2014年からシェンゲン協定発効を目指していたルーマニアですが、またしてもかなわずか。人的移動の自由化を阻むのは、ルーマニア人による犯罪が多いからなのか。経済格差から西側諸国を目指そうという人は多いです。現実に、この6年間で1万4千人の医療従事者(医師と看護師)がより良い労働環境を求めて、国外へ流出。
上の写真は、街中で時々見かける国外出稼ぎを斡旋する業者のポスター。EU圏内では言語体系の似ているイタリア・スペイン・フランスなどが人気。実際のところは、何の特技も持たない人は肉体労働が多いようです。
さらにルーマニアには少数民族ロマ人が多く住んでいて、その数総人口の10%とも20%とも言われています。貧困層に多いロマ人たちがルーマニアから流れ出て、その先で宜しくない暮らし方をすることが多いけれど、その人たちも統計上はルーマニア人。ロマ人・ルーマニア人、単語上の響きも似ていて、混同されることが多いようで。
以下、
nikkei.com(2014/1/7 0:30)より転載
欧州内の移動自由化鈍る 東欧2カ国の検問廃止、EUが延期:
【ベルリン=赤川省吾】欧州内で国境検問を撤廃する動きが鈍ってきた。欧州連合(EU)は当初、ルーマニアとブルガリアの検問を2014年に廃止するとみられていたが、これを延期する。急増する不法移民や治安悪化への警戒心がドイツなどで強まったことが背景にある。ただ、域内の自由な移動を目指す欧州統合の精神が揺らぐ懸念も出てきた。
欧州の大半の国々は「シェンゲン協定」に基づき、パスポートの点検なしに国境を越えることを認めている。2007年にEUに加盟したルーマニアとブルガリアは、14年の同協定参加を目指して交渉していた。
これに立ちはだかったのがドイツ。「現時点で国境検問を廃止できる状況にはない」と12月の内務相会合で主張し、オランダが同調した。新規加入は全会一致でないと認められないため、ルーマニアとブルガリアの国境検問廃止は凍結された。
国境検問廃止は欧州統合の重要なステップの一つだ。同じ中・東欧でもポーランドやスロベニアなどは07年に参加済みだが、ルーマニアとブルガリアへの拒否感は強い。
「両国の捜査当局が犯罪組織を十分に取り締まっておらず、検問を廃止すれば、豊かな北部を目指す犯罪者が増える」。両国のシェンゲン協定への参加を阻もうとする北部欧州からは、そんな指摘が漏れてくる。
懸念を裏付けるデータがドイツ南部バイエルン州にある。警察当局によると12年に外国人による犯罪件数は前年比3.5%増えたが、ルーマニア国籍に限ると15%超の伸び率だった。強盗や詐欺など金銭目的の犯罪が多いのが特徴だ。チェコの首都プラハでは、ルーマニア出身者が観光客から現金を強奪する事件が頻発し、現地の警察も手をこまぬいている。
ルーマニアとブルガリアへの拒否感の背景には、両国と他の欧州諸国との経済格差もある。両国はEU加盟国の中で最も貧しく、国民の購買力はEU平均の半分に満たない。両国の法定最低賃金(時給)は1ユーロ前後なのに対し、オランダやベルギーは9ユーロを超える。仕事さえ見つかれば国外に移り住みたいと考える人は多く、既に医師などが職を求めて国外に流出している。
EUは域内の労働市場を2014年に両国に全面開放する。EU加盟の7年後には市場開放を適用するというルールがあるためだ。14年から両国の人たちは就労ビザを持っていなくても国境のパスポート検査を通過さえすれば、北部欧州で就職活動ができることになり、ドイツだけで数十万人が職探しに訪れるとの推計もある。このため、大量移住を回避するため国境検問を残すべきだとの意見が出てくる。
ルーマニアとブルガリアには少数民族ロマ人も多い。こうした人々が両国内での差別と貧しさから逃れるため大量に移住する事態になれば、北部欧州諸国の社会保障費が増大しかねない。
北部欧州は景気が底堅い。ただ、南欧支援や難民救済、それに中・東欧との統合で豊かさが蝕まれるとの「被害者意識」が強まっている。そんな不安につけ入る形で極右勢力が移民排斥を訴え、支持を広げている。
欧州統合についての研究・提言を担うオーストリア欧州政策協会のシュミット事務局長は「北部欧州の住民の不安を取り除く処方箋を政治が示すべきだ」と語る。
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