マンションを出て物乞いの老婆のいる歩道橋を渡り、梅花路を地下鉄楊箕(ヤンジー)駅まで歩く。
両側の街路樹が大きく育って道路を覆い、緑のトンネルを作っている梅花路は広州を代表する綺麗な通りである。
梅花路
駅の自動販売機に4元を入れて丸いプラスチックのキップを買い、そのキップ(アメリカの地下鉄ではトークンと言っていた)を自動改札機にかざしてピッと鳴って開くバーを通る。
プラットホームに入ってきた冷房完備の快適な地下鉄に乗って黄沙駅で下車。
地下鉄
駅から大同路という下町通りを北に5分くらい歩き、第十甫路と書いてある所から東に入ると、その先が広州ガイドに必ず登場する繁華街、上下九路(シャンシャーチュールー)である。
雑然とした黄沙駅の出口
ここ広州で心斎橋に匹敵するのが北京路とすれば、そこより少し庶民的な街として大阪で言えば天神橋筋商店街のような場所であろうか。
この上下九路にも華南独特の騎楼建築が立ち並び、1階の歩道の上にせり出した2階があるために雨の日でも濡れずにショッピングや飲食ができるのが良い。
上下九路の騎楼建築
又、上下九路の長さは北京路の3倍くらいあり、騎楼建築も北京路よりはるかに整然と建てられているので雨の多い時期には上下九路の方がショッピングには便利である。
上下九路の西の端には1880年創業の陶陶居という点心で有名な広州料理店がある。
上下九路の通り(両側は騎楼建築の商店街)
陶陶居の看板の文字は清朝末期の学者にして思想家、さらには科挙で選ばれて清朝の高級官僚となった広州人、康有為という人の筆によるものである。
康有為の性格そのものを表す豪快かつ繊細でバランスの良い書体で書かれたこの店のロゴは素晴らしい。
科挙の試験では、答案を美しい楷書で書くことが求められ、悪筆では絶対に合格しなかったということなので、試験に合格した進士は全員見事な漢字を書くことができるのである。
逆に言えばどんな優れた人物でも綺麗な楷書が書けなければ、合格できないという矛盾を含んだ試験であったが、何しろ日本の十倍の人口の中から選抜される以上、優れた人物も十倍いるわけで、代わりはいくらでもいるのであろう。
陶陶居のエントランスは高級感があり、朝から飲茶の朝食を摂るお客でかなり混雑していた。
その隣には陶陶居の菓子や、月餅(中国まんじゅう)のテークアウト専門の店があり、商品がきれいにレイアウトされている。
上下九路には婦人服や靴、カバンなどのファッション関係の店が多く、北京路よりも格安な店が多いようであった。
上下九路の広場(江沢民が訪問した時の巨大な写真が掲示されている)
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