早朝4時に起きだしたときには真っ暗。スタート地点のディオンまで移動し、軽くストレッチをするうち、ようやく明るくなって日の出を迎えようとしています。50分ほど前にスタートエリアに到着し、手荷物預けもスムーズ、もっとゆっくり出来るかと思ったけれど、あっという間にスタート時刻となりました。
意外と狭い、10人ほども一列に並べないスタート地点。みんな特に押し合うでもなく、ゆったりと並んでいます。長丁場のレース、慌てること無し。カウントダウンで6時5分にスタート、走り始めても慌てること無し。
最初の6キロほどがアスファルト中心。
ディオンの町を駆け抜け、登り口に差し掛かります。ここで息が上がった状態では、トレイル道を登るのは苦しくなります、なるべくゆっくり余裕を持って。トレイル道は狭くて追い越しが難しいというけれど、そのうちランナーもばらけ、自分のペースで走れるようになるはず。
最初のエードを過ぎて直ぐにトレイル道に入ります(写真の左端)。木陰になっていて、予想通り狭い急な道。下りに脚を残すため、上りでは無理をしないこと。ずっと狭いトレイルが続きましたが、非常に集中して登れました。
一箇所だけロープを伝って登るところあり、ようやく廻りの木々が低くなってきたな、と思い始めると、トレイル道も開けます。
山は上にいくほど急斜面になると思っていたけれど、このオリンポス山、丸いおわんを伏せたような形をしていて、上のほうに行くほど楽に登れるのです。
あれ?伊吹山(滋賀県の最高峰1377m、頂上まで登る『かっとび伊吹』マラソン大会あり)よりも富士山よりも、上のほうは楽??
トコトコ登っていく私に、「君はクライマーか?」~そんなわけないでしょ、「アスファルト・ランナーです。」
まわりはみな、トレイル・ランナー。山用のストックを使っている人もいます。私が日本人参加者であることを見てとって、「富士登山競走を走ったことがあるか?」~何人にも尋ねられました、「一度だけ、5年も前。」
オリンポス山を走って登ろうという人には、日本の最高峰、3776mまで登る富士登山競走は憧れのレースなのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/65/3c31d0464af64d6c647441af97115a39.jpg)
(蛍光シャツが、斜面をジグザグに登るわたし)
記録まで尋ねてきます、「3時間42分です。」~全長21キロ、高低差約3000mを登る一方のそのレースの制限時間が4時間30分で、完走率は平均で50%程度であることなど、よく知られています。
標高2700mあたりにいるとは思えないほど、上は気持ちよく走れました。
ギリシャ人ランナーと話すうちに、名前を尋ねられ、一緒に写真撮影も。第7エイド(2690m)まであっという間。左のほうに見えるのが山小屋。ここがエイドステーションです。
渡る風がとても気持ちいいです。ここで写真撮影しながら走っていたマイダーリンに追いつきます。
ダーリンはしばらく立ち止まったりしていたようで、ウィンドブレーカーを着込んでいますが、走り続けていれば寒さはまったく感じません。雲がかかっていますが幸いにして穏やかな太陽も指しているのです。
このあたり野生の山羊がいるところ。急な斜面にテントを張っている登山家もいます。ぽつぽつ点在する黄色が、テント。
まわりには雪渓が残り、走路も何度か雪渓を横切ります。締まったザラメ雪で、気をつけて歩けば滑る心配も無し。
が、山は登れば次は下り。下りになると急に脚がすくんで動かなくなる私。先ほどのギリシャ人ランナー、「ヒロコ、僕について。下りは走ろうとしないで、かかと着地で大またで歩くようにするんだ。」、何度もアドバイスをくれます。こんな上手な人のあとに付いていくと、それなりに動けるものです。
が、さらに、急斜面の岩場のような石場のような、そんなところをジグザグに設けられたトレイル道の下りが待っていました。スペシャリストたちは登山道を無視して真下に一直線に下りていきます。まったく私には無理。下り道をたどるだけで精一杯。「マイ・フレンド、ヒロコ!」と呼びかけてくれていたギリシャ人ランナーもあっという間に谷底に向って見えなくなってしまいました。
一歩ずつ確実に下るしかないです。本格的に下りが始まり、先に追い越してきた女性ランナーにも追いつかれ、食い下がろうとしたけれど私にはテクニック無し。じきに見えなくなりました。
下りに恐怖心を抱いているので、どうしてもブレーキをかける動きになってしまいます。これでは太ももの負担が大きすぎ。わかっているけれど、これしか無理。スキーのコブ斜面を、ベンディング系でスピードコントロールしながらでなくては降りれなかった私。速い動きでコブの上を跳んでいくような滑りは出来ませんでした、まったくこのときの気分と同じ。
とにかく転ばないこと、怪我をしないこと、脚でもくじいたら、完走できなくなるのです。トコトコ行けば何とかなる、と思っていたけれど、中盤に調子にのりすぎてしまったので、後半脚に来て走れませんでした。下りが苦手、以上に、脚に来てしまったのです。
おまけにこの山の特徴、「下に行くほど急になる」ことに気付かず、31キロ以降の細かな急激なアップダウンに「いつになったらこの山は終わるの==!?!」。集中力も途切れかけ、後ろから来る人たちに道を譲り抜かれるがままに抜かれるも、脚はすでに棒。踏ん張りもききません。
コース案内に書かれていた「急に視界が開け、リトホロの町が一望できる」地点ってまだなの==!?!ひたすら歩くことしか出来ないです、でも、この眺望抜群の地点はやってきました。あとは町に下りて行くだけ。
町に入っても急な下り坂が続き、本来アスファルトランナーの私なら得意とする斜度のはずなのに脚に来ているので走りきれません。両脇の家の人たちが玄関先まで出て、ランナーを迎えてくれています。脚が自分のものでないもどかしさに、応援してくれる人たちに笑顔を返せません。
ゴール手前で、「マイ・フレンド、ヒロコ!」、先に行ってしまったギリシャ人ランナーが声をかけてくれます、山の上で一緒だった彼です、はるかに遅れてしまった私よりもどれくらい速くゴールしたんだろう?
でも声をかけてもらったのが嬉しくて、やっと笑顔が出ました。ゴール写真は、
ギリシャのweb-siteに掲載されていたのを、もう一人の日本人参加者のかたが見つけてくださったもの。ギリシャのサイトはさっぱりわからないので、私には見つけられなかった写真。嬉しいです。You-tubeの映像は
こちらから、途中で私も出演しています。
笑顔でゴール出来て、終わりよければすべて良し。全長43.8キロ・高低差3170mを7時間38分29秒で無事完走。493名出走し、10時間の制限時間内完走は437名、女子の完走者29名中8位でした。
ゴール後、脚がまったく動かなくなった私、「誰か一緒に来ている人はいるの?面倒を見てくれる人はいる?」と言われながらもインタビューを受けました。
「オリンポス・マラソンの感想は?」
「眺望も何もかも素晴しいです!山の上が気持ちよくて、スピードを上げすぎ、後半のアップダウンに対応できませんでした。」
「君は経験を積んだから、来年はもっとよく走れるよ。」
って、このコースをもう一度走ることなんか考えられません、あまりにも後半が難しすぎるコース・・・。
山の上でこんな小さな高山植物を見つけて写真を撮っていたマイダーリンは7時間13分で完走。やっぱり後半のアップダウンにやられたようで、「もう、山はごめんだぁ~」
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