朝、5時半ごろの市民茶室・不老庵
7月8日、日曜日、井原市民茶室・不老庵で、私が所属する茶道上田宗箇流・井原遠鐘クラブの例会があり、会員8名が参加して朝茶が行われました。私はおもてなしをする側の一人として、早朝5時から準備を手伝いました。
蹲踞を清め、水を張ります。待合をきれいに拭き、露地や木々の梢にもたっぷり打ち水をし、蹲踞の替えの水も木桶に準備して用意万端です。今日の床の花は、先生が朝から取ってこられた朝顔一輪。本当は白色がよかったとのことでしたが、なかったので、ということで紫色の朝顔です。
以前、このクラブで初めて夜咄を体験しましたが、この朝茶も初めてです。
朝顔一輪
6時前になると、お客(といってもクラブ会員です)がやってきて、つくばいを使って席入りです。このあとの中立ちのために、すぐに蹲踞を満たしておきます。
茶道の朝茶ですが、7月や8月など、酷暑の夏には、昼間に客を招くことは暑さのつのる折からまず無理なことで、午前5時または6時にお招きして、熱くなる9時頃までに済ませる茶事、すなわち朝茶事で客をもてなすことになります。夏の早朝の「涼気を楽しむ」茶事です。今日では、朝茶は夏に行われる茶事になっていますが、昔は四季を通じて行われていたようです。
手順は、「風炉の正午の茶事」のままで進められます。
お茶は時間を短くするため、濃茶を出した後、そのまま薄茶をたてる「直点(すぐだて)」となることが多いようです。
夏の朝のため、料理も軽いもので、生ものは使用しません。
主人と客のお互いの挨拶のあと、
「配膳」「銚子・盃」「飯器」「汁替え」「相伴」「箸洗」「八寸・銚子」「納盃」「湯桶・香の物」と続いたあと、箸の落とす音を聞いて膳を引きます。
お菓子を出した後、中立となり、お客は待合で待機します。
後入りは、朝顔に代って軸に掛けかえられます。準備ができると、ここで私の出番、銅鑼で入席の案内をします。最初は、ドンと強めに叩き、余韻を待って小、中、中、そして最後に大きくドンと叩きます。このときちょうど時刻は予定の7時半でした。
客は、再びつくばいを使って席入りします。
濃茶のあと、直点てで薄茶をいただきます。こうして本日の朝茶は終了となりましたが時刻は、これも予定の9時。あっという間の3時間でした。
今日は、裏方に徹しましたが、満足げに退席をするお客を見送ると、やり終えたという充実感で、とてもさわやかな気分でした。一応、相伴という時間も取ってありましたが、実際には食べる時間もなく、終了したあとで、ゆっくり頂戴しました。赤だしのお汁のなんとおいしいこと。そういえば、朝からなにも食べていないのでした。
これで、夜咄、朝茶と体験できたわけですが、本を読むと、「暁の茶事」というのもあるようで、次回はこれを進言しようと思いました。
後入りに掛物 滝 直下三千丈