年に一度あるかないかのことだけど、
図書館から借りた本を買いに走ることがある。
それも読み終わってからではなく、出だし数ページで。
なんだろう、波長があうというか(おそらく)これは好きな類で手元に置きたい本になる直感、
あらゆる書店の在庫検索をしまくり、買いに走る。
アマゾンは最終手段。
でも大概そういう本って近場の書店にはなく、
市中心部のジュンク堂とか紀伊国屋まで出かけなければ対面できない。
今回は運よくイオンに入っている未来堂書店に在庫があり、
根性で歩いて買いに行ってきた。10㎞コース(笑)。
その本がこちら。
ザリガニの鳴くところ/ディーリア・オーエンズ 友廣純訳
2019年全米で1番売れた本(500万部突破)だそうで、
結構軽く見ていたのだけれどいざ読んでみたら上記のような事態に。
親から見捨てられた少女が湿地の動植物のなかで生き抜いてゆく。
サバイバルでもあるし少女の成長記でもあるし犯人捜しでもあり恋愛ものでもあり、
出だしの数ページで「こりゃだめだ」と買いに走ってしまった。
私は滅多なことでは本を読んで泣くことはないのだけれど、
これは何度も何度も「ふんご」の手前になり、
それも他愛のない会話や泣かせるぞではないところで不覚にもきてしまうのである。
このまま結局チェイスは事故死なのか殺人なのかわからないまま終わるのかと思いきや、
ちょと受け入れがたいラストが待っていたのだけれど、
これは二度三度読み返すうちに受け止め方が変わってくるのかもしれない。
とはいえ、テイトと暮らした年月は計算するとカイアがなくなるまで39年にもなり、
独りぼっちじゃなくて、一緒にいてくれる人がテイトで心底よかったなと。
オーエンズさんは動物学者で、そこらへんもこの本にのめりこんだ理由の一つ。
ハクガンのシーンが好きだ。今そこだけ読み返してもじゅわっときてしまう。
ただ結構きつい話でもあるのもたしか。
なかなかの読書体験でした。
2020年マイベスト10入り。
ストーンサークルの殺人/M・W・クレイヴン 東野さやか訳
これも面白かった!
いくぶん後出しジャンケン的なところも感じられたけれど(ワシントン・ポーの名に関して)、
さあもう一度頭を整理させて犯人がわかったうえで確認&復習で読み込むつもりだったのに、
図書館から予約本が届いたと通知が入り、
その届いた予約本というのが前出の「ザリガニの鳴くところ」で、
いやぁ、滅多にない強作2連続で出会いの形としてはとてももったいない。
最後の最後まで犯人に気づかなかった!
生きているような気がする。
今後どこかで登場するようなことになるのか。
しっかしみんな頭いいなぁ。どうしてこんな話書けるんだろ。
断片的なものの社会学/岸政彦
「図書室」があまりにも好みだったので(これも続けざまに読み返し、図書館に返却後書店で購入した)、
こちらの本を借りてみた。
読んでみて、ああ、「図書室」のラストを自分なりに理解できた。
次もなにか一冊読んでみたい。
「ザリガニの鳴くところ」にすっかりやられてしまって、
続けざまに読み返すのにはちょっと心の休憩が必要だなと、
まるっきり違う世界の風を頭に入れようと、
「ゴールデン・リバー」・という映画を観てしまった。
西部劇である。全くをもって畑違い、未知との遭遇。
左上の俳優を知っているというだけで。
ジョン・C・ライリーというそうで(本当固有名詞は気にしない性格です)、
「マグノリア」で警官役で出演していた。
が、これがこの映画面白くて、そっち行くだろと誰もが思う方向に話は進まないのだ。
で、原作ってあるのかと調べてみたら「シスターズ・ブラザーズ」という小説で、
いくつもの賞をとっているらしい。
さあ、流れとして私はどうするでしょう。
お察しの通り、すでにこの「シスターズ・ブラザーズ」を読み始めていますが、面白くて止まらない。
ああ節操のない読み方。
ザリガニの鳴くところのあの感情と違うポケットでいくしかない。
どの本をとっても大正解の面白さです(あくまでも個人の感想です)。
以上、今回も17ページの6行目は登場しなかった294回目でした。
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