マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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榛原柳・元庄屋家遺産の旧消防用具

2019年09月04日 10時00分36秒 | 民俗あれこれ(消防編)
一昨年の平成28年の5月15日に立ち寄った宇陀市榛原柳。

地域で行われている旧暦閏年に行われる庚申講を知りたくて、田園におられた村の人に尋ねた。

庚申さんの場所を教えてくださったYさん。

尋ねてきたことは区長のTさんに伝えておくと約束してくださった。

そして、翌年の平成29年3月23日に再びやってきた榛原柳。

区長家を教えてもらったが、取材時間を確保できずに持ち越し。

日をあらためて再び訪れた3月27日

お会いできたT区長から庚申講や権現ドーヤなどの行事の詳細を教えてもらった。

聞き取りを終えてふと見上げたT区長家の玄関。

真上にあった龍吐水(りゅうどすい)は、江戸時代から使われてきた木製の手押し消防ポンプである。

その龍吐水の周りに10個ほどのバケツもあった。

現在ではプラスチック製のバケツ。

通称ポリバケツと呼んでいる「消火用」文字がある真っ赤なバケツ。

それ以前はトタンブリキの金属製。

もっと以前は竹製。

竹で編んだバケツ籠に、柿渋を塗った和紙を重ねて貼った強固なバケツ。

桜井市小夫の元庄屋家で拝見した龍吐水と和製消防バケツ。

時代を示すものがなく、不明だったが相当古い年代物の消防道具だった。

訪ねた榛原柳のT区長家もまた元庄屋家。

もう一度、お伺いする機会があれば、古く、貴重な民俗遺産を撮らせてもらいたくお願いしていた。

と、いうのも龍吐水の年代が江戸時代だったのだ。

年代がはっきりわかる龍吐水は木製の手押しポンプ。

水溜めした箱道具から、消防ホースを通して勢いよく水を飛ばして消火する。

ぎっこん、ばったんの音がしたかどうかわからないが、複数人で対応する手押しポンプ。



力仕事で出力する水。

その姿はまるで龍が吐くようなことから名付けられた龍吐水。

尤も龍は水を象徴する伝説、現実に存在しない架空の生き物。

蛇も龍も同じように水神を象徴するがいずれも水を吐くことはない。

吐いているのは神社にある手水鉢の龍である。

さて、和製の消防バケツの役目である。

バケツは水を汲んで運ぶ道具。

尤もバシャーッと水かけするとか、夏の暑い盛りに打ち水する道具でもあるが・・。

本日、2月11日に訪れたT区長家。

建国記念日の日には日の丸掲揚し、橿原神宮紀元祭参拝をしてきたという夫妻に手渡した写真は撮らせてもらったお礼。

前年の平成29年4月2日に取材した旧暦閏年に行われる閏庚申。



同じ日に行われた例会の営みの写真も差し上げにきた際に撮らせてもらった龍吐水と和製消防バケツ。

側面に大きな文字で書かれた「立見」。

立派な文字である。

前方の文字は「式上郡 柳村」。



後方に」「嘉永二年(1848) 己酉中夏吉日」とある。

170年も前の江戸時代の道具である。

薄っすらなので判読し難いが、「細工所 京松原 平丹利□ □小路西入」とあるから、当時京都にあった松原通りが所在地の細工所であろうか。

龍吐水を吊るしているその横に掲げていた桧葉付きの塔婆。



閏庚申に祭られる塔婆である。

「奉願 天下泰平 村内平穏 家内安全 五穀豊穣 南無青面金剛童子 昭和三拾貳年・・ 施主・・」とある。

今から60年以上も前に閏庚申講のヤド家を務めたときの塔婆。

先代若しくは先々代、場合によれば、先々々代に遡るかもしれない。

(H30. 2.11 EOS40D撮影)


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