定常性がゆらぐとき、生命システムは活性化する。
正の触発と負の触発──定常性のゆらぎは二つの方向からの「予期」の訪れとして現象する。
生命的システムはなんらかの修正、刷新、
状況から離脱の要請として「予期」を受信する。
正の触発──享受可能性、生のエロス、快、なんらかのアトラクターとの遭遇。
負の触発──エラー、矛盾、齟齬、対立、不全、不調、なんらかの苦境との遭遇。
生きられる状況(関係状態)はつねにモニターされている。
モニターしつつ存在すること、なんらかの「定常性の破れ」を感知しつつ生きること。
いいかえると、つねに関係状況をモニターしながら、
その破れの規模、波形、強度について意識主体に告げる作動があること。
そしてその告知は、つねに情動的作動として意識主体に告げられる。
情動の生成、その強度が高まるほど、生命的作動は活性化する。
生命的システムがみずからに告げる、正としてあるいは負としてあらわれる関係状況。
生の主題(欲望)の展開を拡張へみちびく状況の出現、
あるいは展開を阻害する状況の出現。
その要因は内的にも外的にも存在する。
なんらかの異変の告知、それを告げる情動生起。
活性化、白熱し、高まる内圧、覚醒度の亢進は、情動的告知の強度と照応している。
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「生きる意志」──Backstageの生きる意志は、意識主体に先行して動いている。
モニターされた関係状況の報告は、
つねに意識主体の意識の水面における情動生起として現象する。
この報告メッセージから読み取れることがある。
そこには、そのつどの情動が告げる内容の差異を問わず、
すべてに「生きる意志の基底的作動」という透明なラベルが張り付いている。