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ROSSさんの大阪ハクナマタタ



先日に続き日本の対英米暗号解読作戦と天王寺動物園の動物の紹介です。昭和初期頃まで使われていたアメリカ国務省の暗号(グレー・コード)は、それほど高度なものではなく陸軍参謀本部第二部は、それを解読していました。・・・アフリカの岩山というコンセプトで造られたライオンゾーン

1934年(昭和9年)アメリカ国務省は、新型のブラウン・コードを導入しましたが、この変更をグレー・コードで通知したため、日本陸軍はアメリカの暗号変換をすぐに察知しています。・・・上の写真の大木の右側で休んでいるライオンの雄です。

そして米国国務省の係官が暗号書を神戸領事館に持ち込んだ直後、陸軍関係者によって密かに盗写され、陸軍はアメリカ国務省の暗号を引き続いて解読していたのです。・・・こちらは雌のライオン

1939年(昭和14年)台湾憲兵隊は、在台湾英国領事館のスタッフを密かに買収し、金庫に保管されていた暗号書の写真撮影に成功、イギリス関係の暗号の解読にも成功しています。・・・地中海のコルシカ島辺りが原産地という野生ヒツジのムフロン

日米関係が険悪となるとアメリカ国務省は、ブラウン・コード暗号の次にストリップ暗号を採用、これはセルロイドで作られた細い棒を使って暗号化文書を解読するという高度な暗号方式でした。・・・ライオンの次はアムールトラです。

しかし日本陸軍は、ストリップ暗号も解読していたようで、戦時中の1943年(昭和18年)日本陸軍の暗号の中にストリップ暗号から取られた米軍情報があったことからイギリス情報部は日本がそれを解読していると結論づけています。・・・以前からあるトラの展示スペースの隣に新しいトラのスペースができていました。

当時最高の情報解読能力を持っていたドイツでもストリップ暗号は解読されていないので、日本軍の暗号解読能力はレベルが高かったようですが、陸軍は海軍に解読方法を伝え無かったため、太平洋でアメリカと直接戦っていた海軍は終戦までアメリカの暗号を解読できず苦戦したのでした。・・・アクビをするトラ

このように戦前、戦中における日本軍の通信情報活動は高度な能力があり、当時最高レベルだった英米インテリジェンスチームと比較しても遜色無かったようです。・・・こうしてみると、さすがに猛獣という迫力があります。

しかし、陸軍参謀本部作戦部の超エリート官僚達は、二流とされていた情報部からの正確な情報を生かすこと無く、最優秀官僚と自負している自分達の都合の良い情報に従って作戦を立案発令、また仲の悪かった海軍には正確な情報を伝達することなく敗戦への道を突っ走ったのでした。・・・いつも見かける大道芸のショー。この日はなかなか盛況でした。

所属する省の利益が国益よりも優先する、こうした日本のエリート官僚達特有の行動は、政治家によってしっかりと監視、統制されなければなりませんが、さて現在は大丈夫なのでしょうか。

参考文献:日本軍のインテリジェンス 小谷 賢著、  大本営参謀の情報戦記 堀栄三著



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