たにしのアブク 風綴り

86歳・たにしの爺。独り徘徊と追慕の日々は永い。

アラビア世界の歴史を彩った人物から現代の混迷まで

2018-05-06 11:38:05 | Journalism

子どもの頃、夢中になった本と言えば、
「アラビアンナイト」を挙げる方が多いと思います。
この物語ほど「神秘世界」に誘われた本はなかった。



暴虐を極める王様の枕頭に召し出されたシェヘラザードは毎夜、
面白い物語を語り、王様の暴虐を止めたという「千夜一夜物語」。
「アリババと40人の盗賊」「シンドバットの冒険」
「アラジンと魔法のランプ」「空飛ぶ魔法の絨毯」



その「シェヘラザードの世界」は現在、最も悲惨な地帯となっている。
アラブ、アラビア、イスラム、IS、自爆テロ、ジハード……。
このほど市の国際交流協会によるカルチャーイベント、
世界を知る会「アラビアを知ろう」が開催されました。



講師はアラビア地域には何度も訪れ、地域情勢にも詳しい、
西山徹さん(日本橋トラベラーズクラブ )による、
『知って楽しいアラビアの世界へ』と題したお話です。



日本人にとって、なんとなく遠いアラビアの世界を、
まず始めに、古代から現代まで、世界史に登場した、
「6人の重要人物」を取り上げ、
アラビア世界を知る歴史地理の旅が始まりました。



プレゼンテーションで紹介された映像、資料をお借りして、
「西山アラビア物語」の要点を若干、紹介します。



紀元前10世紀のシバ王国の「ビルキス女王」<左>、
紀元3世紀、隊商都市国家パルミラ王国の「ゼノビア」<右>、
エジプト最後の女王「クレオパトラ7世」<下>、
何故か女性は「絶世の美女」という定冠詞が付きます。





そして、米欧の世界秩序に「ノー」を突き付けた暴君たち。
バース党の独裁王国を築いたイラクの「サダム・フセイン大統領」<左>、
大リビア・アラブ社会主義人民ジャマーヒリーヤ国「最高指導カダフィ大佐」<右>
2001年、アメリカ同時多発テロのアル・カイダの首謀者「ウサーマ・ビン・ラディ」<下>ーー



これら6人が「古代文明から現代の混迷まで」、
アラビアの世界史とどのように関わってきたのか。
砂漠 遺跡 民族・風俗 歴史の4項目に分け、
さらに民族対立のイスラム教世界の複雑さなど、映像を交えて興味深く話されました。

 

①アラビアと言えば「砂漠」ですね。
ルブ・アルハリ砂漠、映画「アラビアのロレンス」の舞台ですね。


 
シリア砂漠(土漠)           

②そして古代遺跡の宝庫です。
パルミラ(シリア)





ウル(イラクBC2,900年頃)

③神秘性の漂う民族、エキゾチックな風俗



カフィーヤを被る男性<上>
ベドウィンの遊牧用テント<下>



④ヨーロッパの母胎となったイスラム文明   
イスラムとは「服従」を意味する。
イスラム教、ムハンマド (570 年~ 632 年)が創唱。
40歳のとき、大天使ジブリールを通じて、神(アッラー)のお告げを聞く。



ムハンマドは信者たるものは、
武器をとってアッラーのために聖戦(ジハ―ド)に参加せよと説く。
偶像崇拝を禁止し、コーランを唯一の聖典とする。
イスラム教徒を「ムスリム」という。



⑤アラビアにはアラビアの統治がある。
現在、シリア・アサド政権においては長引く国内対立に、
ロシア、トルコなど外国勢力が介入して、
ガス兵器による悲劇的な状況になっています。

⑥混迷の要因として、英仏露による第一次大戦後の、
オスマントルコ分割案の秘密協定、「サイクス・ピコ協定」だと知りました。
映画「アラビアのロレンス」で描かれています。
1916年、英仏露による第一次大戦後の、オスマントルコ分割案の秘密協定。
この時を舞台にした映画「アラビアのロレンス」(1962年)

アラビアンナイトなど物語で知ったアラビアの世界、
今の現実世界は国内対立と外国勢力の覇権が交差する、
日常が戦争事態になって貧困と恐怖の市民たち。



平和の在り方や援助の在り方にも触れられ、
アラビアに興味を持ち、イスラムを正しく理解し、
彼らの目線を理解した平和的手段で、
援助することの大切さについても述べられました。

人的交流を広く、そして太くする。
改めて相互理解の大切さを学ぶ講演でした。 

4 コメント

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Unknown (Unknown)
2018-05-06 16:10:54
イスラムが服従という意味とは知りませんでした。
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講演になかにありました (管理人)
2018-05-06 17:19:00
以下のサイトを参照されたし。

https://islamqa.info/ja/10446
「服従する」の意味は、
なんにでも「服従」することではなく、
アッラーが命じることを「疑いなく」
信じ従うことのようです。「服従」する。
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こんにちは (多摩NTの住人)
2018-05-08 09:15:07
なかなかアラビアのことを学ぶ機会がありませんね。とても貴重なお時間だったのではないでしょうか。
「アラビアのロレンス」で、ロレンスが『どうして砂漠に惹かれるのか』と聞かれて『砂漠は清潔だからだ』と答えました。良い映画でした。
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異文化交流 (管理人)
2018-05-08 20:11:31
NTの佳人さま。
コメントありがとうございます。
ご近所にはムスリムの家族が増えています。
中国、韓国、フィリピンの人との、
日常の交流は違和感なくなりつつありますが、
ムスリムの人たちの神秘性は近寄り難いですね。
西山講師が行っていましたが、
とても家族思いでフレンドリーですと。
お酒は飲まないので、
甘いものを上げると喜ぶという。
国と国との交流は、人と人との交流が始まりですね。
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