市内に住んでいた住宅地も同じようなものがあったな、と思い出す。
入口で靴を脱ぎ、スリッパに履き替えて見学する。
まずは、三畳間の「みせ」。
プレート表記に、見せる「見世(みせ)」の文字。
括弧書きに「店」とある。
「見世」と「店」は、同じ意味。
詳しいことは、省くが・・「みせ」は、「見せる」から始まった。
「見せて売る」棚を設けた「見世棚(みせだな)」。
商店の原型になった商売方法の「見世棚」。
「見世棚」の略が「見世」。
この大和言葉の「みせ」に、同じ意味の漢字である「店」を充てたようだ。
その奥の部屋は、八畳半の「みせおく」。
「みせ」の奥にある部屋だから「みせ」の奥の間の「みせおく」。
今回の公開イベントに、花柄の唐傘を装飾していた。
次の間は、四畳の「なかのま(中の間)」に、奥が七畳半の「なんど(納戸)」。
その奥に押し入れもあるが、暗くて見えない。
納戸の間から、隣の部屋をみれば、籠が見える。
ぐるっと向こう側に周ってわかった籠は、嫁入りの籠。
室内保管されていたから綺麗な状態の籠であるが、以前に置いてあった場所は「旧木村家」のような気がする。
「みせ」、「なかのま」に続く部屋は六畳の「だいどころ」。
室内移動もできるが、通り土間からも上がり降りができる。
その土間の一角に、竈がある。
通り土間の最奥は、浴室に続く、つまり土間続き。
通り土間を歩いてわかる下り坂。
徐々に下がっていく状態がよくわかる。
籠を置いていた部屋は八畳の「付書院」がある「ざしき」の間。
そこから離れ座敷に行き交うことができる渡り廊下になる。
外側に手すりを設けた渡り廊下。
歩けば、ギシギシ音の鳴る渡り廊下。
対面に見えるのが離れ座敷である。
見学者たちが、思いを寄せて拝観している。
懐かしい間に、昔の暮らし。
それぞれの生活空間から暮らした記憶が蘇る。
離れ座敷は、三間ある。
渡り廊下から見た三間は、六畳の「しもざ」、同じく六畳の「なかのま」に最奥が、六畳の「かみのま」。
床の間に付書院、物入れに押し入れもある間続き18畳の間。
襖を外したら、解放感に浸れる。
できるなら、この広間で大の字になって寝てみたい。
窓は全開、気持ちのいい3月初めの風が流れる。
離れ座敷から、渡り廊下向こう側に建つ2階建て主屋を眺める。
今回の主な修理目的は杉皮葺き屋根である。
右手前の渡り廊下の杉皮葺き屋根が見える。
綺麗に葺いた杉皮屋根が美しく見える。
その先の主屋の屋根もまた杉皮葺きであるが、比較したら、違和感がある。
遠目になるからわかりにくいが、今回の葺き替えではなかった。
担当のTさんの話によれば、何年か前に葺き替え先行工事をしていたそうだ。
それから数年・・苔むす状態ではないが、ややくすんで見えるのは、経年経過の現われであろう。
ちなみに、2階部分は、今回の公開見学対象には含まれていないが、六畳の「かみのま」と八畳の「しもざ」がある。
一番見たかった離れ座敷。
立派なカメラをお持ちの男性。
座敷に座ったまま、床の間方向にレンズを向けて撮っておられた。
その他にもカメラマン姿は何人も・・。
いい写真を撮られたことだろう。
離れ座敷を見て主屋に戻ろうとして振り返るそこも窓は全開。
向こう岸に見える建物は、「旧木村家住宅・主屋」。
十津川村特有構造の建屋。
屋根は「旧前坊家」同様に杉皮葺き。
それだけでなく、今ではもう見ることもない、貴重な石置き構造の屋根である。
先だって、拝見した県立民俗博物館。
耐震工事を終えてリニューアル公開に歴代の民博ポスター展があった。
うち、一枚が、十津川村上葛川の地にあった石置き屋根。
当時の古民家をとらえたポスターと同じ景観風情に誘える。
2階の窓から見える旧木村家の全景。
屋根の構造がよくわかる映像。
これまで見ることもなかった内部公開見学に参加して、ほんまに良かった、と思う景観にも浸っていた。
一通り、内部構造を拝見して屋外から見た外観。
外に構築した石垣もまた風情がある。
あたかも当時の姿が蘇り、その場に居たような錯覚に陥る壁構え。
数人のハイカーさんが見える建物が離れ座敷。
さらに、右へ廻ってみる渡り廊下。
ハイカーさんたちは、背伸びして覗き込んでいた。
おかげで建物の高さがわかる映像になった。
渡り廊下、離れ座敷の1階部分は、蔵のような構造。
内部は公開していないからはっきりしないが・・。
その付近に置いてあった機械は、稲藁結いの機械。
田所~中型製縄機など他に2台。
玄関口にも1台ある。
この製縄機もまた農機具の展示物であろう。
ざっと見学し終わって、ふり返り。
「本日の見学コース」とあるが、コース資料は、昨年の11月21日(土)、22日(日)に使用したものを再活用された。
なお、吉野建ては、吉野山だけでなく、下市にもある。
吉野川沿いに建つ民家もまた吉野建て構造。
参考になりそうな2点のブログが見つかった。
(R3. 3. 7 SB805SH撮影)