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美青年のいる文学史⑥~『吉原御免状』

2012-05-22 22:56:54 | Weblog
昼近くから雨。
季節逆戻り。寒い一日。


シリーズ化してしまった感のある『美青年のいる文学史』ですが、最初に、『このひと』を、全く思い出さなかった・・・なんで・・・???
『吉原御免状:隆慶一郎・著』の主人公・松永誠一郎。
美青年剣士です。

・・・し・か・も・・・!物語の設定では、後水尾帝の血を引く高貴な生まれです。
高貴な御生まれですが、武家が政権を取ってから、明治維新に到るまでの長きに渡って、お公家様というのは、結構、辛いお暮しの方が多かったようです。
それについては、有吉佐和子さんの『和宮様御留』にも、詳細があって、とても興味深かったのですが、天皇家と言えども、当時の徳川幕府は、敵に回したくないお相手だったようです。
後水尾帝の妃となる三代将軍家光の娘・和子(まさこ)については、宮尾登美子さんの『東福門院和子の涙』で、一応の学習済。

・・・っつうことで、徳川家としては、和子さん以外の宮廷女官に、帝の血を受け継ぐお世継ぎが生まれると都合が悪かった訳で。
・・・本篇の主人公・松永誠一郎は、徳川家に仕える柳生一族に、生まれて間もなく、母親とともに、その命を狙われることになるのですが、時既に遅し。母親は、惨殺されてしまっておりました。
漂泊中だった宮本武蔵に、その命を助けられ、誠一郎は、山奥に身を隠し、剣の修行に励みます。
歳が満ちて・・・。
師・宮本武蔵の言いつけ通り、誠一郎は、江戸へと旅立ちます。
そして、神君・徳川家康の残したと言われる『御免状』の謎を追うことになるのですが・・・。

高貴なお血筋だけあって、その優雅で、涼しげな佇まい、そして、高潔で、爽やかで、美青年剣士に相応しい成長ぶりが描かれていきます。

一方で、幕府ご指南役で、頂点に上り詰めた柳生但馬守。
柳生家の兄弟の末弟・義仙(後の烈堂・・・これは、劇画『子連れ狼』で、拝一刀と対立しますが、また別のお話)と宗冬の確執、そして、誠一郎の対決が、後半のヤマとなります。

遊(湯)女・勝山との切ない恋もあり。

高貴な血筋、爽やかな美貌、高潔な魂・・・清々しい美青年像に仕上がっております。


舞台初演は、松永誠一郎役に、堤真一さん、遊女・勝山役に、雪松泰子さん・・・でしたかね?
なかなか、美しいお二人でした。

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