わずか20歳で、期待に胸を躍らせて初めてその地を踏んだルーマニアで、到着後わずかのうちに命を奪われたこの事件。到着ロビーで声をかけてきた自称ポーターの男性と、なぜ一緒にタクシーに乗り込んだのでしょう。
ほんの少し下調べすれば、ブカレストの空港タクシーは外国人に対してぼったくりが多い、と、容易に情報を得られたはずなのに、そもそも空港からの移動に、なぜタクシーを選んだのでしょう。空港から夜行列車の発着駅、ノルド駅まで、空港バス(780番)一本でつながっているのに、その情報はなかったのでしょうか。
荷物が多くて大変なとき、ポーターに頼まなくても、一般人が気軽に手助けしてくれるのがルーマニア人の心優しいところ。私も何度も、道行く人にスーツケースを運んでもらっています(バスの乗り降りや階段などに限るけれど)~ぼったくりポーターか、通りかかりの親切な人か、見分けるのにそんなに眼力を要しません。たいていの場合、空港や駅などで手ぶらで近づいてくる輩はぼったくりポーター、手提げかばんやリュックサックなど、自分自身の荷物を持っている人は、通りかかりの旅行者。
NPO法人を通じて派遣されることになった日本語教師ボランティア。受け入れ先のNPO法人から、なぜ誰も迎えがないのでしょうか。ボランティアだから自費渡航、赴任先のクライオヴァはブカレストから電車で3時間。ここまで自分でたどり着くことになっていたらしいのです。
日没時刻近くのブカレスト到着で、初めてのルーマニアで、なぜ夜行列車での移動を選んだのでしょうか。到着日は落ち着いてブカレスト市内に宿泊することが予定になかったのでしょうか。夜行列車よりもブカレスト市内宿泊のほうが、安全だと思わなかったのでしょうか。夜行列車に乗ったとしても、翌朝、明るくなってからに到着するわけではありません、未明の2時か3時ごろのクライオヴァ到着。そんな時刻に地方都市に着いたとして、その先はどんな行動予定だったのでしょうか。世界的組織のNPO法人というけれど、ボランティアゆえにすべて個人に任されていた、ということなのでしょうか。
そして、警察はすぐに犯人を検挙。被害女性と一緒に乗り込んだタクシーの運転手が、犯人の顔を覚えていて、捜査に全面的に協力したといいます。26歳のその青年は、9日前にも70歳の女性を殺害していたと報道されました。過去にも13人もの女性を殺害した疑いで3度も逮捕されているにもかかわらず、十分に調べ上げることが出来ず、放免になっていたとのこと。司法はなぜこの青年を野放しにしていたのでしょうか。人を殺すことをなんとも思わない殺人鬼、婦女暴行を伴うような犯罪は繰り返し繰り返し行われるのが通常、性癖のある殺人鬼。襲い掛かる犯人に対して、女子大生はかなり激しく抵抗したことが明らかになっています。
犯人として逮捕された青年の実家の近所に住む人たちは、驚きを隠せません~「あの好青年が・・・。」、日曜日には教会に礼拝に行き、見栄えもよく物腰穏やかで周りの評判も良かったといいます。完全な二面性。最初は金品目当てだったと言います、激しい抵抗を受け殺害に至り、その後レイプに及んだとの自供。
ルーマニアのメディアでは、初めての土地で見知らぬ人とタクシーに乗り込んだ女子大生の不用意さ・無防備さばかりが取り上げられているけれど、繰り返し逮捕されている殺人鬼を野放しにしたルーマニアの司法も問われてもいいはず。ただのぼったくりポーターや、ぼったくりタクシーならば、たとえば空港から市内まで100ユーロくらい取られるらしい、もう少し怖くて身ぐるみはがれたとしても、命までは奪われないはず。
日本のメディアから叱責を受けている、「日本語を教えに行っているのに、なぜ誰も迎えにも来ないのか。」~ボランティアへの意識の違いは、これはもう致し方なし。日本でも『自己責任』という言葉が使われ始めているけれど、安全・平和慣れした島国・ニッポンでは、まだまだ行き届いているとは思えません。
被害者と加害者に関しては、たとえばスリに財布をすられたとき、「スリにあってしまったのはバッド・ラック(=不運)なことだけれど、すられるようなスキを見せていた本人にも非がある。」と、ピシャリと言ってのけられるのがヨーロッパ流。(→関連記事は
こちら「不注意がよびこむbad luck」から)
ただ、今回の事件だけはあまりにも被害者のバッド・ラック(=最初に声をかけてきた相手が殺人鬼)が大きすぎて、友人女性たちと語り合うとき、涙まで浮かべてその不運さを偲んでくれる人もいます。生前の屈託のない笑顔を見せる被害女性の顔写真が公開されているがゆえに、「なんて可愛らしい彼女なの、この女の子が・・・」と。
たしかに、異国で見知らぬ男性とタクシーに乗り込んだ女子大生の行動は無防備としか言いようがありません、それに輪をかけて、ボランティアへの意識の違い、そして殺人鬼を野放しにしていたルーマニアの司法、何重ものスパイラルがあの日あの時刻に、東欧の首都ブカレストで絡み合ってしまったのです。
残酷で悲しい事件となりました。彼女の笑顔はもう、天国でしか見られません、「ルーマニア、大好き」と言っていたという彼女、もう決してその言葉を聞くことは出来ないのです・・・・。
(ルーマニア・ブカレスト近郊で東京都の女子学生、益野友利香さん(20)が殺害された事件について、その後もルーマニア国内で、紛糾が続いています。詳報は追って。)
空港やノルド駅のタクシー:
ぼったくりが多い、と評判ですが、規制が厳しくなり、常に警備員や警察官が巡回していることもあって、無理やりタクシーに乗せられるようなことはありま私自身、どこから見てもアジア人で、ひと目見て標的にされるようで、必ず「タクシー?」と声をかけられますが、「NO!」と強く言うと、それ以上の客引きにはあいません。
3年ほど前に、ノルド駅でぼったくりポーターに出会いましたが、私自身も「NO!」と繰り返し言い、周りの人もそれを察して「あっちへ行け!」と制してくれました。
なお、タクシーに関しては、1キロ当たり1.29~1.49レイで運行しているタクシーと、3.5レイで運行しているタクシーがあります。双方、混在していて、ともに法にのっとっています。同じ距離を、基本料金3.5レイのタクシーに乗ってしまうと、「ぼったくりか?」と思われるほどの3倍近くの料金を請求されることになりますが、メーターがきちんと廻っている場合、それは合法。基本料金は、タクシーの車体に表示されていますので、確認してから乗りましょう。
次のエントリーで、私が実行している『安全にタクシーを利用する方法』をご紹介。
ご無沙汰していました:
気温42度のブカレストで、ばてていたわけではありません。週末ごとにロングランの大会が続いたり、ブカレストロケ取材協力の仕事をいただいたり、多用きわまっていました。ブログは続けて更新していきますのでまたどうぞお越しくださいませ。
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