鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

中央線に乗りながら・・・『斜陽:太宰治・著』

2012-07-23 22:51:21 | Weblog
曇りがち。蒸し暑さ復活。


都下に通院を初めて、1年4ヵ月。
月1回くらいのペースで、通っていて、往路は、新宿駅から、中央線を利用して、復路も、東京駅まで利用することが、多い。

よくニュースで、ダイヤの乱れを報道されているので、運行の乱れの原因もいろいろとあるのだろうと思っている。

さて、この中央線沿線。
いろいろな小説やドラマの舞台となっていることも多い。

一番、印象に残っている小説は、太宰治の『斜陽』。
戦争が終わって、現在のJR東日本が、国鉄になるまえで、鉄道省の管轄で、『省線』と呼ばれていた頃。

物語の最後・・・小説家・上原を、慕う和子が、飲み歩いている彼を探して、省線西荻窪界隈を行ったり、来たりする。あれ程、再会を待ち望んでいた人は、倦み疲れ、肺を病んでいるにもかかわらず、自分を滅ぼすために、アルコールに溺れて、刹那の忘我に生きるだけである。

この小説を読んだのは、中学生の頃だったけれど。
中学生の読む小説じゃないよな~~~と今になって思う。
滅びの美学・・・なんてものは、ある程度、トシをとってからじゃないとわからないものだと思うし(チュウ坊には、無理無理)。

戦争が終わって、時代が変わって、美しかった生まれながらの貴族が、消えて・・・。

滅びゆくものは、美しい。

それを象徴するのが、和子の『おかあさま』だし、この世では、生きることが難しいくらい繊細な弟・直治でもある。

考えてみれば(別に考えなくてもいいのだけれど)。
昭和も相当遠くなったてきたなぁ・・・と思う。
平成の世になって、早、四半世紀・・・。
この四半世紀・・・私は、何もしてこなかったなぁ・・・。

そして、数年前。この小説のモデルとなった『斜陽館』焼失・・・。
永遠は、永遠と言っている限り永遠ではない・・・のかもしれない・・・なんてことを、考える。

やはり、滅びゆくものは、儚く、美しい・・・。


斜く陽差しは、やがて滅びゆく今日を、おしとどめることはできない。