マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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南矢田の御日待講祭

2012年03月23日 08時03分03秒 | 大和郡山市へ
御日待講祭の祭典に先立って、2月1日に矢田坐久志玉比古神社で行われた粥占・水溜占祭表を氏子たちに配られる南矢田の公民館。

配られた表を見られた人たちは「今年の2月は雨が少ない。9月はどしゃぶりやな」という。

「稲刈りの前の雨は難儀なことだ」と話すのは農業を営んでいる人だ。

表の上部に印をされた黒く塗られた毎月の結果状況を見て応えたのだ。

月々の雨降る具合は農家にとっては大いに気になる天気予報。

テレビでは毎日のように天気予報の報道がされている。

珠には3カ月予報もされるが週間予報である。

今日や明日は気になる雨。

その雨がなければ農作物は育たない。

晴れが続けば田んぼは乾いてしまう。

もっと続けば旱魃だ。

そんな日が続けば雨乞いをしていた。

近年は分水ができて旱も起こらなくなったゆえに雨乞いは見られなくなった。

矢田で見られた水溜占の結果はともかく、こうした一年間の雨量は気になるもの。



(H23. 2. 3 EOS40D撮影)
宇陀市大宇陀の野依では豆を焼いて予想する豆焼き占いがある。

大和で行われている数少ない水溜占である。

神社では粥占も行われている。

22種類の結果は「大」「中」「小」で現される。

「小」の結果がでた作物は三種類。

春なすびにぶどう、トマトである。

矢田で栽培されていたぶどう農家は徐々に減ってきている。

私が知る限り近年において2軒が廃業された。

粥占は作物の出来、不出来を占うもの。

「大」や「中」の結果を見て栽培をする人が多いそうだ。

「すいかは大やからたくさん作らな」と話す人もいる。

このように大和で粥占をしているのは矢田坐久志玉比古神社から北東2km。

富雄川東に鎮座する登弥神社(奈良市石木町)と南東10km離れた大和神社(天理市新泉町)の3か所である。

だが、登弥神社と大和神社では水溜占は見られない。

この日、「天照皇大神」の掛軸を掲げられた公民館に集まってくるのは清水地区と垣内地区の人たち。

地区のお日待ち行事である。

かつては回り当番のトーヤ(当家)のヤド家で掛け図を掲げてお日待ちをしていた。

翌朝、お日さんが出てくるまでヤドで籠もって会食をしていたという。

それぞれの地区で行われていたお日待ちは、十数年前に合同行事となって矢田坐久志玉比古神社宮司による祭典を行うことになった。

両地区の合同行事ではあるが、それぞれの地区が保有する掛軸を掲げていたことから隔年おきに掛軸を替えられる。



(H23. 2. 6 EOS40D撮影)
昨年は中央に伊勢の天照太神宮(雨宝童子)を配する清水地区の三社託宣の掛軸であったが今年は垣内の当番だ。

お日待ちの神事は昨年と同様に斎行された。

洗い米、小モチ、海の幸や里の幸などの神饌を供える。

宮司一拝、祓えの儀に続いて降神の儀。

室内の灯りをすべて消して真っ暗にする。

「オオォーー」の神降ろしと同時に照明が消された。



灯りが点けられ献饌の儀、祝詞奏上、玉串奉奠、撤饌の儀、そして昇神の儀も再び照明が消された。

厳かな神事は矢田の神さんが納められたヤカタの扉を閉じられて終えた。

ほどなくお神酒が配られ、神さんに感謝をこめて乾杯された。

南矢田のお日待ちは2月5日と決まっていたが、立春明けの日曜日に行われている。

(H24. 2. 5 EOS40D撮影)