マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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都祁南之庄都介野岳の岳山籠

2011年05月22日 07時38分14秒 | 奈良市(旧都祁村)へ
4月15日は都介野岳山頂に登ってお参りをする都祁南之庄の神社役員たち。

山頂に祀られているのは岳神社。

水の神さんだという。

昨年は寒かったが今年は暖かい。

風もなく暑いくらいの日となった。

中腹までは乗り合わせた車で向かう。

そこから山頂まではもう少し。

急な山道は険しく杖をついて登っていく。

木製の階段やガードレールで登はんを楽にする。

若いころに整備したのだというから20年以上も経っている。

そのわりには腐ってもいない。

その恩恵は今でも立派に役立っている。



到着すると御供を供えて村の神主が祝詞を奏上した。

一方、役員たちはサクラの木の下でシートを敷いた。

風呂敷に包んで持ってきた弁当を広げた。



手作りもあればコンビニ弁当にオツマミも・・・。

お下がりのお神酒やジャコ、スルメなどとともに会食をする。

2本のサクラは咲きはじめ。一輪、二輪・・・の花びらが見える。

「いつだったかそれは満開やった。お酒も三升飲んだ。唄や踊りまで飛び出して賑やかだった」と話す。

「あのときにはおまいさんも唄っていたな」と遅れて登ってきた二人の婦人に元総代が話しかける。

若い人は登ってこないからそのまま平均年齢があがっていった。

一週間ほど雨は降っていない。

前週の日曜日辺りには水口祭りを終えた苗代もある南之庄。

神社付近に3カ所、岳山籠の出発地など僅か。

そこにはお札を取り付けた棒がある。



これは正月三日に歓楽寺で行われたオコナイの行事で祈祷された牛玉宝印のゴーサン札だ。

棒は村から悪病を追い払ったランジョウで叩かれたフジの木。

フジの木を剝した皮で括っている特徴あるゴオウ杖である。

雨は降らなくとも水口祭りは行われている。

しかしだ。田んぼには水が要る。

荒起こしも済ませた田んぼには水を引かなければならない。

その水は天から降ってくる。

雨は水の神さんに降ってくれと願う。

それが岳山籠の本質なのである。

山頂で会食するのは岳のぼり。

天気の良い日はこうして岳山に登るが雨天の場合は国津神社で営まれる。

ゆったりとした時間が流れていく。

下山したとたんに雨が降り出した。

岳山籠りの願いが通じたのであろう。

65年前の戦後まもないころの南之庄。

年寄りは畑のカボチャ、ジャガイモを醤油や出しジャコで炊いていた。

砂糖は配給だったのでそれには使えなかった。

子供はそれをおやつとして食べていた。

飢えた時代だったのでそんな味でも美味しかった。

だから夕食前にはなくなっていたと話す婦人たち。

男たちは松のジンを採りに行ってた。

それは飛行機に使う材料だったらしいというから戦中のことであろう。

紙の原料となるコウゾも採りに行ってた。

運動場には鉄棒がなかったが竹を2本立ててそれを垂直に昇った。

タケノボリに夢中になって遊んだ。

麓のガケは貝の化石がでてきた。

隣村の貝ケ平山もそうだ。

「勉強なんぞしてられへんかった」と笑って話す。

(H23. 4.15 EOS40D撮影)


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