ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「展開形」 20200427 20200125 

2020-04-27 | Weblog

 

悲しみの一撃によってランドスケープは一変する──

彩り、色あい、表情、肌ざわり
スクリーンの画面が切り替わるように
世界を構成する意味と価値の配列が変化する

そうではなく感じていたいのに
そうであるようにしか感じられない

拒むことを絶対に許さないように

世界はそうであるようにしか現われない
そうとしかありえないかのように

世界はいつも、すでに
心の願いをひとつも斟酌することなく
告げるべきことをただ告げるように姿を現わす。

世界の現われ、世界のはじめの告知に
ぼくの心は関与することができない
ぼくの心は告げられ、つねに、おくれて動き出す。

この先行関係はけっして動かすことができない。

現われとしての世界──
すべてのはじまりをつくる世界との遭遇
一切の起点、動かせない初期条件つくるように現われる世界

逃げられない痛切さ、切実さ、非情さにおいて
「世界はかくある」と告げられる

ぼくの心は決定に加われず、選ぶことができない
遭遇というかたちでしか世界を知ることができず
はじまりの世界記述に参加することができない

「かなしい」

最初の記述の権利はただ世界の側にだけある
──しかし始発点は終着点を指定しない

「わかった。十分だ。上等だ」、けれど
「申し分ない」とは口が裂けても言わない

世界が告げる記述形式ははじまりにすぎない
初期条件はいっさいを決定し完結させることはできない

おくれて立ち上がる側には別の権利がある

つねに〝未決の位相〟を保持し
記述の確定を斥けるように駆けているものがいる

一つの意志がそのつど新たな記述へ
世界の書き換えへ向かうかのように

記述の更新に向けてつねに準備を整えるように
その意志を貫徹させるように
世界に向かって告げ返すものがいる

──新たな記述の場所をつねに空けておけ

未決性において全域性を満たすように
つねに自らに生成する「問い」をたずさえ
未決の解を探索するものがいる

なぜ・なに・どうしたら・どうするか──

わかること、理解のポッケに収まるものだけでは足りない
わからないことのわからなさをそのまま保持する
保持することではじめてアクセス可能になるものがある

わかること知ること、初期記述へ落とし込み
一切をそこに向かって帰納するのではない

わからないことのわかりえなさ
知りえないことの知りえなさ

つねに、そのことを手がかりに
資源として立ち上がるものがいる

記述の確定を拒む未決性を本質として
逆説的に疑えない明証として一つの格律がみちびかれる。

「世界の自明性、確定された記述につねに留保をかけろ」

     *

原理の思考へ──
子は母を生むことができない。
失恋の絶望、挫折は希望に先行できない。

 

 

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