未熟なカメラマン さてものひとりごと

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岡山県の花の名所を訪ねて(7月) アジサイ・長法寺(津山市)

2013-07-11 23:03:36 | 神社・仏閣

境内がアジサイで埋まる長法寺。300年の歴史を刻む石垣が美しい。

 7月6日(土)岡山県のアジサイの名所・津山市の長法寺を初めて訪ねました。時季的にもう遅いかもと思いながら、期待も半分ありました。岡山自動車道・賀陽ICから中国自動車道に入り院庄ICで降りて、15分ほどで目的地に到着しました。市街地からすぐのところにありますが、あたりは水田も混在する閑静な住宅地です。細い道を進むと、「長法寺駐車場」と書かれた案内板がありました。先客でしょうか、車が1台停まっていました。少し歩くと、山の上にとても美しい多宝塔が見えてきました。

そして進むと、先ほどの駐車場よりは幾分広めの空き地があり、こちらも駐車場に利用されているようでした。1台の中型の観光バスが停まっており、運転手さんが外に出て、乗客が帰るのを今か今かと待っている様子でした。プレートを見ると香川NOでした。はるばる香川からも来るんだと感心し、またうれしくもありました。お寺付近の道端で見たアジサイは、もう勢いもなく、見ごろは過ぎている感じでした。「アジサイももう終わりですね!」と運転手さんに声を掛けると、「そうですね。お客さんから叱られるかもしれません。ツアーの企画は難しいですね」と、お客さんの反応が気になる様子でした。

やはり遅かったか、と石橋を渡り小さな仁王門を潜ると、まっすぐに伸びる石畳の参道があり、その両側には、びっしりアジサイが植えられていました。がしかし、どれも色あせた感じがして見ごろは過ぎていました。城郭のような石段を登っていくと左右からアジサイが寄りかかるように迫ってきます。そして登りきると阿弥陀堂に出ます。左手には鐘楼もありました。こちらの境内にもアジサイが目立ちます。

長法寺は、美作国金光山長法寺といい、天台宗比叡山延暦寺の末寺です。天平7年(735年)行基による草創といわれ、嘉祥元年(848年)第二祖慈覚大師が十一面観世音菩薩を刻み、草堂を結び中興。末寺二十ケ寺になるまで栄えましたが、再三の兵火により焼失。現在の地へは、弘化2年(1845年)にやや西の平地にあったものを快玄和尚が移したと云われています。明治6年の津山城取り壊しと同時に場内のアジサイの描かれた襖を当時の本堂に移したのがきっかけでアジサイが植えられるようになったとのことです。境内には30種、約三千株のアジサイが植えられ、見ごろの時季には、初夏の風情を求めて多くの観光客がやってきます。

ここで遠くから見えた、あの多宝塔が気になりました。位置的には、まだまだ上の方のようでしたが、せっかくなので案内板にしたがって上がってみることにしました。阿弥陀堂の裏側は、広いスペースの墓地となっていました。さらに登ると、車道を横切り、急な階段があり、それを登りきると、やっと多宝塔です。とても新しく美しいものでした。資料によると、この多宝塔は、創建1150年を記念した事業で、平成5年に着工し、平成8年3月に完成しています。ここからの津山市街の眺望は、すばらしく、夜景の撮影スポットとしても知られているようです。このころから雨がぽつぽつと降ってきました。これは大変と帰りを急ぎます。雨は一時のことで止みましたが、上の方から境内全体を眺めると、石垣の下にアジサイの園がありました。参道脇から、アジサイをかき分け進むと、石垣が幾重にも重なり、阿弥陀堂の上に先ほどの多宝塔が見えました。素晴らしい景観でした。一眼レフカメラを提げた観光客を何人も見ましたが、ここまで入ってくる人はいませんでした。

昨年、岡山県のアジサイの名所として有名な大聖寺に行きましたが、ニホンジカに花芽を食べられて深刻な被害を被っていました。裏山一体にアジサイが植えられその数、5000株とも1万株ともいわれていました、その点、長法寺は、町中なのでそういう心配はありませんし、規模もそこまでありません。しかし寺院の建物と300年の歴史を持つ石垣、そしてアジサイと多宝塔、それらがうまくまとまっていて、被写体としては最高のお寺ではないでしょうか。駐車料、入山料もすべて無料というのも有難いですね。来年、もう一度見ごろの時季に訪ねてみたいと思いました



長法寺多宝塔は、平成の名塔。まるで京にいるような錯覚を覚える。
コメント
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